MPI ジャパンチャプターが9月26日、六本木アカデミーヒルズで“「IR×MICE」 ~IR(カジノを含む統合型リゾート)の現状とMICE業界への効果~”をテーマにセミナーを開催。前会長の前野伸幸氏が講師を務め、約70人が出席した。

前野前会長は、IR実施法案について、「IRとMICEの相互に与える影響」、「IRにむけて日本のMICE企業が準備しておくべきこと」などの説明と提言を行った。

IR実施法案(特定複合観光施設区域整備法案)の概要について、2030年にインバウンド6000万人という高い観光立国の目標実現という背景があり、国際会議場、展示施設、劇場文化施設、観光案内など日本各地への送客機能、宿泊施設などが盛り込まれたのではと考えを述べた。

また、カジノフロアの面積は3%という上限を設けたことで、MICEをはじめ各施設の規模が大きくなると、マリーナベイサンズの12万m2のMICE施設の例を踏まえて予想した。

一方で日本人の来場を制限したことで、どこに行くのもカジノスペースを通るレイアウトになっているラスベガスのような、カジノとMICEの送客連携が弱まる懸念や、先進国都市はIR後発となるため規制が多い法律になったこと、まだ未定の詳細な規定に重要な要素があることなどをあげつつ、産業革命的な
インパクトがある法律だという見解を明かした。

また実際の開業時期については、東京五輪後で誘致中の大阪万博の前の2024年ごろになると、日本でのメガイベント開催が継続的になるのではと話した。

IRとMICEの送客連携については、IRでMICEを開催するメリットとして1)大人数をワンストップ(同一施設)で受入可能で、コスト・時間のロスがない。2)テーマレストランなどユニークベニューの充実。3)カジノVIP用プログラムの転用。4)深夜のプログラムも実現可能。5)オプションツアーの充実。6)少人数のラグジュアリープログラムも対応できることなどをあげた。MICEがIRに与える効果としては、平日の集客に貢献、宿泊費の寄与、他のカジノとの差別化、IR成熟後に必要なカジノ頼みでない利益構造の根幹になるとした。

また、IRで開催するMICEの参考事例として、AWSの re:Inventのようすも紹介。5つのホテルのほとんどの宴会場や駐車場など50会場で1,200セッションを行い、4万3000人登録(内日本人1000人)、基調講演は1万3000人が聴講しサテライト会場も満員という規模で開催された。

フェアウェルパーティ用の巨大テントや仮設歩道橋、ホテル内でのロゴ装飾などの規模の大きさとそれを実現する、企業のスポンサードや1799ドルという参加料などについても触れた。

一方でハラル対応や祈祷室、LGBTの方用トイレ設置といった多様性の配慮や、WifiのSSIDが全会場共通など細い対応の重要性を指摘。そのほか、IRとマッチしやすいイベントとして格闘技大会やeSportsなど賭けの対象になるイベントもあげた。一方医療系や製薬系金融系の国際会議の多くはカジノのあるラスベガスでは開催していないという。

懸念点としてはディーラだけで2000人、IR全体での2万人くらいの人材の確保。育成に時間がかかることもあり、現在海外IRで活躍している日本人の帰国以外に 多くの人材が必要になりそうだ。

最後にメッセージとして、アデルソン会長のサンズなどカジノとMICEを融合したIRが得意な海外事業者が多いが、エンターテイメントの誘致も含めて日本資本でもできる部分があるのでは、IR設置は当面3か所が上限だが、それ以上に増える可能性もあり、それにそなえて日本企業もビジネスとして積極的に参画できるような準備をするべき、そのためにライバル企業と競合ではなく連携してあたるべきと提言を行った。

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