すべて試すべきアイデアだ   テックショップジャパン株式会社 代表取締役社長 有坂 庄一さん

4月1日、港区赤坂のアーク森ビルにTechShop Tokyoがグランドオープンする。 アイデアさえもっていれば夢はかなう場所、というコンセプトを聞いて、プレオ ープン中のTechShop Tokyoにモノづくり経験のない編集部も行ってみた。

——TechShopをまだ知らないという方にも簡単にどんなものか教えていただけますか

有坂 TechShopはアメリカ発の会員制オープンアクセス型DIY工房です。DIYというと日本では日曜大工を連想され、ベニア板にとんかち、釘での木工製作をイメージされるかと思います。4月1日からオープンするTechShop Tokyoは、金属加工・溶接、3Dプリンティング、皮の縫製もできる工業用ミシンまで、本格的な工作機械が約50種類あります。

——ひと通り機械をみましたがDIYよりもモノづくりと言ったほうが近い印象を受けました。どんなモノがつくれるんでしょうか

有坂 基本的にはアイデアさえあればなんでもつくれます。たとえば、店内に入る前に受付を通られたと思いますが、そのカウンターテーブルもそうですし、いまコーヒーを運んできたトレーもスタッフのつくったものです。

アメリカのスタッフから聞いた言葉が僕はTechShopらしくて好きなんですが、「悪いアイデアなんてない。すべて試すべきアイデアだ」と言うんですね。

 

——一歩踏み出す勇気が出る言葉ですね

有坂 アイデアはカタチになると話が弾みます。アイデアだけの会話の場合「…だからダメだよね」とネガティブな意見も出がちですが、面白いのは、プロトタイプを一つテーブルに置くだけで「ここをこうすればもっとよくなる」と、発言が前向きに、改善点としての意見に変わるところです。モノづくりの経験が無い人でも、モノがあるとそれをきっかけにアイデアが出てくるという感じで、カタチからアイデアへという流れになりやすいですね。

 

スクリーンショット 2016-04-04 10.34.48——アメリカでの使われ方を教えてください

有坂 いまアメリカにはオープン予定も含め10店舗が展開されています。平均して1店舗に1,000人の会員がいて、起業家や学生、クリエイター、または企業利用など、個人と個人、個人と企業会員同士のコミュニティができているのが特徴です。TechShopで生まれたプロトタイプが企業、ベンチャーキャピタルからの出資を得るなどして100以上のビジネスが生まれています。なかでもスマホやタブレットでクレジットカード決済ができるSquareという製品がTechShopでつくられた話は有名です。海中版のドローンとも言われる水中探索ロボットOpenROV は、実物をTechShop Tokyoで見られますよ。

 

——日本でもコミュニティの場となるでしょうか

有坂 ワークスペースは仕切りがなく、空間的にもオープンな状態です。コーヒーと自動販売機のあるブレイクエリアの前には黒板があって、音楽スタジオの掲示板にある「バンドメンバー募集」の貼り紙みたいに、アイデアを書いて「構造作家募集」としてもいいし、回路図を囲んで話し合う風景があっていいと思います。

理由は解明できていないんですが、アメリカでは店舗の会員が500人未満だと一人で作業をして帰ってしまうけれど、500人を超えるとコラボするという傾向があるようです。

また、人と人をつなぐのは人だというアナログな仕掛けもあります。TechShopには工作機械のエキスパートがいますが、彼らは個人のサポート以外にコミュニティづくりのマッチングサポートもするんです。ドリームコンサルタントと呼ばれるスタッフです。

 

——ターゲットとしては、どんな方に活用してもらいたいですか

有坂 ベンチャー企業やスタートアップにはWebサービスやスマホアプリが多いのに、それに比べるとハードウェアはまだまだ多くはないと感じます。

本格的な道具だけでなく、コミュニティがあることで、自分のアイデアを誰かの力を借りてカタチにすることもできるし、一度つくったプロトタイプをみてもらうことで別のプロフェッショナルに価値を足してもらうことだってできる。また、自分でつくる場所をもつことは、すぐに直すことができるということ。1ヶ月もここにきて仲間からのフィードバックを受け続けていれば独りよがりのアイデアよりは、きっと洗練されるはずです。このサイクルを早めることは試行錯誤を繰り返すリーンスタートアップの考え方と共通します。モノづくりもソフトウェアと同様にオープンイノベーションであるべきだと思っています。

ただ、矛盾するかもしれませんが、ビジネスユースをターゲットとしているわけではありません。あえて言えば、集まるひと、みんなオールターゲット。これまでモノづくりをしてこなかったひとにも、アイデアがあっても、なくても一度体験してほしい。こうした場が一般的になることで日本はもっと面白くなると思っています。

<協賛>

イベントレジスト株式会社
http://info.eventregist.com/service-display-ad

株式会社ブレイブソフト
https://www.bravesoft.co.jp

株式会社レイ イベント事業本部
http://showtech.jp

関連記事

PR

イベントの未来をつくる105人

イベントの未来をつくる105人 森ビル 虎ノ門ヒルズフォーラム   時代とともに進化していくイベント。 そのイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポート。5年後10年後の未来を探るコミュニティです。

2023年イベント一覧

2023年の展示会一覧・イベントスケジュール

次号空間デザイン 特集

97号特集: -空間デザイン
BtoBの集客に効く戦略設計・ツール選択 (2023年7月31日発行)

--マーケターに聞く集客の目標設定と戦略
-空間デザインでの集客 <トータルプロデュースできる空間デザイン会社>
-集客ツール紹介

イベントマーケティング バックナンバー

103号
2024年1月31日発行

2024年動向を聴く 月刊イベントマーケティング103号表紙・2024年動向を聴く

102号|2023年12月  
体験価値をあげるイマーシブな演出とビジネスイベントの映像活用

97号|2023年7月  
空間デザイン戦略

-- プロに聞く集客できるメソッド -
96号|2023年6月  
イベントテクノロジー

-AI・XR・プラットフォーム活用で どう変わる!?
95号|2023年5月  
LIVeNT2023の歩き方

ライブ・エンターテイメントEXPO、イベント総合EXPO、eスポーツビジネスEXPO
94号|2023年4月
映像 / 照明で体感する新たな世界観

プロに聞く、イベント演出の裏側と未来
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
92号|2023年2月
空間デザイン・ディスプレイ 2023

今年はこうなる!?
91号|2023年1月
BACKSTAGE2022

90号|2022年12月
イベントの集客

Like Us On Facebook

Facebook Pagelike Widget

イベマケYoutubeチャンネル

イベントマーケティングYoutubeチャンネル

2023年 編集計画(特集)

月刊イベントマーケティング 2023年 編集計画(特集)

5月31日95号 LIVeNT(イベント総合展)
6月30日96号 イベントテクノロジー
7月31日97号 集客・ブランディングの
    戦略・ツール・空間デザイン
8月24日98号 BACKSTAGE
    イベント企業合同説明会

カテゴリー

ページ上部へ戻る