[BACKSTAGE Report]Session6 テレビ局が新たに仕掛ける 「体験価値コンテンツ」

8月30日に開催されたイベンターのための夏フェスBACKSTAGEで語られた、Session4とSession6の2つの共通点は、コンテンツの作り手であるメディア、編集の役割。進化する時代にどう向き合い、イベントをどう捉え、活用するのか。

Session6
テレビ局が新たに仕掛ける「体験価値コンテンツ」

 

「体験価値」を高める民放3局の取組みとは

慶應義塾大学大学院 中村伊知哉教授

Session6は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授がモデレーターとなり、日本テレビ原浩生さん、TBSテレビ石井大貴さん、フジテレビ橋本英明さんがパネリストとして登壇した。

中村さんは、日本で体験価値を高めるのに、TV局が果たす役割はとても大きいとし、それぞれの取組みから紐解いた。

 

日本テレビ 原浩生さん

日本テレビの原さんはインターネット事業局に在籍し、配信事業、ネット化の支援事業、SENSORSというネット番組企画の新規事業を担当する。「SENSORS」では、テクノロジーの進化によって変わっていくエンターテインメントやメディアのあり方やビジネスを追う。番組というよりも、テクノロジーエンターテインメントというメディアプロジェクトだ。去年から「SENSORS IGNITION」という大型イベントを立ち上げ、専門イベントや、コミュニティイベントも開催。SENSORSは、メディアとして紹介するだけでなく、当事者になって新しいエンターテインメントメディア時代のイノベーションハブになれるようにとイベントを仕掛けている。

TBSテレビ石井大貴さん

日本テレビの石井さんは、次世代ビジネス企画室投資戦略部に。慶應義塾大学大学院の博士課程で中村教授のもと、視聴率以外の魅力的な指標づくりを研究中だ。もともと営業職が長かったことで、新しいモノの売り方や広告の売り方を研究しており、視聴率は最大指標ではあるがスポンサーによってニーズは個別に変わるという。いままでにないクリエイティブでエクストリームなスポーツ領域を探し、実際に日本でドローンの本格的なレースイベントを実施しBS、CSとGYAOと組んで配信。そのほか、BMXやストリートダンス、スケートボードというニッチな分野の世界大会を開催し、地上波での番組制作もした。「まだ道半ばだが世界に通用するコンテンツを日本でつくり海外にもっていくことを夢みて努力している」と話す。

フジテレビ橋本英明さん

フジテレビの橋本さんは、コンテンツ事業局と兼務でフジスタートアップベンチャーズにてVC部門を担当。原さん、石井さんと同じくイベント事業局の出身ではない。インターネットを活用してどうフジテレビのIPや強みを生かし、エンターテインメントの経験をどう広げるかが主なミッションだ。フジテレビ全体のイベント事業では、シルクドソレイユのダイハツトーテムやブロードウェイミュージカル、日本科学未来館で開催した企画展また、「ULTRA Japan」やアイドルが一堂に会す「TOKYO IDOL FESTIVAL」、そして全社をあげてのイベント「お台場みんなの夢大陸」がある。CMで話題になったDMM.プラネッツも、実はお台場みんなの夢大陸のコンテンツのひとつだった、と解説した。「ソーシャルメディアを中心としたコミュニケーションの時代になって、FacebookライブやLINEライブに代表されるリアルタイムを追求するコミュニケーションが出てきて同期性や同時性が強くなっている、この辺のキーワードを加味しながら新しいテレビの楽しみ方をトライしているところ」と話す。
みせる技術をもち、ブームを起こす
ストーリーテラーとしてテレビ

中村さんは、戦略はかなり多様だがテクノロジーが軸になっていると感想を伝えるとともに、テレビ局がイベントを仕掛けていくことの意味、強みについて聞いた。

石井さんは「純粋にアトラクションやイベントの面白さや見映えのような、みせる技術がまだまだ蓄積されている。あとは何と言っても映像化することの技術」とした。原さんは「テレビの力があるうちはブームをつくれる。メディアアートと言われていた少しマニアックなものが子供でも楽しめるものとしてブームになり同様のイベントがふえている」ことに触れた。

中村さんは世界的に見ると日本はテレビの影響力がまだまだ強く、しかもソーシャル、ドローン、IoTなどをつかって先に進めようとしていようとしている。期待できるジャンル、とした。一方で、イベントとテレビ局の本業である番組や広告事業との関わりはどうみているかという質問に、橋本さんはこう話す。「やはり、テレビはストーリーテラーとしての存在だと思っている。テレビは単なる媒体や方法の一つでしかない。最近分散型メディアの話が話題になっていてるが、テレビ局はメディアコングロマリットで、出版からイベント、映画とありとあらゆるものをつかって、一つのストーリーを伝える。その一つの重要な要素がイベントだと思っている」。

中村さんは「テレビ局がイベントというキーワードのもとで変化していることが短い時間でも共有できた。テレビ局のプラットフォーム力、吸引力は使い勝手が高く、皆さんと一緒にビジネスを広げていくことができると感じる。2020年に向けてアグレッシブなテレビ局の動きは目をそらすことができない」と、コラボの可能性などを示唆し、期待を寄せた。

 

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