【第9回】既存顧客を守るのに展示会は必要か?  B to B マーケター庭山一郎から見た 展示会エトセトラ

第9回タイトル
展示会に出展していない企業の方と話していると、その理由をこう説明してくれます。

「ウチはニッチな仕事なので新規取引ってほとんど無いのですよ。売り上げも既存顧客からが毎年90% 以上になります。既存顧客には営業や代理店がしっかり付いていますから、展示会には出ません」

でも、この考え方だと既存顧客を守れないかも知れません。

ABM という言葉をご存じでしょうか?マーケティングの先進国である米国で2012 年頃から普及し、今では大きなムーブメントになっているマーケティングの概念で、別の言い方をすれば、「営業視点で再設計されたマーケティング」と言うこともできます。このABM は既存顧客からの売り上げを最大化するという特徴を持っています。

ターゲット企業の中でメールや電話、対面などでコンタクトできる人間をコンタクトポイントと呼びます。存在は知っていても会ったことがない、メールアドレスを知らない、という人はコンタクトポイントではありません。情報を送ることが出来る、つまりコミュニケーション可能な人間だけをこう呼びます。

既存顧客を「点」ではなく「面」で守るにはこのコンタクトポイントの数が重要な要素になります。

「既存顧客は担当営業や代理店がしっかりフォローしています」もよく聞く説明ですが、毎週顧客企業を訪問している営業でも、訪問するのは同じ部署で会うのは同じ人、というケースが圧倒的です。つまりグリップしているように見えても「点」でしか繋がっていないのです。

この問題に対する答えは、その顧客企業内のコンタクトポイントを増やすことで、営業個人の「点」でも、部署としての「線」でもなく、企業全体の「面」で関係を再構築することです。これが、既存顧客からの売り上げの最大化を目指す最適な方法であり、ABM なのです。顧客企業内の営業が訪問していない事業所や部署でのコンタクトポイントを増やすために、私は展示会を積極的に活用することを提案しています。工業用ロボットの設計者が集まる展示会、IoT の研究開発部門の人が集まる展示会、物流企業の情報システム部門の人が集まる展示会、そうした顧客内の他部署のコンタクトポイントを増やすために、展示会は非常に重要な意味を持つと考えています。

個人に依存した「点と点」の関係より、複数の部署に対して、多くの製品やサービスによって「面」で繋がる方が顧客を守れるのは言うまでもありません。

関連記事

PR

イベントの未来をつくる105人

イベントの未来をつくる105人 森ビル 虎ノ門ヒルズフォーラム   時代とともに進化していくイベント。 そのイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポート。5年後10年後の未来を探るコミュニティです。

2023年イベント一覧

2023年の展示会一覧・イベントスケジュール

次号空間デザイン 特集

97号特集: -空間デザイン
BtoBの集客に効く戦略設計・ツール選択 (2023年7月31日発行)

--マーケターに聞く集客の目標設定と戦略
-空間デザインでの集客 <トータルプロデュースできる空間デザイン会社>
-集客ツール紹介

イベントマーケティング バックナンバー

103号
2024年1月31日発行

2024年動向を聴く 月刊イベントマーケティング103号表紙・2024年動向を聴く

102号|2023年12月  
体験価値をあげるイマーシブな演出とビジネスイベントの映像活用

97号|2023年7月  
空間デザイン戦略

-- プロに聞く集客できるメソッド -
96号|2023年6月  
イベントテクノロジー

-AI・XR・プラットフォーム活用で どう変わる!?
95号|2023年5月  
LIVeNT2023の歩き方

ライブ・エンターテイメントEXPO、イベント総合EXPO、eスポーツビジネスEXPO
94号|2023年4月
映像 / 照明で体感する新たな世界観

プロに聞く、イベント演出の裏側と未来
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
92号|2023年2月
空間デザイン・ディスプレイ 2023

今年はこうなる!?
91号|2023年1月
BACKSTAGE2022

90号|2022年12月
イベントの集客

Like Us On Facebook

Facebook Pagelike Widget

イベマケYoutubeチャンネル

イベントマーケティングYoutubeチャンネル

2023年 編集計画(特集)

月刊イベントマーケティング 2023年 編集計画(特集)

5月31日95号 LIVeNT(イベント総合展)
6月30日96号 イベントテクノロジー
7月31日97号 集客・ブランディングの
    戦略・ツール・空間デザイン
8月24日98号 BACKSTAGE
    イベント企業合同説明会

カテゴリー

ページ上部へ戻る