「World Space Week 2026」が10月4日に開幕 テーマは「ロケット革命」、ケネディ宇宙センターの展示会やポケモン×ESAなど世界各地で企画

「World Space Week 2026」が10月4日に開幕 テーマは「ロケット革命」、ケネディ宇宙センターの展示会やポケモン×ESAなど世界各地で企画
宇宙の科学技術が人類にもたらす貢献を祝う国連の記念週間「World Space Week(世界宇宙週間)」が、2026年10月4日(日)に始まった。会期は毎年固定で、10日(土)までの7日間だ。2026年のテーマは「Rocket Revolution(ロケット革命)」で、再使用型ロケットや商業打ち上げ事業者の広がりによって、宇宙へのアクセスがどう変わるかを掘り下げる。米国のケネディ宇宙センターでは10月9日(金)に展示会が開かれ、欧州では、欧州宇宙機関(ESA)とポケモンが組んだ企画が動いている。
この週間は、学校、博物館、プラネタリウム、宇宙機関、企業などが、それぞれの場で自由に企画を行い、世界全体で大きな「1つのイベント」をつくる仕組みだ。個々の企画は小さくても、同じテーマと同じ期間で束ねることで、規模と認知を生む。本稿では、2026年のテーマと規模、海外の主な開催事例、日本国内の動き、12月に東京で開かれる宇宙関連の展示会を整理する。
国連が1999年に制定、日付は2つの歴史的な出来事に由来
World Space Weekは、1999年12月6日の国連総会決議(54/68)で宣言された。国連の説明によると、10月4日から10日という日付は、1957年10月4日の人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げと、1967年10月10日の宇宙条約(外宇宙条約)の発効という、2つの出来事にちなんでいる。前者は宇宙時代の幕開け、後者は宇宙の平和利用に関する国際的な枠組みの出発点にあたる。
目的として、国連は4つを挙げている。学生を鼓舞して将来の人材を育てること、宇宙計画への公的な支持を示すこと、宇宙活動について一般に教育すること、そして宇宙分野のアウトリーチと教育における国際協力を進めることだ。科学館や学校を主な舞台とする企画が多いのは、この目的に沿ったものといえる。
2026年のテーマは「Rocket Revolution」――打ち上げ手段の多様化を見つめる
2026年のテーマ「ロケット革命」は、再使用型ロケット、商業打ち上げ事業者の増加、宇宙飛行に取り組む国や組織の広がりが、宇宙への行き方を変えていることを扱う(Star Walk、The Planetary Society)。インドのメディアMoneycontrolは、開幕日の記事で、1957年のスプートニク1号から、スペースXの大型宇宙船「Starship」まで、69年間でロケット技術が大きく変わったと紹介している。再使用できる打ち上げシステムが、これからの宇宙探査をどう形づくるかが焦点だ。
かつて宇宙への打ち上げは、国の機関が主導する事業だった。いまは、民間企業、大学の団体、スタートアップ、新たに宇宙計画を持つ国が加わり、担い手が広がっている。ケネディ宇宙センターの展示会も、この政府主導から多様な参加者への移行を、そのままテーマに据えている。
2025年は約5万件、102カ国で開催 2026年は100カ国以上の見込み
規模の面では、主催団体のWorld Space Week Associationが2026年3月2日に、米国テキサス州ヒューストンで、2025年の実績を発表している。Space Launch Scheduleの報道によれば、2025年は約5万件の活動が102カ国で行われ、団体は史上最高の世界的な参加だったとしている。2026年は、Space.comが、100カ国以上で行われる見込みだと伝える。2026年の件数は、本稿の執筆時点で公表が確認できていない。
参加の方法は、各国の調整機関や団体が、公式サイトにイベントを登録する形が基本だ。英国では、英国惑星間協会(BIS)が国内の調整役を務めており、計画づくりや広報、イベントの登録と更新、助言を支援している(BIS)。パキスタンでは、宇宙機関のSUPARCOが2005年から国内の調整役を担う(報道)。国ごとの窓口を置き、現地の団体が主体となって企画する、分散型の運営だ。
米ケネディ宇宙センターでは10月9日に展示会、NASAや民間企業が集結
米国フロリダ州のケネディ宇宙センター・ビジターコンプレックスは、10月9日(金)に「2026 World Space Week Expo」を開く。会場は、スペースシャトル「アトランティス」館の下層階で、参加は入場料に含まれる。公式ページによると、テーマは「ロケット革命」で、政府主導の取り組みから、民間企業、再使用型ロケット、大学グループ、スタートアップ、新たな宇宙計画までを扱う。
出展者として、NASAの技術移転プログラム、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)、ロッキード・マーチン、ブルーオリジン、L3Harris、エアバス、ケープカナベラル宇宙軍博物館、宇宙飛行士記念財団、NASAケネディ宇宙センターの体験展示などが並ぶ。打ち上げ事業者と、宇宙産業の企業、教育機関を、来館者の前に一度に集める構成で、観光施設の常設の集客力を使った企画といえる。ほかにも、ULAと模型ロケットメーカーのEstesは、学生やロケットクラブ向けに、モデルロケットの打ち上げ企画を行う(Space.com)。
カタール、英国、欧州の大学連合も、体験型の企画を展開
中東では、カタールの文化施設「カタラ文化村」が、アル・トゥラヤ・プラネタリウムで、子どもと若者向けの企画を、4日間にわたり、毎日16時から19時まで開いている。天文ショーや科学映画、ワークショップなどで構成され、ロケットづくりに挑む「Rocket Challenge」や、推進と力の原理を学ぶ「Launch Power」といった、テーマに沿ったプログラムがある。カタラ文化村が、World Space Week Qatar、Es’hailSat、持続可能な開発目標(SDGs)の大使育成センターと共同で運営する(The Peninsula)。
英国では、講演、デザインチャレンジ、学生プロジェクト、シミュレーション、歴史の振り返り、打ち上げ技術と宇宙アクセスをめぐる議論に加え、映画鑑賞、宇宙アート、詩作、星空観察まで、幅広い参加の形が例示されている。欧州の大学連合UNIVERSEHも、10月4日から10日にかけて、ワークショップや専門家の講演、宇宙をテーマにしたゲーム、映画の上映と議論などを予定しており、詳細は順次発表するとしている(UNIVERSEH)。
ESAとポケモンが連携 ピカチュウがISSに滞在、欧州の宇宙機関拠点で展示
2026年の企画のなかで、とくに目を引くのが、欧州宇宙機関(ESA)とポケモンの連携だ。Space.comによれば、両者は、World Space Week 2026に合わせて協力し、2026年9月18日に発表した。ピカチュウのぬいぐるみが、ESAの宇宙飛行士ソフィー・アドノさんとともに国際宇宙ステーション(ISS)に送られ、4月11日から6月17日までの67日間、地球を1,040周した。
これを受けた展示は、ESAの拠点を回る形で行われた。パリのESA本部(9月19・20日)、ローマのESRIN(9月25日)、オランダのESTEC(9月26・27日)、ドイツ・ダルムシュタットのESOC(10月2日)、スペインのESAC(10月3日)で開かれ、最後の英国・ハーウェルのECSATでは10月10日に開かれる予定だ。さらに、欧州各地の博物館でも、2026年10月から2027年4月までの展示企画が計画されている(Serebii)。
スマートフォンゲームの「Pokémon GO」でも、期間中に特別イベントが組まれた。現地時間の10月4日0時から10日23時59分まで、新コスチュームの「宇宙飛行士ピカチュウ」が、★1レイドと、無料のタイムドリサーチで入手でき、色違いに出会える可能性もある。タイムドリサーチの期限は、10月12日23時59分までとなっている。宇宙機関が、世界的なキャラクターコンテンツと組み、宇宙への関心を、ふだん宇宙に触れない層に届ける企画だ。
「宇宙へ行った人」は746人、各国の月探査計画も動く
週間にあわせて、各メディアも、宇宙開発の現在地を伝えている。Al Jazeeraは10月5日付の記事で、これまでに宇宙へ到達した人は52カ国から746人にのぼると伝えた。内訳は、米国が369人、旧ソ連とロシアの合計が138人、中国が29人で、女性は112人と全体の約15%、年齢の中央値は40歳だという。ただし、「宇宙へ行った人」の数は、どこから宇宙とみなすかの定義や、集計の時点によって変わる。
今後の計画では、月への有人探査が焦点となる。米航空宇宙局(NASA)のアルテミス計画は、Space.com(2026年4月30日付)によれば、アルテミスIIIが2027年後半に延期され、月面着陸ではなく、地球の軌道上で、有人宇宙船「オリオン」と、スペースXおよびブルーオリジンの月着陸船が、ランデブーとドッキングの試験を行う内容に変更されている。月面着陸は、アルテミスIVとVで、2028年の2回の機会を確保する計画だ。Al Jazeeraは、中国が2030年ごろの月面着陸を予定し、インドが2027年の初の有人飛行「ガガンヤーン」を計画していると伝えている。
日本では、「宇宙飛行ピカチュウ」など、12月に東京・日本橋で宇宙の展示会
日本国内に目を向けると、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が公開している2026年度の一般公開・特別公開の予定には、10月4日から10日の期間に当たる開催日はない。これからの予定は、10月17日(土)の地球観測センター、18日(日)の角田宇宙センター、24日(土)の勝浦宇宙通信所、11月7日(土)の相模原キャンパス(8日にオンライン)、23日(月・祝)の種子島宇宙センター、28日(土)の筑波宇宙センターなどだ。相模原キャンパスの特別公開は、事前予約制で、入場の定員は6,000人となっている。
産業イベントとして注目できるのが、12月1日(火)から3日(木)まで、東京・日本橋の日本橋三井ホール(COREDO室町1の5階)で開かれる「NIHONBASHI SPACE WEEK 2026」だ。主催はCross Uで、展示会の形で開かれる。北海道は、道内の宇宙関連企業のPRと販路拡大を支援するため、Space CubicsとSPACE COTANの2社の共同出展を決めた(北海道の発表)。
この週間には、欧州の宇宙産業を支援するCASSINIの商談プログラムも組まれている。欧州のスタートアップと中小企業が対象で、日程は11月30日から12月4日、12月2日(水)にはピッチングセッションや交流の食事会がある。応募の期限は10月31日(土)だ(CASSINI)。World Space Weekの10月の盛り上がりが、12月の日本橋の産業イベントにつながる流れが、国内でも形づくられている。
主な企画の一覧
本稿で紹介した主な企画を、日程順にまとめると、次のとおりだ。
| 日程 | 企画・会場 | 内容 |
|---|---|---|
| 10月4日(日)〜10日(土) | Pokémon GO(世界各地) | 宇宙飛行士ピカチュウが登場。リサーチの期限は10月12日 |
| 10月4日〜10日 | UNIVERSEH(欧州) | ワークショップ、講演、ゲーム、映画上映 |
| 4日間、毎日16〜19時 | カタラ文化村(カタール) | プラネタリウムでの天文ショーとワークショップ |
| 10月9日(金) | ケネディ宇宙センター(米国) | World Space Week Expo。NASA、ULA、ブルーオリジンなどが出展 |
| 10月10日(土) | ECSAT(英国・ハーウェル) | ESA×ポケモンの展示 |
| 12月1日(火)〜3日(木) | NIHONBASHI SPACE WEEK 2026(東京) | 宇宙関連の展示会。北海道の2社が共同出展 |
「統一のテーマ」と「分散した開催」で規模をつくる
World Space Weekで興味深いのは、中央の主催者が1つの大きな会場を用意するのではなく、世界各地の団体が、共通の期間とテーマのもとで、それぞれ企画を持ち寄る仕組みである点だ。2025年に約5万件、102カ国という規模に至ったのも、各国の調整機関が窓口となり、現地の学校や博物館が登録しやすい枠組みがあるからだろう。個々は小さなイベントでも、同じ名前のもとで束ねられることで、全体として大きな存在感を持つ。
2026年は、その枠組みのなかに、テーマの共有と、企業やキャラクターとの連携が加わった。ケネディ宇宙センターの展示会は、テーマ「ロケット革命」をそのまま出展者の構成に反映させており、ESAとポケモンの企画は、ゲームの期間限定イベントという身近な接点で、宇宙への関心を広げている。展示会やイベントの運営の観点では、テーマを明快に設定し、参加団体が使えるツールや枠組みを用意し、外部のコンテンツと組むという手法は、業界を問わず応用しやすい。
日本では、期間中のJAXAの一般公開がなく、国内の目立った企画は、本稿の調査の範囲では確認できなかった。一方、12月に東京で開かれる産業向けの宇宙イベントが、自治体の出展支援や、欧州のスタートアップの招へいと結びついて動いている。宇宙分野のイベントを、どの時期に、どのような参加者に向けて開くかは、今後の国内の展示会運営でも注目されるところだ。
参考情報
World Space Weekの公式サイトはworldspaceweek.orgで、各地のイベントの一覧は、同サイトのイベントのページ(worldspaceweek.org/events/)で案内されているとされる。ケネディ宇宙センターの展示会は公式ページ、ESAとポケモンの連携はSpace.comなどの報道で確認できる。
(出典:国連「World Space Week」、Star Walk、The Planetary Society、Space Launch Schedule、Space.com、Al Jazeera、Moneycontrol、Pokémon GO公式、JAXA、北海道ほか。いずれも2026年10月6日までに確認)



















