展示会出展のよくある失敗13選と対策 ブース準備から当日運営までつまずくポイント

展示会出展のよくある失敗13選と対策 ブース準備から当日運営までつまずくポイント 展示会に出展したものの、「人は集まったのに商談が生まれなかった」「準備に追われて当日は疲れ切ってしまった」「ブースの前を素通りされた」といった悔しさを味わう企業は少なくない。展示会の失敗は、特別なミスから起きるというより、ありがちな見落としが重なって起きることが多い。裏を返せば、典型的な失敗のパターンを知っておくだけで、避けられるものがかなりある。

展示会出展のよくある失敗13選と対策 ブース準備から当日運営までつまずくポイント

展示会に出展したものの、「人は集まったのに商談が生まれなかった」「準備に追われて当日は疲れ切ってしまった」「ブースの前を素通りされた」といった悔しさを味わう企業は少なくない。展示会の失敗は、特別なミスから起きるというより、ありがちな見落としが重なって起きることが多い。裏を返せば、典型的な失敗のパターンを知っておくだけで、避けられるものがかなりある。

この記事では、出展の準備段階から当日のブース運営までに起こりやすい失敗を13のパターンに分け、それぞれの原因と対策を整理する。出展の目的や予算を決める計画段階のつまずきは展示会出展計画の立て方 目的設定からKPI設計までで、会期後の成果の測り方は展示会のROIと効果測定で、フォローの失敗は展示会後のお礼メール・報告書の書き方で扱っている。この記事は、その間にある「現場」の失敗に絞って進める。展示会の全体像は展示会とはも参照してほしい。

この記事に書いてあること

展示会の失敗はどの局面で起きるのか

展示会の出展は、計画、準備、当日、会期後の四つの局面に分けられる。計画の局面では目的やターゲットが固まっていないことが、会期後の局面ではフォローや評価が不十分なことが、失敗の主な原因になる。これに対し、準備と当日の局面では、ブースの見せ方、集客、接客、運営体制といった「現場の実行力」が問われる。

現場の失敗には、共通した特徴がある。一つは、会期が数日と短く、やり直しがきかないことだ。もう一つは、準備のときには想像しにくく、当日になって初めて気づくことが多いことである。そのため、失敗のパターンを事前に頭に入れ、チェックしておくことが、最も効果的な備えになる。以下、準備段階の失敗から順に見ていく。

13の失敗に共通する三つの原因

一つ目は、来場者の視点で見ていないことである。ブースの言葉、立ち方、説明の仕方が、出展者の都合で組み立てられていると、来場者には届かない。二つ目は、事前の確認と段取りが足りないことだ。案内書の読み込み、リハーサル、役割分担といった、地味な準備が抜けると、当日に問題が一気に噴き出す。三つ目は、現場の情報が共有されていないことである。スタッフごとに対応や記録がばらばらだと、会期後の活用にもつまずく。

これから紹介する13の失敗は、一見ばらばらだが、原因をたどると、大きく三つに集約できる。

一つ目は、来場者の視点で見ていないことである。ブースの言葉、立ち方、説明の仕方が、出展者の都合で組み立てられていると、来場者には届かない。二つ目は、事前の確認と段取りが足りないことだ。案内書の読み込み、リハーサル、役割分担といった、地味な準備が抜けると、当日に問題が一気に噴き出す。三つ目は、現場の情報が共有されていないことである。スタッフごとに対応や記録がばらばらだと、会期後の活用にもつまずく。

この三つを意識しておくと、個別の失敗を覚えていなくても、準備の抜けに気づきやすくなる。「来場者から見てどうか」「事前に確認したか」「全員で共有できているか」。この三つの問いを、準備のたびに自分たちに投げかけてほしい。

準備段階でよくある失敗と対策

展示会 失敗

失敗1:何の会社か、何を提供しているかが一目で伝わらない

展示会場では、来場者は通路を歩きながら、短い時間でブースを見て、立ち寄るかどうかを決めている。社名や製品名が大きく掲げられていても、何をしている会社なのか、来場者にとってどんな価値があるのかが一目で伝わらなければ、素通りされてしまう。

対策は、ブースの正面に、来場者の課題や得られる価値を、短い言葉で示すことだ。社名よりも、「何が解決できるのか」を前面に出す。遠くから見える高さと大きさで掲げ、通路から視線が届くことを、実際の会場の寸法で確認しておきたい。ブースの設計と施工の選び方は展示会ブース装飾・施工会社の選び方が詳しい。

実践のポイントをもう少し具体的に挙げておく。ブースの正面に載せる言葉は、自社の名前や製品名ではなく、来場者が抱えている悩みや、得られる変化を一文で示すと伝わりやすい。たとえば「在庫管理の手間を減らしたい方へ」のように、相手を呼び止める書き方だ。そのうえで、通路の反対側や斜めの位置から、実際に看板がどう見えるかを確認したい。図面の上では十分な大きさでも、会場の天井の高さや、隣のブースの装飾との位置関係で、見え方は変わる。施工会社との打ち合わせでは、完成イメージだけでなく、通路からの見え方も確認してもらうとよい。また、言葉を詰め込みすぎると、かえって印象がぼやける。伝えたいメッセージは一つに絞り、補足は近づいた人に向けた小さな文字で添える。

失敗2:小間の位置や大きさを、ほとんど検討しなかった

小間は、同じ展示会でも、場所によって人通りが大きく異なる。入口付近や主要な通路に面した小間は目に留まりやすいが、会場の隅や、通路の奥まった場所は、来場者が少なくなりやすい。小間の大きさも、予算だけで決めると、商談スペースが足りなかったり、逆に広すぎて持て余したりする。

対策は、主催者が公開している小間割の図面や、過去の会場の様子を確認することである。申込みの際に、希望の位置を相談できる展示会もある。小間の大きさは、展示物の量と、同時に接客したい人数から逆算して決める。初めての出展なら、最小規模で試し、手応えを見て規模を見直す進め方が現実的だ。

小間の選択は、予算の配分とも深く結びついている。位置の良い小間は料金が高めに設定されていることもあるため、費用と見やすさのバランスで判断する。主催者によっては、過去の会場の人の流れが分かる資料を公開している場合もあるし、前回の出展者に話を聞ける場合もある。出展経験のある企業やコンサルタントに、会場の特性を尋ねるのも有効だ。角にあたる小間は二方向から来場者が来るため目立ちやすい反面、料金が上乗せされることがある。四方を通路に囲まれた独立した小間は、どの方向からも入れるので、動線を設計しやすい。小間の種類や条件は展示会ごとに異なるので、募集要項で必ず確認してほしい。

失敗3:装飾や施工の段取りが遅れ、仕様の確認も漏れていた

ブースの装飾や施工は、準備に時間がかかる。発注が遅れると、希望の業者に頼めなかったり、急ぎの追加費用が発生したりする。さらに、電気容量の申込み、装飾の高さ制限、搬入の時間帯といったルールは、主催者が発行する出展者向けの案内書に書かれている。これを読み飛ばしたまま進めると、当日になって仕様の変更を求められることがある。

対策は、出展が決まったら、まず案内書を最初から最後まで読み、申込みの締切や禁止事項を一覧にまとめておくことだ。主催者が指定する業者にしか頼めない項目もあるので、見積もりの前に確認する。全体の段取りは展示会出展までの流れ・準備スケジュール完全ガイドにまとめている。

施工の段取りで特に見落としやすいのは、搬入と撤去の時間である。会場によって、搬入できる時間帯や車両の入場方法が決まっており、遅れると設営が間に合わない。撤去は会期の最終日の終了後に一斉に行われるため、混雑しやすい。早く帰ろうとして会期中に展示物を片づけてしまうと、ルール違反になる展示会もある。装飾の高さ、壁面の使用、床への固定の方法、火気や電気の使用にも、細かな規定がある。図面を作る段階で、規定に合っているかを施工会社と一緒に確認する。見積もりでは、追加費用が発生しやすい項目(電気、照明、養生、運搬、撤去)が含まれているかを確かめておきたい。主催者に確認した内容は、メールで記録に残しておくと、後の行き違いを防げる。

失敗4:配布物やノベルティが、目的に合っていなかった

ノベルティを大量に用意したのに、配るだけで商談につながらない、あるいは、荷物になるだけで捨てられてしまう、という失敗も多い。人気があるからという理由だけで選ぶと、ブースの目的や自社の商材と結びつかない。

対策は、ノベルティを、会話のきっかけや、後日の連絡につなげる道具として位置づけることである。渡す相手を絞り、名刺交換やアンケートの回答と引き換えにするなど、渡し方を設計しておく。選び方や景品表示法などの注意点は展示会ノベルティの選び方完全ガイドで解説している。

ノベルティの失敗は、量と質の両面で起きる。数が足りずに初日で尽きる、逆に余りすぎて処分に困る、といった問題だ。配る数は、過去の来場者数と、自社のブースに立ち寄る割合の見込みから、余裕を持って概算する。余った場合に、後日の営業で渡す、社内で使うなど、使い道を決めておくとよい。質の面では、自社の商材や、来場者の業務と関連のあるものを選ぶと記憶に残りやすい。使うたびに自社のことを思い出す品は、会期後の接点にもなる。そして、渡し方のルールを決めておくことが重要だ。誰にでも配ると、本当に会いたい相手に渡せなくなる。名刺と引き換えにする、アンケートに答えてもらうなど、会話の入り口にするのがよい。

失敗5:事前の集客をせず、来場者を待つだけにした

展示会に出れば、来場者が自然に来てくれると考えてしまうケースは多い。しかし、会場には多くの出展者がいて、来場者の時間にも限りがある。待っているだけでは、狙った相手に出会えるとは限らない。

対策は、会期前に、既存顧客や見込み客へ来場を案内し、事前に来場や商談の約束を取っておくことだ。メールやSNS、プレスリリースなどを使って、出展すること、ブースの場所、見どころを知らせる。事前に会う約束のある相手がいると、当日の商談の質も安定する。

事前集客は、いつ、誰に、何を伝えるかを決めると動きやすい。既存顧客には、会期の1か月ほど前から案内を始め、直前にも念押しする。見込み客には、新製品やデモの内容など、足を運ぶ理由を添える。招待券が使える展示会なら、先に送っておくと来場のハードルが下がる。さらに、当日の時間帯を指定して商談の約束を取っておくと、ブースで待ち受ける準備ができる。SNSやウェブサイトでの告知には、ブースの小間番号を必ず入れる。小間番号がないと会場で探せず、すれ違いが起きる。主催者の公式サイトにある出展者一覧にも、自社の情報を最新の状態で掲載しておきたい。

失敗6:展示物やデモ機材の準備、動作確認が不十分だった

デモ用の機材が動かない、画面がうまく映らない、通信がつながらないといったトラブルは、当日に起きやすい。会場の通信環境や電源は、自社のオフィスと条件が違うからだ。肝心のデモが見せられないと、来場者の関心を逃してしまう。

対策は、本番と同じ条件でのリハーサルを、事前に行っておくことである。予備の機材、ケーブル、電源タップ、通信のバックアップを用意する。通信が必要なデモには、オフラインでも見せられる代替手段を持っておくと安心だ。

機材のリハーサルでは、展示の流れを通しで一度行い、時間を測っておく。デモが長すぎると来場者を待たせてしまうし、短すぎると魅力が伝わらない。説明を短い版と詳しい版に分けて準備しておくと、来場者の様子に応じて使い分けられる。映像の音声は、会場の騒がしさの中で聞こえるかを確認する。聞こえにくい場合は字幕を入れるなど、音がなくても伝わる工夫をする。会場では通信が混み合うことがあるため、通信が必要なデモは、事前にデータを機材へ保存しておく。機材は輸送中に破損することもあるので、梱包に気を配り、予備を別便で送る選択肢も考えたい。

当日の運営でよくある失敗と対策

当日の運営でよくある失敗と対策
失敗7:スタッフがブースの奥で固まり、来場者に声をかけられない
ブースの中でスタッフ同士が雑談をしていたり、座ってスマートフォンを見ていたり、腕を組んで立っていたりすると、来場者は近づきにくい。こうした姿勢は、来場者に「忙しそう」「入りづらい」という印象を与える。

失敗7:スタッフがブースの奥で固まり、来場者に声をかけられない

ブースの中でスタッフ同士が雑談をしていたり、座ってスマートフォンを見ていたり、腕を組んで立っていたりすると、来場者は近づきにくい。こうした姿勢は、来場者に「忙しそう」「入りづらい」という印象を与える。

対策は、ブースの立ち方のルールを、事前に決めておくことだ。通路側に体を向け、来場者の視線を受け止める位置に立つ。声のかけ方は、いきなり売り込むのではなく、展示物について軽く問いかけるくらいがよい。ブースに立つ人の心構えはブースアテンドとは?展示会スタッフを初めて任されたら読む記事が参考になる。

立ち方の改善は、小さなことの積み重ねである。ブースの前面に机や什器を置いて壁を作ると、来場者は中に入りにくくなる。机は、入口を塞がない位置に置く。スタッフは座らずに立って待つのが基本で、疲れたときは、来場者から見えにくい位置で短い休憩を取る。名札やユニフォームなどで、スタッフだと一目で分かるようにすると、来場者は声をかけやすい。声をかけるタイミングは、来場者が展示物の前で立ち止まった瞬間がよい。相手の視線の先にあるものについて、「気になりますか」「ご覧になっていかれますか」と軽く話しかける。追いかけずに、断られたらすぐ引き下がる。その引き際が、ブースの印象を良くする。

失敗8:一方的に説明し、相手の課題を聞いていない

製品への思い入れが強いほど、来場者に向けて、機能や特徴を一気に話してしまいがちだ。来場者にとっては、自分の課題に関係のない話が続くと、興味が薄れていく。

対策は、最初に、来場者がどんな課題を抱えているのかを聞くことである。「どのような目的でご覧になっていますか」といった短い問いから始め、相手の答えに合わせて、説明する内容を絞る。話す量より、聞く量を増やすことが、商談の質を高める。

ヒアリングの質は、最初の質問で決まる。「どのような分野のお仕事ですか」「今回は何を探しに来られましたか」といった、答えやすい質問から入る。相手の答えを聞いたうえで、自社の製品が役に立つ場面を、一つか二つに絞って説明する。専門用語を多用せず、来場者の言葉に合わせて話すことも大切だ。説明の途中で相手の反応を見て、関心が薄いようなら話題を変える。詳しく聞きたそうな様子なら、商談スペースへ案内する。「聞く時間を話す時間より長くする」といった社内の目安を決めておくと、一方的な説明を避けやすい。ただし、これはあくまで目安であり、状況に応じて調整する。

失敗9:応援スタッフの知識にばらつきがあった

他部署からの応援や、外部のスタッフが入る場合、製品や自社の強みの理解に差が出やすい。来場者からの質問に答えられず、ブースの印象が下がることがある。

対策は、事前にトークスクリプトと、よくある質問とその答えをまとめた資料を共有し、簡単なリハーサルを行うことである。答えられない質問が出たときは、無理に答えず、担当者へつなぐ流れを決めておく。外部スタッフの手配や費用については展示会スタッフ・コンパニオンの費用相場を参照してほしい。

応援スタッフの教育は、短時間でも効果がある。会期前日や当日の開場前に、15分程度でも、ブースの目的、重点的に伝えたい製品、よくある質問の答えを共有する。名刺交換や記録の方法も、その場で確認する。答えられない質問があったときは、「確認して後日ご連絡します」と伝え、質問の内容をメモすると決めておけば、不確かな回答を防げる。外部のスタッフは、製品を深く理解していなくても、案内や受付、呼び込みの役割で力を発揮する。得意なことを任せ、専門的な説明は自社の担当者が行うという分担が、うまくいきやすい。それぞれの役割は、全員に共有しておく。

失敗10:名刺やアンケートの記録の仕方が、人によって違った

スタッフごとに、名刺の扱いやメモの取り方が異なると、会期後の整理が大変になる。誰が、どんな会話をして、どの程度の関心だったのかが分からないと、フォローの優先順位がつけられない。

対策は、記録の形式をそろえることだ。名刺に、その場で見込みの度合いや会話の要点を書き込む、アンケートの項目を統一する、デジタルのフォームで一括して集める、といった方法がある。見込みの度合いを3段階程度に分け、その定義も共有しておくと、後の作業が楽になる。会期後の使い方は展示会後のお礼メール・報告書の書き方とつながる。

記録の仕組みは、できるだけ簡単にすることが、続けるコツになる。項目が多いと、忙しい会期中には書き込めなくなる。たとえば、見込みの度合い、関心のある製品、次のアクションの三つだけを、名刺の裏に書く方法がある。デジタルのツールを使うなら、名刺を読み取れるアプリや、アンケートの入力フォームを活用すると、後の入力作業を省ける。個人情報の扱いにも注意が必要だ。取得した名刺やアンケートは、利用目的を明示し、管理の担当者を決める。1日の終わりに、その日の記録を集めて確認し、抜けや読みにくいメモを補う。記憶が新しいうちに整理するほうが、正確に残せる。

失敗11:シフトや休憩の設計がなく、人手が足りない時間帯ができた

会期中は、来場者が増える時間帯と、少ない時間帯がある。昼食の時間帯や、会期の初日の午前中に人が集中しやすいことも多い。シフトを組まずに、現場の判断に任せてしまうと、混雑する時間帯に人手が足りなくなったり、スタッフが休憩を取れず、疲労で接客の質が落ちたりする。

対策は、時間帯ごとの人員配置を決め、休憩の交代の順番を事前に決めておくことだ。立ちっぱなしの仕事なので、履き慣れた靴や、水分補給の場所の確保も、意外に重要になる。会期が複数日にわたる場合は、日ごとに疲労が蓄積することも考慮する。

シフトを組む際は、来場者の動きを予測する。一般に、初日の午前や昼前後の時間帯は混み合いやすい。過去の出展者の経験や主催者の情報を参考に、人員を厚くする時間帯を決める。休憩は、スタッフが交代で取れるよう、順番をあらかじめ決める。食事を取る時間の目安も共有しておく。会場では飲食できる場所が限られ、混雑することもあるため、軽食や飲み物を準備しておくとよい。連日の立ち仕事による疲労は、接客の質に影響する。履き慣れた靴や、足の負担を和らげる工夫をし、ブースの裏に座って休める場所を確保できるとなおよい。無理のない体制が、結果的に接客の質を保つことにつながる。

失敗12:商談スペースが足りず、せっかくの来場者を逃した

来場者が足を止めても、立ち話では詳しい話ができない。商談用のテーブルが埋まっていて、次の来場者を待たせてしまうこともある。ブースが狭すぎると、混雑のなかで、来場者が居心地悪く感じる。

対策は、展示スペースと商談スペースを、動線が交わらないように配置することである。同時に何組を迎えたいのかを想定し、必要なテーブルの数を決めておく。立ち話から商談に進むための流れとして、軽い名刺交換と、後日の連絡の約束を取る方法を持っておくのもよい。

商談スペースの設計では、話の内容への配慮も大切だ。商談の内容を、隣のブースや通路に聞かれないよう、位置と向きを工夫する。テーブルは、展示物が見える位置に置くと、話の途中で実物を見せやすい。椅子の数も、想定する人数に合わせる。立ち話で終わらせず、座って話してもらえるよう、飲み物を用意する企業もある。商談が長引くと次の来場者を待たせてしまうため、時間の目安を決めて、続きは後日の面談につなげる。商談スペースへ案内するタイミングは、相手の課題を聞き、自社が役に立てると判断した時点である。そのための合図を、スタッフ間で共有しておく。

失敗13:不測の事態に備える余裕がなかった

搬入のトラブル、機材の不具合、スタッフの急な欠員、荷物の不足など、予期せぬ出来事は、ほぼ必ず起こる。予算にも人員にも余裕がないと、小さなトラブルが、ブース全体の運営に響く。

対策は、予算の一部を予備費として確保し、人員にも、1人は余裕を持たせておくことである。連絡先の一覧、主催者の事務局の窓口、施工会社や機材業者の連絡先を、ブースにも持ち込んでおく。トラブルが起きたときに、誰が判断するのかも、あらかじめ決めておきたい。

不測の事態への備えは、チェックリストにしておくと有効だ。工具(はさみ、テープ、結束バンド)、文房具、延長コード、予備の名札、清掃用具、応急処置の用品などは、小さなものでも、なくて困る。搬入の遅れや荷物の紛失に備え、必要な書類や重要な展示物は、手荷物で運ぶ選択肢も検討する。急な欠員に備えて、連絡のつく応援要員を確保しておく。万一の怪我や体調不良に備え、会場の救護の場所を確認し、スタッフにも共有する。トラブルが起きたときに、誰が責任者として判断するのかを決めておけば、現場の混乱を最小限に抑えられる。

会期中にできる軌道修正

失敗は、気づいた時点で小さく直せることがある。会期が複数日にわたる場合は、初日の終わりに短い振り返りの時間を取るとよい。どの時間帯に人が集まったのか、通路からどの程度の人が足を止めたのか、どんな声かけが反応を得たのかを、スタッフ全員で共有する。

そのうえで、2日目以降の動きを調整する。たとえば、入口側の展示物の位置を変える、配布物の渡し方を変える、人が少ない時間帯に既存顧客への連絡を入れる、といった具合だ。ブースの看板の言葉を差し替えるだけで、足を止める人が変わることもある。会期中に改善を重ねる習慣を持つと、同じ展示会の中でも、結果が変わってくる。

少人数の体制で起こりやすい失敗

担当者が数人しかいない小規模な企業では、特有の失敗が起きやすい。準備を担当する人が、通常業務と兼務しているため、細かな確認が後回しになる。当日も、ブースに立てる人数が限られ、休憩や食事の時間が取れなくなる。来場者が重なったときに、全員が接客に追われ、記録を取る余裕がなくなることもある。

対策は、役割の分担を、できるだけ早い段階で決めておくことだ。準備では、案内書の確認、施工会社との調整、販促物の制作の担当を分ける。当日は、接客、記録、機材の管理の役割を決める。足りない部分を、外部のスタッフや業者に任せる判断も、早めに行いたい。小さな体制では、すべてを完璧にこなすよりも、優先順位をつけて、最も重要な部分に力を集中することが、現実的な戦い方になる。

商材・業種によって起こりやすい失敗

起こりやすい失敗は、商材や業種によっても違う。機械や設備を扱う製造業では、大型の展示物の搬入や設置に時間がかかり、設営が間に合わないことがある。実機のデモをする場合は、安全面や電源の確認も欠かせない。IT・ソフトウェア系では、画面のデモが中心になるため、通信環境の不具合が、そのまま見せ場の喪失につながる。画面が小さく、遠くから見えないという問題も起きやすい。

食品・飲料系では、試食や試飲の準備、衛生管理、在庫の管理が課題になる。人気のあまり、用意した分が早い時間に尽きてしまうこともある。コンサルティングや人材サービスなど、形のない商材では、ブースの展示物が少ないため、何を提供しているのかが伝わりにくい。事例や数字、成果物の見本を、ブースで見せる工夫が必要になる。自社の商材の特性を踏まえ、起こりやすい失敗を、あらかじめ想定しておきたい。

出展前に使える失敗防止チェックリスト

ここまでの内容を、出展の直前にも確認できるよう、チェック項目にまとめた。

  • ブースの正面で、「何が解決できるのか」が一目で分かるか
  • 小間の位置、大きさ、動線を、会場の図面で確認したか
  • 主催者の案内書を読み、申込み締切や禁止事項を一覧にしたか
  • ノベルティや配布物は、目的と渡し方まで設計できているか
  • 来場者への事前の案内と、商談の約束は進んでいるか
  • デモ機材のリハーサルと、予備の準備は済んでいるか
  • スタッフの立ち方、声のかけ方のルールは共有できているか
  • 応援スタッフに、トークスクリプトとQ&A集を渡したか
  • 名刺やアンケートの記録の形式は、そろっているか
  • シフトと休憩の順番は、決まっているか
  • 商談スペースの数と配置は、適切か
  • 予備費と、連絡先の一覧を用意したか

失敗してしまったときの振り返り方

準備をしても、思うような結果が出ないことはある。そのときに大切なのは、失敗を責任追及で終わらせず、次の出展に生かせる形で整理することだ。

振り返りでは、まず、起きたことを事実として書き出す。たとえば、「通路側から来場者が入ってこなかった」「商談の記録が、人によってばらばらだった」といった具合だ。次に、その原因を、準備、当日、体制のどこにあったのかに分けて考える。そのうえで、次回の対策を、誰が、いつまでに行うのかまで具体的にして、記録に残す。数字による評価は展示会のROIと効果測定と合わせて行うと、現場の課題と成果の関係が見えやすくなる。

同じ失敗を繰り返さないためには、振り返りの結果を、次回の担当者が読める形で残しておくことが欠かせない。担当者が変わっても、過去の学びが引き継がれる。

展示会の失敗に関するよくある質問

Q. 初めての出展で、最も気をつけるべき失敗は何ですか?

事前の集客をせずに、待ちの姿勢で臨むことと、当日の接客体制を決めずに臨むことの二つは、特に起きやすい。会期前に来場の約束を取り、当日の立ち方やトークを共有しておくだけで、結果が変わることが多い。

Q. 人手が足りない場合は、どうすればよいですか?

無理に大きな小間を借りず、最小規模から始めるのが現実的だ。人手が足りない部分は、外部のスタッフに任せる方法もある。その場合も、製品の説明はできる限り自社の担当者が行い、案内や受付などを外部に任せるなど、役割を分けるとよい。

Q. 失敗したブースを見て、何か学べることはありますか?

他社のブースの様子は、出展者にとっても貴重な学びの場である。人が集まっているブースと、素通りされているブースを見比べ、その違いを観察してみるとよい。来場者として会場を歩くと、出展者の目線では気づかない発見がある。

Q. 失敗を防ぐために、専門家に相談したほうがよいですか?

初めての出展や、大型の出展では、経験のある施工会社や、展示会のコンサルタントに相談する方法もある。ただし、すべてを任せきりにせず、自社の目的と、判断の軸を明確に伝えたうえで相談することが重要だ。

まとめ

展示会の現場の失敗は、準備段階と当日運営の見落としから起きることが多い。ブースの見せ方、小間の選び方、装飾と施工の段取り、配布物、事前の集客、機材の準備、そして当日のスタッフの立ち方、接客、記録、シフト、商談スペース、不測の事態への備えまで、13のパターンを紹介した。いずれも、事前に知り、チェックしておけば避けられるものが多い。

まずは、チェックリストを、次の出展の準備会議で共有してみてほしい。完璧を目指す必要はない。一つでも多くの見落としを、事前に潰しておくことが、展示会の成果を安定させる近道になる。

失敗に不思議の失敗なし

展示会の失敗談を聞くと、特別な不運よりも、「あのとき誰かが気づいていれば」という種類の話が多い。案内書を読み込んでいなかった、リハーサルをしていなかった、シフトを決めていなかった。どれも、一人が気づけば防げたはずのことだ。準備の質は、担当者の能力というより、チェックの仕組みがあるかどうかで決まる面が大きいのではないか。

また、失敗を共有しやすい雰囲気の組織ほど、次の出展で改善が進みやすい。振り返りで責任を問うのではなく、起きたことと対策を記録として残す。その積み重ねが、出展のノウハウとして蓄積されていく。弊誌では、出展実務に関する記事を、これからも充実させていく。

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田中力㈱MICE研究所 代表取締役/月刊イベントマーケティング副編集長

投稿者プロフィール

田中力 ㈱MICE 研究所 代表取締役 月刊イベントマーケティング副編集長。日本展示会協会 会員交流委員会、MPI Japan Japan Chapter 役員(広報委員会)、日本イベント学会 東日本地域本部 事務局、沖縄県MICE専門アドバイザー。英国暁星国際大学卒業後、貿易・物流・小売に関わり、バイヤーのサポートとして海外展に多数参加。2015年の創刊以来、イベントマーケティング・展示会関連の取材・編集・企画にも関わる。2016年からは自社でイベント関係者向けのカンファレンスBACKSTAGEも主催。近年はイベント業界の人材課題を解決する就職フェアも実施。

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