シルモ・パリ 2026、約150カ国から32,108人が来場 1,500ブランドが集結、次回2027年は60周年展

シルモ・パリ2026 アフターショーレポート SILMO Paris

シルモ・パリ 2026、約150カ国から32,108人が来場 1,500ブランドが集結、次回2027年は60周年展

眼鏡・サングラス・眼鏡光学機器の国際見本市「シルモ・パリ(SILMO Paris)2026」が、2026年9月25日(金)から28日(月)までの4日間、フランス・パリ・ノール見本市会場で開催された。日本窓口のフランス見本市協会は10月8日、アフターショーレポートを発表。それによれば、約150カ国から32,108人の業界関係者が来場し、950社を超える企業が1,500ブランドを出展した。次回のシルモ・パリは2027年9月24日(金)〜27日(月)に開かれ、「シルモ60周年」の記念展になる。

来場者32,108人、海外比率は53%

来場者の内訳は、フランス国外が53%、国内が47%。展示スペースは80,000平方メートルに及び、950社を超える出展企業と1,500のブランドが集まった。長い歴史を持つ企業から創業間もないスタートアップまで、眼鏡光学業界のさまざまなプレーヤーが顔をそろえたと主催側はまとめている。

前回との比較も見ておきたい。シルモ・パリ2025の公式結果によると、2025年は来場者33,688人(前年比6.5%増)、海外比率52%、出展企業900社超、展示面積75,000平方メートルだった。2026年の来場者は32,108人で、2025年より1,580人(約4.7%)少ない計算になる。一方で、出展企業は950社超、展示面積は80,000平方メートルと、規模は前回を上回った。海外比率も52%から53%へと、わずかに上がっている。なお、前回の結果にはブランド数や来場国数の記載がなく、この2点は前回との比較ができない。

未来を映す「シルモ・ネクスト」、スマートグラスの国際ハッカソンも

今回の注目コンテンツのひとつが「シルモ・ネクスト(SILMO NEXT)」だ。未来学(Futurology)エリアとテック・ビレッジで構成され、スマートグラス、AI(人工知能)、予測医療など、業界が大きな変革期にあるとされるテーマにフォーカスした。テック・ビレッジでは、店舗での業務やユーザーのアイウェアの使い方を変えうる技術を、デモや体験型の展示で紹介。カンファレンスでは、眼を全身の健康状態を映す「窓」と捉え、画像解析やAIを使った予防医療への新たなアプローチが取り上げられた。

スマートグラスのヘルスケア用途をテーマにした、初の国際ハッカソンも開かれた。米国の業界紙Vision Mondayによれば、HTC、EverySight、Solos、Engoのプラットフォームを使った大会で、最優秀賞は、ADHDの人の集中や不安の管理を支援するHTCベースのアシスタント「Kimono」が受賞したという。この点は海外メディアの報道であり、日本窓口の資料には記載がない。

トレンド・フォーラムは4テーマ

ホール6のエントランスに設けられた「トレンド・フォーラム」では、今後のコレクションを形づくるフォルム、素材、カラーを没入型の展示で紹介した。出展企業の製品から選ばれたフレームとサングラスが、4つのトレンドに分けて提示された。「ファンシー(FANCY)」は自由で大胆、ファンタジックなデザイン、「カリスマ(CHARISMA)」は刺激的なコントラストを表現したデザイン、「アドレナリン(ADRENALINE)」は躍動感のあるテクノロジーを感じさせるデザイン、「オーラ(AURA)」は90年代のグラマラスな雰囲気の再来を感じさせるデザインである。

第33回シルモドール、13部門+特別賞

製品を表彰する「シルモドール」は今回で第33回。ブリュッセルを拠点とするインダストリアルデザイナーで、Futurewaveスタジオのクリエイティブディレクター兼共同創設者のJoachim Fromentさんが審査委員長を務め、デザイン、テクノロジー、実際の着用体験を重視した製品が選ばれた。日本窓口の資料では、老眼向けのオートフォーカスメガネ、VRでパーソナライズ設計した遠近両用レンズ、日常に近い広い視野で両眼の屈折度数を同時に測定する検査機器、ラグジュアリーなスマートグラス、そして天然スレートから日本製チタンまで多彩な素材を使った職人技の製品が受賞したと紹介している。

個別の製品を見ると、日本の読者に関わりの深いものが目につく。眼鏡光学機器部門のニデックの「PHANTOM」は、他覚・自覚屈折検査と視力検査を1台に統合した開放視野の両眼屈折検査システムで、資料によれば臨床研究で従来法と同等の精度を保ちながら検査時間を60%以上短縮できたとされる。ニデックは日本の眼科機器メーカーで、PHANTOMは2026年1月下旬にミラノのMIDO Eyewear 2026で発表されたと報じられている。また、サングラスのクラフツマンシップ&ノウハウ部門を受賞したBrettの「Ferdinand Sun」は、日本製チタンから削り出した高精度の一体型フロントが特徴だ。

ビジョン部門のMega Opticの「Evosight VR」は、視線追跡技術を使ってVR空間で取得した動的な測定データから、一人ひとりに合わせて設計する遠近両用レンズで、3年間の研究開発を経て2026年3月1日に発売された。眼鏡光学機器の検査から、レンズ設計、スマートグラスまで、デジタル技術が眼鏡の工程全体に入り込んでいる様子がうかがえる。子供用部門は、Karavan Kidsの「Zigzag」(Design Eyewear Group)が受賞した。同グループの発表によると、3〜8歳向けの製品で、5つのファイナリストから選ばれた。

CSR、若手育成、オプティシャン表彰

CSRの取り組みとして、ホール6入口の160平方メートルの空間に、第2回となる「CSRスポット(GOOD EYES ON THE PLANET)」が設けられた。フランスのCSRコンサルティング会社Hyssopとの連携で、環境に配慮した素材を集めたマテリアル・ライブラリーや、社会課題に取り組むスタートアップの紹介、ワークショップ、パネルディスカッションなどを展開した。関連して、CSR戦略を具体的で測定可能な行動に移している企業を表彰する「コミッテド・カンパニー・アワード」には、オーストリアのAndy Wolfが選ばれた。同社のアセテートフレームの85%は、サステナブル素材のリニューアセテート(Acetate Renew)で作られ、2021年から2024年にかけて製品の環境負荷をアセテート製品で53%、メタル製品で38%削減した。生産は100%欧州域内で完結し、航空輸送は使っていないという。

新しい才能を支える「オプティカルデザイン・コンテスト」は第5回。フランス人デザイナーのOlivier Lapidusさんが審査委員長を務め、「眼鏡光学の未来は、どのような展望であるか?」をテーマに学生が作品を競った。優秀作品は、米国サバンナ芸術工科大学のSophia Denisonさんの「DREAMSCAPE」で、視覚的な歪みで白昼夢の感覚を再現し、現代の「注意力の危機」に応える作品と評価された。また、国際オプティシャン協会(IOA)がシルモと協力して贈る「インターナショナル・オプティシャン・オブ・ザ・イヤー」は、英国のJessica Gowingさんが受賞した。ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート小児病院で主任オプトメトリストを務め、頭蓋顔面異常のある子どもたちのために、一人ひとりに合わせた3Dプリント製フレームを設計している。

会場内の「シルモ・トーク」では、60を超えるカンファレンスで、AI、スマートグラス、健康、小売、CSR、オプティシャンという職業の変化などが議論された。シルモ・アカデミーの取り組みとして、Quinze-Vingts国立眼科病院の医師、Aliénor Vienne-Jumeauさんの研究プロジェクトには、1万ユーロの研究助成金が贈られた。

編集部の視点

展示会の運営側から見ると、シルモ・パリは「見本市」にとどまらない複数の仕掛けを重ねている。出展企業の製品を並べる展示に加えて、トレンドを見せるフォーラム、技術の未来を扱うシルモ・ネクスト、受賞で出展者の訴求を後押しするシルモドール、学生や医療従事者を表彰・支援するプログラムといった構成だ。シルモドールについて日本窓口の資料は、受賞企業が出展ブースや広報活動で掲げられる国際的な認定証でもあると説明している。出展者にとっての成果を、会期中の商談だけでなく、会期後の広報にも広げる設計と言える。来場者数が前回をわずかに下回る一方、出展規模は拡大しており、次回の60周年展でどのような上積みが図られるかも注目される。

第33回シルモドール受賞製品

部門 企業・ブランド 製品名
子供用 Karavan Kids Zigzag(Design Eyewear Group)
スポーツ Julbo Panora
ビジョン Mega Optic Evosight VR
ビジョン―低視力 Eschenbach Optik optaro® XL
眼鏡光学機器 Nidek PHANTOM™
テクニカルイノベーション(アイウェア) Laclarée Autofocus glasses
スマートグラス GETD & Marienfeld The Luxury AI glasses
メガネフレーム(レーベル) Lancel Emeline(Grosfilley)
サングラス(レーベル) Victoria Beckham VB 7015/S(Safilo)
サングラス(アイウェアデザイナー) Caroline Abram Sakura
メガネフレーム(アイウェアデザイナー) Maison Lune Galet
サングラス(クラフツマンシップ&ノウハウ) Brett Ferdinand Sun
メガネフレーム(クラフツマンシップ&ノウハウ) rolf. Eyewear Superbird
審査員特別賞 Paloceras Pebble RX

次回は2027年9月24〜27日、シルモ・イスタンブールは11月

次回の「シルモ・パリ 2027」は、2027年9月24日(金)〜27日(月)にパリ・ノール見本市会場で開催予定で、シルモの60周年を記念する展示会になる。シルモのファミリーイベントでは、2026年11月18日(水)〜21日(土)に、トルコ・イスタンブールのイスタンブール・エキスポ・センターで「シルモ・イスタンブール」が予定されている。

シルモの出展・来場に関する問い合わせは、フランス見本市協会(東京都港区虎ノ門5-3-20 仙石山アネックス204、電話03-6809-1650、メールjapan@promosalons.com)が受け付けている。詳細は同協会のウェブサイトで確認できる。

参考

フランス見本市協会(日本窓口):シルモ・パリ2026アフターショーレポート(2026年10月8日付プレスリリース)
SILMO Paris 2025 結果(公式)
Vision Monday:Silmo Paris 2026 Showcases Innovation, Design and Sustainability
Vision Monday:第33回シルモドール受賞者
Design Eyewear Group:Zigzag受賞発表
Eyes On Eyecare:Nidek PHANTOM発表
SILMO Istanbul 2026(公式)

 

田中力 MICE 研究所 代表 展示会 イベント集客は、来場者数、来場者の質、滞留時間という 集客3D理論を展開。

田中力㈱MICE研究所 代表取締役/月刊イベントマーケティング副編集長

投稿者プロフィール

田中力 ㈱MICE 研究所 代表取締役 月刊イベントマーケティング副編集長。日本展示会協会 会員交流委員会、MPI Japan Japan Chapter 役員(広報委員会)、日本イベント学会 東日本地域本部 事務局、沖縄県MICE専門アドバイザー。英国暁星国際大学卒業後、貿易・物流・小売に関わり、バイヤーのサポートとして海外展に多数参加。2015年の創刊以来、イベントマーケティング・展示会関連の取材・編集・企画にも関わる。2016年からは自社でイベント関係者向けのカンファレンスBACKSTAGEも主催。近年はイベント業界の人材課題を解決する就職フェアも実施。

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