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二つの万博跡地は”終わらない資産” ―1970年と2025年をつなぐ「横山万博」にみるイベントブランド設計
- 2026/8/14
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二つの万博跡地は”終わらない資産” ―1970年と2025年をつなぐ「横山万博」にみるイベントブランド設計
「横山万博」が再びトレンドに浮上している。今回話題になっているのは2025年の大阪・関西万博での一夜限りの単発企画そのものではなく、2026年10月31日(土)・11月1日(日)に大阪・万博記念公園(吹田市)で開催される野外フェス「KAMIGATA EXPO PARK FES 2026」だ。初日10月31日の12時から12時45分、TAKOYAKI STAGEで予定される「開会宣言・横山万博」のコーナーとして、公開されたばかりのタイムテーブルに名前が再登場した。会場となる万博記念公園は、1970年の大阪万博の跡地を整備した「万博レガシーの原型」ともいえる場所であり、2025年の大阪・関西万博でも閉幕後の跡地・夢洲を舞台に同様のレガシー活用構想が進められている。一つの企画タイトルの再登板というだけでなく、「万博の跡地を継続的なイベントの舞台にする」という大きな流れの中にこの企画を位置づけて読み解いてみたい。
何が発表されたか―KAMIGATA EXPO PARK FES 2026の概要
同フェスは、STARTO ENTERTAINMENT所属の関西出身タレントによるユニット「KAMIGATA BOYZ」(SUPER EIGHT、WEST.、なにわ男子、Aぇ! group、関西ジュニアで構成)が主催する野外フェスで、公式サイトによれば会場規模は甲子園球場65個分に及び、同事務所史上最大規模のイベントと位置づけられている。会場は太陽の塔で知られる万博記念公園全体で、ステージは「TAKOYAKI STAGE」と「AMECHAN STAGE」の2会場構成だ。
KAMIGATA BOYZとしての活動は、コロナ禍の2020年7月に太陽の塔前で行った無観客ライブ配信に始まり、2024年9月にはヤンマースタジアム長居で約11万人を動員する大規模ライブを成功させている。今回はその延長線上で、単独ライブから会場全体を使う滞在型フェスへと形式を拡張した格好だ。
チケットはファンクラブ会員先行の1日券が16,000円(税込、万博記念公園の入園料込み)で、申込は8月3日正午まで、当落発表は8月21日。TAKOYAKI STAGEはスタンディングのブロック指定制となっている。タイムテーブルは7月22日に第1弾、8月14日に第2弾が公開されたばかりで、この第2弾で「開会宣言・横山万博」というコーナー名が明らかになった。
万博記念公園という「レガシー拠点」
会場となる万博記念公園は、1970年の日本万国博覧会(大阪万博、来場者約6,421万人)の跡地を整備した公園だ。1972年3月15日、一般公開2周年の日に開園し、管理主体は財団法人日本万国博覧会記念協会、独立行政法人日本万国博覧会記念機構を経て、現在は大阪府に引き継がれている。シンボルの太陽の塔をはじめ万博当時の遺構を保存しながら、半世紀以上にわたり音楽イベントや祭事、スポーツ大会など多様な催しの舞台であり続けてきた。
つまり万博記念公園そのものが、「万博の跡地を一過性のイベント跡地で終わらせず、継続的な文化・集客拠点として運用する」という日本における先行モデルにあたる。KAMIGATA EXPO PARK FES 2026がこの場所を選んだのは、単に「太陽の塔がある有名な公園」という理由だけでなく、50年以上にわたり大型イベントを受け入れてきた実績ある会場という側面も大きいと考えられる。
背景―2025年の「横山万博」とは
「横山万博」というタイトルは、もともと2025年9月11日に大阪・関西万博(夢洲)の屋外施設「EXPOアリーナ『Matsuri』」で開催された一夜限りのスペシャルイベントに由来する。SUPER EIGHTの横山裕さんを慕う後輩アーティスト、通称「横山会」による企画で、各グループの公式YouTubeで公開されたドライブやバーベキューの動画企画が話題を呼び、総再生回数1,700万回超の熱量が万博の公式プログラムに転化したという経緯があった。当日は横山さん本人が飛行機の遅延で会場入りできず、スマートフォン越しのテレビ電話出演という形になったが、生配信・見逃し配信を併用したことで単発イベントとしての完成度を保った。
大阪・関西万博自体は、2025年4月13日から10月13日までの184日間で一般来場者数が約2,557万人に達し、1970年の大阪万博に次ぐ国内歴代2位の規模となった。「横山万博」は、その大規模な万博会期中に生まれた数多くの公式プログラムの一つであり、ファン発の熱量を万博という国家的イベントの枠組みに接続した象徴的な事例だった。
今回の「開会宣言・横山万博」は、その一夜限りの企画名を、規模も枠組みも異なる別のフェスの冒頭セレモニーの呼称として再び用いた形になる。単発で消費された企画タイトルを、翌年の別イベントの中で継続的なブランド資産として扱う手法として読み取れる。
大阪・関西万博のレガシー戦略との接続
2025年の大阪・関西万博閉幕から半年余りが経過した2026年、経済産業省と大阪府・大阪市は万博跡地・夢洲における「レガシー」継承の方針を相次いで公表している。経済産業省が2026年6月にまとめた資料は、跡地でのレガシー発信策として「持続的な文化・芸術イベントや音楽イベントなどを実施し、記念公園を交流の場として活用する」方針を掲げる。大阪府・市が同年2月に公表した資料でも、夢洲を「万博の記録や成果を、日本・世界へ発信する機能」を担う場と位置づけ、音楽やアートを含む多様な取組みの継続的な展開を掲げている。
この方針を踏まえると、KAMIGATA EXPO PARK FES 2026は夢洲ではなく1970年万博の跡地・万博記念公園での開催だが、まさに行政側が2025年万博の跡地活用のレガシーとして目指す「文化・音楽イベントの継続開催」というモデルを、半世紀先行して体現してきた場所での実例といえる。大阪という都市が、二つの万博(1970年・2025年)を経て、それぞれの跡地を一過性の遺産で終わらせず、継続的なイベント拠点として運用しようとしている構図の中に、「横山万博」というコンテンツも位置づけられる。
イベントマーケティング視点での示唆
ここから読み取れる論点は四つある。第一に、単発企画のタイトルをIP(知的財産)として再利用する発想だ。「横山万博」は元来、一夜限りの特別企画という位置づけだったが、認知度と語感の強さを踏まえて、翌年の別フェスの開会セレモニー名として再登板させている。展示会やイベントの企画名も、一度きりで終わらせず、シリーズ化・コーナー化する余地がないか検討する価値がある。
第二に、会場の名称そのものをコンテンツ化する視点だ。会場選定の段階で、その名称や由来がプロモーション上どう機能するかを織り込む発想は、地方の産業展示会や物産展の企画にも応用できる。
第三に、単独ライブから滞在型フェスへの規模拡張である。2020年の無観客配信、2024年の約11万人動員のスタジアムライブを経て、2026年は甲子園球場65個分の会場を丸ごと使う複数ステージ・複数日程のフェス形式に発展した。一つの企画・ブランドを段階的にスケールアップさせていくロードマップは、単発イベントから継続開催・拡大開催へと育てていく際の一つのモデルケースといえる。
第四に、「万博跡地」というレガシー拠点をイベント会場として活用する視点だ。万博記念公園が50年以上にわたり大型イベントの受け皿であり続けてきた実績は、夢洲を含む今後の万博跡地活用や、展示会場・レガシー施設の長期運用を考えるうえでも参考になる。一過性の熱量で終わらせず、会場という物理的資産を継続的なコンテンツ供給拠点として設計する発想は、展示会・見本市業界にとっても示唆に富む。
主な参照元
- KAMIGATA EXPO PARK FES 2026 公式サイト
- KAMIGATA BOYZ 公式サイト
- EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト「【予約情報等更新】『横山万博』9月11日開催決定!」(2025年8月19日更新)
- EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト「イベント情報」(EXPOアリーナ「Matsuri」施設概要)
- EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト「大阪・関西万博来場者が2500万人を超えました!」(2025年9月27日)
- 日本経済新聞「大阪万博の一般来場者2557万人に」(2025年10月14日)
- 経済産業省「大阪・関西万博のレガシー展開」(2026年6月、別添2)
- 大阪府・大阪市「夢洲における万博レガシーの継承と発信について」(2026年2月27日、参考6)
- 万博記念公園公式サイト「大阪万博」
- 万博記念公園公式サイト「万博の森づくり」
- 大阪府公式サイト「万博記念公園事業の大阪府への承継」
- CDJournal(Yahoo!ニュース配信)「横山裕を愛する後輩メンバーが関西万博に集結」当日レポート(2025年9月12日)












