福島ユナイテッドFCがISO 20121認証取得──スポーツイベント運営における国際規格導入の動き、日本で本格化
- 2026/6/12
- ニュース

福島ユナイテッドFCがISO 20121認証取得──スポーツイベント運営における国際規格導入の動き、日本で本格化
福島ユナイテッドFC(J3)が、持続可能なイベント運営の国際規格「ISO 20121:2024」の認証を取得した。BSIグループジャパン(英国規格協会)から2026年6月5日付で認証を授与された。認証範囲は、Jリーグ公式試合でJリーグが福島ユナイテッドに委譲したホームゲーム興行の企画・準備・運営、および事後処理業務となる。スポーツイベント運営における「持続可能性」への取り組みが、国際規格による認証という形で定着し始めている。
ISO 20121とは──環境・社会・経済を統合したマネジメントシステム
ISO 20121(イベントサステナビリティ・マネジメントシステム)は、イベント運営における環境・社会・経済の観点を統合し、継続的改善を求めるマネジメントシステム規格だ。単発的な施策ではなく、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルに基づく継続的改善が大きな特徴である。
また、ステークホルダーとの対話やサプライチェーン全体を含む取り組みの可視化・高度化を促進し、持続可能性を「仕組み」として定着させることを目指している。つまり、イベントが環境や社会に与える影響を、構造的にマネジメントするための規格といえる。
ISO 20121は、BSIが開発に関わったBS 8901に基づいて策定されたもので、国際的な大会やスポーツイベントでの導入が進んでいる。英国ではプレミアリーグのリバプールFC、トッテナム・ホットスパーが取得するなど、欧州サッカー分野での導入事例も見られている。
スポーツイベント運営における持続可能性の潮流
福島ユナイテッドFCの認証取得は、スポーツ業界全体における「スポーツポジティブ」への転換を象徴している。スポーツポジティブとは、スポーツがもたらす影響を環境・社会・経済においてプラスに転換し、持続可能な社会づくりに貢献する考え方だ。従来の環境負荷の低減にとどまらず、地域コミュニティの活性化、多様性・インクルージョンの促進、サプライチェーン全体での持続可能性など、包括的な価値創出を重視する。
国際的には、FIFAが2026年大会に向けてサステナビリティ戦略を強化し、UEFA(欧州サッカー連盟)も環境問題(E)・社会課題(S)・ガバナンス(G)を重視した基準導入を進めている。日本国内でも、Jリーグが2025年4月、スポーツインダストリーの国際的な気候アクションイニシアチブ「Sport Positive Leagues」にアジアから初めて参画。日本サッカー協会(JFA)も2026年4月、UEFAとのサステナビリティ領域における協力議定書の締結を発表するなど、動きが加速している。
福島ユナイテッドFCが認証取得に至った背景
福島ユナイテッドFC代表取締役の小山淳氏は、認証取得の背景について「サステナビリティに配慮したホームゲーム運営の実践には客観性と透明性が不可欠」と述べている。ISO 20121は国際的なベストプラクティスであり、認証取得を機に、ステークホルダーの皆様と共に進化し続ける「福島モデル」を追求していく意向を示している。
また、BSIを選んだ理由について、小山氏はISO 20121のベースを開発した機関である点を重視したと説明。さらに、フットボール×サステナビリティ活動で先駆的なリバプールFCやトッテナム・ホットスパーの認証審査を担当した実績が決め手になったとしている。つまり、グローバルな事例や先行事例における審査経験を持つ機関を選択することで、国際的な水準での認証取得を目指したということだ。
イベント・MICE業界への示唆
福島ユナイテッドFCの認証取得は、スポーツイベント運営における「持続可能性の可視化」が進んでいることを示している。従来、イベント運営における環境配慮や社会的配慮は、企業の自主的な取り組みの範囲にとどまることが多かった。しかし、国際規格による認証という客観的な評価が加わることで、ステークホルダーに対する「説明責任」が生まれる。
イベント業界の視点から見ると、この動きは重要な転換点を示唆している。第1に、スポーツイベント運営における「持続可能性」が、企業の社会貢献活動の枠を超え、経営的な必須要件へと位置付けられ始めているということだ。第2に、その達成度を測定・検証するための国際規格が活用されるようになったということ。第3に、参加者・来場者・ステークホルダーが、そうした規格認証を事業選択の基準に組み込むようになりつつあるということだ。
日本のスポーツイベント業界でも、今後こうした国際規格認証取得の動きが広がる可能性が高い。特にJリーグクラブやその他のスポーツ団体が追随するなら、イベント運営における「持続可能性マネジメント」が業界標準になる時代が来るかもしれない。
福島との関わりにおける意味
福島という地域的背景も、本認証の意味を深くしている。福島ユナイテッドFCは、東日本大震災からの復興と地域活性化を目指すクラブだ。スポーツを通じて地域をつなぎ、福島の未来に向けた価値創出を地域社会とともに進める取り組みは、スポーツが「競技」を超えて「社会的役割」を担う存在へと進化していることを示している。
ISO 20121認証は、その取り組みに対する国際的な「お墨付き」となる。地域復興の文脈の中で、持続可能なイベント運営を実践するクラブの存在は、今後のスポーツイベント運営における新しいモデルケースになりうる。
開催概要
- 認証対象企業:株式会社AC福島ユナイテッド(福島ユナイテッドFC)
- 認証規格:ISO 20121:2024(イベントサステナビリティ・マネジメントシステム)
- 認証範囲:公益財団法人日本サッカー協会(JFA)および公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が主催し、Jリーグが主管する公式試合において、Jリーグが福島ユナイテッドに主管を委譲した公式試合に係るホームゲーム興行の企画・準備・運営、および事後処理業務
- 認証日:2026年6月5日
- 認証授与式:2026年6月7日(於:とうほう・みんなのスタジアム)
- 認証機関:BSIグループジャパン株式会社
ISO 20121について
- 規格名:イベントサステナビリティ・マネジメントシステム
- 開発背景:BSIが開発に関わったBS 8901に基づいて策定
- 特徴:環境・社会・経済の観点を統合し、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルに基づく継続的改善を求める
- 国際導入事例:リバプールFC、トッテナム・ホットスパー(英国)、パシフィコ横浜(日本)など
- 詳細情報:https://www.bsigroup.com/ja-JP/products-and-services/standards/iso-20121-event-sustainability-management-systems/
福島ユナイテッドFC
- チーム名:福島ユナイテッドFC
- 所属リーグ:日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)J3
- 本拠地:福島県福島市
- ホームスタジアム:とうほう・みんなのスタジアム
- 公式ウェブサイト:https://fufc.jp/












