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企画の舞台裏

テイクアンドギヴ・ニーズ×antenna*の体験イベントのつくりかた 映画館とはひと味違う体験を〜『T&G Films』レポート

テイクアンドギヴ・ニーズ×antenna*の体験イベントのつくりかた 映画館とはひと味違う体験を〜『T&G Films』レポート »

2018年5月30日の夜、アーカンジェル代官山で「T&G Films」が行われた。婚礼の会場を全国で60店舗ほど運営するテイクアンドギヴ・ニーズと、ライフスタイル情報をキュレーションするスマートフォンアプリantenna* が共催する、ウェディング会場でショートフィルムを鑑賞するという新たなエンターテイメントイベントだ。

 

この日だけでなく、全国約30店舗で、平日夜にショートフィルムの鑑賞イベント「T&G Films」は行われているという。

都内会場は7店舗で実施。今回会場になっているアーカンジェル代官山の大きな玄関をくぐって、ポーチを抜け、ドアを開けると、婚礼会場らしく祝祭にあふれた非日常的な空間に包まれる。上質な空間に贅沢な気持ちになる。受付をして、上映会の会場へ。柔らかい色合いの生花のブーケと上品にテーブルコーディネイトされた丸テーブルに席をとる。

 

上映会がはじまるまで、参加者はしばしの間、特別な空間にただよう雰囲気を味わいながら、空間を写真に撮ったりと思い思いに自由な時間を過ごす。

 

ドリンクオーダーもでき、スパークリングワインやビール、彩り鮮やかなノンアルコールカクテルのほか、コーヒー、紅茶、ソフトドリンクも。この会場ではスペシャルドリンクとして色が変わる不思議なハーブティーバタフライピーが用意されていた。他にフォトスポットを用意する会場もあり、会場ごとに違ったおもてなしが用意され、いつもの映画館とはひと味違った、婚礼会場らしい趣を感じる。

 

いよいよショートフィルムの上映会がスタート。今回選ばれた上映作品は3作。米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭の「ショートショート フィルムフェスティバル& アジア」が今年20周年を迎えることを記念したプログラムで、映画祭の受賞作のなかから選ばれた3作を鑑賞する。

 

今回は受賞作品の鑑賞となったが、「T&G Films」では毎月上映作品を変えており、これまで「Happy End」や「Love」といったテーマでチョイスされてきた。ショートフィルムというジャンルには5分のものから長くても25分のものまであり、「T&G Films」では全体で1時間に収まるよう、毎回3〜4本の作品を上映している。6月からのテーマは「Romance」だ。

作品名:「ゲット・アップ キンシャサ! / Get Up Kinshasa!」(フランス/コンゴ民主共和国)2016年

 

作品名:「インタビュー/ The Interviewer」(オーストラリア)2012年

 

作品名:「合唱/ SING」(ハンガリー)2015年

 

この日、上映された受賞作品はこの3作品。ショートフィルムならではの短時間にシンプルなメッセージが込められたもので、上映合間の休憩時間には、参加者は「こっちの作品が好き」「こういう意味だよね」と作品の感想や解釈を語り合う姿もあった。

 

すべての作品を鑑賞し終わると、映画館のように入れ替え制ではないため、席にしばらくいて会話を楽しんでもいいし、世界観に浸っていてもよい。会場のチャペルを内覧することもできる。なかには、「T&G Films」の参加をきっかけに、実際に婚礼会場として利用に至ったケースもあるという。

 

上映会を共同開催したテイクアンドギヴ・ニーズ新規事業開発部の宮﨑いづみさんと、antenna*副編集長の小川智宏さんに企画の背景や開催効果についてお話を伺った。

宮﨑いづみさん(テイクアンドギヴ・ニーズ)

「テイクアンドギヴ・ニーズでは、婚礼の会場を全国で60店舗ほど運営しています。婚礼という性質上、お客様との接点は、結婚式の日を境に終わってしまうということがありました。企画の背景には、結婚式後に会場に足を運んでいただく機会を設けられていなかったという弊社側の思いもあるのですが、お客様からいただいた『思い出の場所にまた行きたい』という声もきっかけの一つです。また、会場ご利用者様だけでなく、近隣の方々にも会場のことを知っていただいて、周りの皆さまに愛していただける場所にと思いまして、『T&G Films』を企画いたしました」

 

「リピーターになっていただく方も多く、特に映画を観る時間以外に、前後の時間の過ごし方が式場ならではだと思います。フォトジェニックな場所も多くあるので、女性同士で写真を撮られたり、終わったあともソファに座りながら余韻に浸られたり、という姿をよく拝見します。通常の映画館とは違う時間や空間の提供に満足いただいていることが、アンケートのご回答からもみてとれます」

 

小川智宏さん(antenna*副編集長)

「テイクアンドギヴ・ニーズさんが『T&G Films』で表現されている上質な世界観が、われわれantenna*が標榜している豊かなライフスタイルを伝えるコンテンツとマッチして非常によかったと思っています。antenna*ユーザーさんたちが憧れられる世界観がテイクアンドギヴ・ニーズさんの空間にはあって、そのなかで映画を楽しむという体験を提供できています」

「antenna*でも、ショートフィルムをアプリ内で配信し、カルチャーとして芸術分野のコンテンツともコミットしてきています。記事の延長線上に、今回の『T&G Films』のようにリアルにその世界観を提供できるという流れをつくることができたこともありがたいですね。僕も実際に体感してみて、スマートフォンの画面でみるショートフィルムとも、映画館でみる映画とも、全く別物の体験だと感じました」

 

テイクアンドギヴ・ニーズといえば、ウェディング業界参入当初にはエンドロール・ムービーの当日編集という演出で驚かせ、いまでは業界の常識にしたというチャレンジャー。「変えるのはウェディングだけじゃない。全ての人の“心”を、“人生”を豊かに。」を掲げる。一方で、「より豊かな体験をしてもらいたい」と上質なコンテンツを届けるキュレーションアプリantenna*。提供する世界観に親和性があるだけに、参加者は居心地がよさそうに時間を過ごしていた。

 

ケンタッキー×antenna* の体験型イベントのつくりかた 「ケンタッキーフライドチキン『“チーズたっぷり”な新商品』発表会&試食会」レポート

ケンタッキー×antenna* の体験型イベントのつくりかた 「ケンタッキーフライドチキン『“チーズたっぷり”な新商品』発表会&試食会」レポート »

CMや動画でよく知っている商品や企業。SNSやオウンドメディアでタッチポイントはふえ、距離感は以前より近くなってきた。でも、開発に携わっているひとたちとのダイレクトなコミュニケーションの機会はまだまだ少ない。今回は、スマートフォンアプリサービスが仲をとりもち、企業とユーザーのリアルコミュニーションの場をつくった取り組みを紹介する。

 

2018年3月15 日夕刻、全国に「ケンタッキーフライドチキン」を展開する日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(以下日本KFC)と、ライフスタイル情報をキュレーションするスマートフォンアプリサービス「antenna* 」の共同主催で、「ケンタッキーフライドチキン『“チーズたっぷり”な新商品』発表会&試食会」が開催された。

日本KFCは、3月23日から、3つの新商品「サクサク骨なしケンタッキー<芳醇チーズ衣>」「とろ~りチーズチキンサンド」「Krushers(クラッシャーズ) キャラメルクランチ」を販売する。今回はその発表会・試食会とあって、antenna* のユーザーなど約80名が、横浜にある日本KFC本社6階に集まった。

同日昼間には一般メディア向けのリリースが行われていたが、それとは別に、今回のイベントが開かれた理由のポイントとなっているのが、KFCにとってターゲット層でありながらも普段なかなか接点を持つ機会のない、10代〜20代の女性たちの存在だ。普段直接アプローチできる機会の少ない生活者の中でも、流行に敏感で、SNSなどを使った拡散力の高い彼女達に、商品を事前に試してもらうことによって、よりみずみずしい「生の声」が、自然に広まっていくことへの期待ができる。

 

普段は一般の人々は立ち入ることのできない6階の会場で、イベントが幕を開ける。司会進行は世界に2人しかいない「オリジナルチキンマイスター」の笠原氏だ。もう一人の「オリジナルチキンマイスター」、羽鳥氏も同会場で進行を見守る。

早速、新商品についての説明が行われていく。

新商品紹介の間に挟まれる形で、3月23日から放送予定の新CMのプレ上映も行われた。また、続いて新しくリリースされたKFC公式アプリの「KFCマイレージプログラム」の紹介が続く。

 

いよいよ試食タイムへ

説明が終わると、待望の試食タイムへ。

会場内にはあらかじめ多数のテーブルが用意されており、それぞれに春らしくピクニックを思わせるような装飾と、ソフトドリンク、紙皿・紙コップ、紙ナプキンやおしぼりなどの準備がなされていた。

さらに今回、注目を浴びたサービスが限定店舗で展開中の「フィンガーナップ」だ。これは指先専用のビニール手袋で、脂などで汚れがちな手先にこれを装着することで、指を汚さずにチキン等を食べることができるという、画期的なアイテムだ。「スマホなどを触りながら食事をする方向けに」と、現代の社会の風潮に合わせ開発されたものだという。

「新商品と通常商品を食べ比べながら楽しんでもらえるように」との主催側の心遣いのもと、各テーブルに、特別な春仕様のバーレル(入れ物)に入ったオリジナルチキンと、カーネリングポテト、ハニーメイプル付きのビスケットが置かれていく。一方、新商品はブースでのビュッフェ形式となっており、早くも長蛇の列が見られた。

 

参加者の声

会場に訪れていた参加者の方々に、感想を聞いた。

「チーズが大好きなので、ケンタッキーの中で一番好きな商品のチキンとのコラボレーションが嬉しかったです。今日のチキンは骨がないから食べやすかったし、やっぱりチーズの風味がすごくいいと感じました」

「サンドの中のチキンがすごく厚みがあって、さすがチキンにこだわるケンタッキーならではのサンドだなって思います。ボリューム感も大満足」

「あと、チーズが、よくありがちな固形的な感触がなくてすごくとろけているので、癖がなくて、チーズが苦手な人にも楽しめるようになっていると思います」

 

「フィンガーナップ、手が汚れないので最高です!普段からケンタッキーにおいてあるのなら、毎回、商品を買ったお客さん全員につけてあげて欲しい。いちいち指ふかなくてもいいし、まとめて食べて、何か他のものを触るときは外して、ってできるので」

 

「チキンの骨がないのがすごく良かったです!やっぱり女の人って食べるの気を遣うじゃないですか、手を汚したくないし、口から骨を出したくないし。なので、キレイに食べられて満足感が高かったです。ゴミも出ないですし。それと、ビニール手袋最強。普段使いで、マイ手袋持ち歩いて使いたいです(笑)。チーズの味も、チーズ自体が大好きなので、いい意味で味が濃くって、それなのにくさみや臭いがなくて、おいしかったです」

 

「ケンタッキー大好きでよく行くんですけど、いつも食べるオリジナルチキンと今回の商品では“皮感”が違いました。サクサクしてておいしかったです」

「甘いのがすごく好きで、キャラメルのクラッシャーズは3つ飲んじゃいました(笑)。全然飽きなくて、いくらでも飲めちゃいます。通常メニューのビスケットも安定で美味しいし、全部するするいけちゃう感じ。」

「今日一番好きだったのはチキンです!チーズがすごく好きなので。時間が経ってない、できたてのサクサクを味わえたっていうのが最高でした。早速アプリダウンロードして、たくさんリピートしようと思います!」

 

「全部ペロッと食べちゃいました。新商品のチーズのチキンは、絶対お酒に合いそう。普通のオリジナルチキンと食べ比べながら、ビール飲みたいです(笑)。クラッシャーズは、ナッツのカリカリ感が美味しかった。サンドもおいしくて、持って帰りたいですね(笑)!」

 

イベント共同主催の理由

ベント閉会後、今回のイベントを行うことになった経緯とねらいについて、antenna* の北見裕介さん、日本KFCの鈴木真美子さんに、それぞれお話を伺った。

北見さん(antenna*):

「今回縁あってケンタッキーさんとのコラボが実現したわけですが、そもそも私たちはスマホ向けのアプリサービスを提供する会社とあって、昨今のスマホの使われ方の時流による変化というものを感じてきていたんです。かつてはゲームですとか、そういうバーチャル空間を楽しむ1デバイスとしての側面を持っていたものが、今は、出かけた先で写真を撮って残したりですとか、そういう日常生活に紐付いたものになってきている」

「であれば、僕らもバーチャル空間を抜けて、机上のものではないリアルな体験としての“出かけたくなる場所”を作ろう、と。どこかに行きたくなる、みたいな要素を提供していきたいと思ったんですよね。実際、CMとか動画で商品の説明を見ることはできるけど、途中で見るのが面倒になってしまったりするじゃないですか。でも、こうやって実際に足を運べば、商品づくりに深く携わっている人たちのお話を聞きながら“こういう風に食べたらおいしいんだ!”“こうやって作られているんだ、すごいな”っていうことを感じることができる。今回のイベントは、参加者の方々にそういった思いを持って帰ってもらうことができたら、それで成功かなって思っています」

 

鈴木さん(日本KFC):

「今回、私たちがなかなか普段リーチできない若い女性を中心とした一般のお客様と、ありがたいご縁でこういった場を設けていただけたことは、すごくいいきっかけになったと思っています。普段多少なりとも我々に興味をもってオウンドメディアを見てくださっている層とはまた違ったところに向けて、インスタグラムとかツイッターとか、拡散力のあるSNSを使っていち早く情報を発信していただけるかな、という要素もあります」

「また、今回のイベントで提供した新商品と、若い女性のお客様というターゲット層の合致も良かった点だと思います。チーズそのものが今女性に人気のある食材であるということと、クラッシャーズは元々若い女性に向けた商品として展開していたので。今回は食べ比べ用のメニューとして通常商品もご用意させていただきましたが、その中で選択したビスケットという商品も、女性に人気がある、というポイントがありました」

ケンタッキーでは、「おいしさ、しあわせ創造企業」という理念が掲げられ、日夜顧客に“おいしいもので幸せになってもらう”ための商品づくりが行われている。

今回のイベントに関しても、参加者層に合わせた提供商品の選定などが行われていた。

 

顧客の満足度第一に商品の展開を行っていくKFCと、ユーザーにスマホでの情報を契機とした「体験の楽しみ」を提供していくantenna*。それぞれの「顧客を思う気持ち」が相乗効果を生み、非常に来場者満足度の高い、和気藹々とした春先のイベントとなった。

(取材・撮影=本田恵理/編集=樋口陽子)