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樋口陽子  月刊イベントマーケティング 編集長 MICE 研究所「イベントは体験提供の場」として、イベント現場で体当たり取材を行っている

東京観光財団が刀剣博物館でユニークベニュー体験提供

東京観光財団が刀剣博物館でユニークベニュー体験提供 »

7月8日、東京観光財団は日本美術刀剣保存協会・刀剣博物館と共催で「TOKYO ユニークベニューショーケースイベント〜TOKYO cool traditions〜」を開催した。

 

ユニークベニューとは、歴史と伝統のある建物や芸術文化に触れることのできる施設などで、会議やイベント、レセプション等を特別感を演出しながら開催できる会場のこと。東京には、東京都がもつ11の施設に加え、美術館や庭園、神社仏閣、テーマパークなどの施設が揃っており、2019年3月に東京都が発行した「Unique Venues TOKYO」には、刀剣博物館をはじめ57の施設が紹介されている。外観・内観、利用時の写真や簡易平面図、スペースごとに一覧になった面積や対応人数(着席時・立食時)、利用時間、飲食利用の有無などの備考とともに掲載。「Unique Venues TOKYO」の刀剣博物館のページをみると、1F講堂には160㎡の面積で100名(立食)、カフェスペース60名(同)とあった。

 

 

実際に行われた「TOKYO ユニークベニューショーケースイベント〜TOKYO cool traditions〜」には、関係者含め、約140名が参加。企業関係者が8割のほか、大使館、会場施設運営者、MICEプランナー、プレスも18メディアと多様な顔ぶれとなった。

 

刀剣博物館のロケーションは、両国駅から約5〜7分歩いた場所で旧安田庭園内に位置している。旧安田庭園の和風な門をくぐり、庭園を抜けて刀剣博物館がみえると、日本庭園と刀剣というイメージからは、よい意味でギャップのあるモダン建築な外観が現れる。

 

 

クロークに荷物を預け、1Fホール内に用意された受付を済ませて、オープニングの主催者挨拶が行われる1F講堂に入ると、ガラス張りの半円形ホールでさきほどの旧安田庭園が望める。ガラス面側には庭園との間にテラスがあり、LEDの灯りでほんのりと光るテーブルが夕暮れから夜にかけての風景を演出していた。

 

 

18時に開会された「TOKYO ユニークベニューショーケースイベント〜TOKYO cool traditions〜」のプログラムは約2時間。スタートから約30分ほど、講堂ステージ上で主催者挨拶や施設挨拶、忍者パフォーマンスが繰り広げられ、立食の料理が振舞われた。その後、参加者は4組に分かれ、刀剣研磨デモンストレーション(1F講堂)、刀剣等の展示ツアー(3F展示コーナー)、和楽器&ジャズセッション(1Fホールアトラクションスペース)、庭園散策(旧安田庭園)のプログラムを堪能した。

 

 

刀剣博物館でのユニークベニューとしての活用は初めてで、1F講堂での飲食提供も初と、チャレンジづくしとなった「TOKYO ユニークベニューショーケースイベント〜TOKYO cool traditions〜」。実際に会場側の現場スタッフとして対応した公益財団法人日本美術刀剣保存協会の荒川史人さんは、開催までの背景と初のユニークベニュー提供を通じての課題と期待をこう語る。

 

「ユニークベニューとしての開放については、3年以上前に東京都観光財団さんからお声がけがありました。きっかけとなったのは刀剣博物館の代々木から両国への移転です。建築家として著名な槇文彦さんによる設計で2018年1月にオープンして新しくなったことを機に、『Unique Venues TOKYO』への掲載を決め、そこから貸出規約や料金などの策定に取り掛かりました。

 

今回のようなイベントの受入れは初めての試みでしたのでして課題も多く、われわれ約30名ほどの人員をどう対応体制をつくるかといったほか、本来業務として文化財を残していく日本刀を伝えていくために展示品・保管品の保存状況確保を第一とした運用体制などが根本的な方向性としてあります。今回実施した後に、主催者さんのされたいこと、会場として対応できることを改めて整理するようにしたいです」

 

実際に、演出としての灯り、装飾の草花などは、防虫の観点から虫の誘因性の低いLEDや造花を採用するなど配慮している。また、荒川さんは、公益財団法人の事業制度、文化財の運用と保存に関する法制度の海外と日本の差などは、ユニークベニューを推進するうえでも段階的に検討するべき課題であるとし、それぞれの施設の存在意義に合致したイベント、日本らしいユニークベニューの展開を望む。

主催した東京都観光財団では、大きなトラブルなく開催できたことに安堵しながらも、実施してみて出てきた改善点の洗い出しをし、次の段階に向けて展開したいとしている。また、今回の参加者には、同施設の活用や他のユニークベニュー施設に意識を向けてもらいたい、とも話す。

 

参加した国際団体のマーケティング担当者は「刀剣博物館は日本人のわたしたちも知らない部分もあったりして新鮮でしたし、海外から日本を選択されたときに期待している体験プログラムだと感じました。予算に合えば活用してみたい」とし、よかった点として「東京の食材を使用した地産地消の立食メニューや、土に還るお皿やFSC認証のお箸の使用など、環境への配慮が素晴らしかった。もっと全面に出してもよいのでは」と評価していた。

 

 

 

ユニークベニューでのイベント開催は、特にロンドンの自然史博物館、パリのルーブル美術館を代表とする欧州の海外先進事例から、日本での実施を推進する動きが活発化している。イベント参加者の満足度アップを見込めるポイントとして位置づけられているユニークベニュー。参加者への“特別な時間”の提供が、会場側や主催側の双方にとってプレゼンスを発揮するためには、改善点のリストアップとその裏にある制度や組織体制の理解をあわせて進めることも重要だ。

 

ネパールYouMe School創設者シャラド・ライさんに聴く「なぜ、学ぶか」の原点 〜「縁と自分事の大切さ」に気づく 中原中学校国際交流イベント〜

ネパールYouMe School創設者シャラド・ライさんに聴く「なぜ、学ぶか」の原点 〜「縁と自分事の大切さ」に気づく 中原中学校国際交流イベント〜 »

5月29日、柏市立中原中学校の体育館には、全校生徒447名と教員、保護者らが集まり、国際交流会「無限大の夢ふくらむ学校を、僕の故郷ネパールに」が開催された。

 

 

学習のモチベーション その本質伝えたいと企画

交流会イベントに登壇したのは、シャラド・ライさん。ネパールの辺境に生まれたが、学びの機会に恵まれ、日本に留学する機会を得て、日本企業に入社。現在は、NPO法人YouMe Nepal代表理事として母国ネパールに恩返しすべく活動を続けながら、東京大学大学院で日本の教育システムを学び母国に持ち帰ろうと学び続けている。

この交流会は、中原中学校校長として4月に就任した藤崎英明先生が初めて企画した国際交流のイベントだ。遡ること半年前、藤崎先生はライさんと教育関連のイベントのスピーカー同士として出会い、学び続ける重要性と学びへの気持ちを改めて強く感じたことをきっかけに、いまの中学生たちにも伝えたいと熱望し、赴任早々に国際交流イベントとして企画し実現したもの。「何より、学習のモチベーションについて、その本質を子どもたちに伝えたかった」と語る。

 

国際交流会は、給食後の5〜6校時の平常授業を総合学習に切り替えて展開。ライさんが全校生徒の集まる体育館に、ネパールの正装で立ち、柔らかな笑顔で「ナマステ」と挨拶すると、生徒らは少し恥ずかしそうに「ナマステ!」と返し、和やかな雰囲気のなか、講演はスタートした。

 

 

10才のとき起きた奇跡

講演でライさんは、「国づくりは子どもたちの未来づくりから」をテーマに、インド北東部と中国に挟まれた内陸の国で、世界一高い山であるエベレスト山がある国であること、日本の餃子に似たモモという料理などに触れながら、ネパールのことをわかりやすく解説。そして故郷での学習環境について紹介していった。

 

ライさんの故郷は首都カトマンズから東へ220㎞に位置し、北にはエベレスト山を望むことのできるコタン群。ネパールでも田舎のほうで、電気もガスもなく、ベンガル虎も出没するという地域。ライさん自身は地元の学校には1時間半歩いて通っていたという。そんなライさんに転機が訪れたのが、10才のとき。ネパール全国で99人が選ばれる国立学校に入学できる1人に選出されたのだ。「奇跡が起きた」とライさんは表現する。それから小学4年から高校卒業までをカトマンズにあるその学校で過ごした。全寮制の学校で、長い休みのときに自宅に帰ったが、3000mほどの標高のある山を2つ越え、3日間をかけた里帰りだったという。

 

教育が必要な本当の理由

「いまの自分があるのは、国が学校へ行かせてくれたおかげ。だから、国に恩返しをしたい」という思いを持ちながら、どう恩返しをしたらよいか具体的に考えたのは、日本へ留学した大学生時代。自分の故郷の友人が何をしているか調べたところ、友達のほとんどが中学校を卒業できずにいたこと、中国、マレーシア、インドなど国外へ出稼にでていたことを知る。さらに調べるとネパールからは毎日1500人ほどが国外で労働し、その内容は12時間以上の過酷な労働環境であること、悲しいことに毎日3〜4名が亡くなって遺体で戻ってきており、ライさんの親戚でも2人亡くなった、という過酷な状況にも直面したことを語った。

こうした事実をライさんは「ニュースでみたり、ひとから聞いたりしたことではなく、自分の隣人に起こっている現実です」と言い、その原因を「教育」だと話す。実際に、ネパールの学校に私立もあるが、大都市のみで、学費が高い。8割は公立で、ほとんどの子供たちは公立に通うしかない。さらに公立の学習環境の質は低く、子供達が何時間もかけて通っても、時間通りに始まらない、教材の到着も予定より3〜4ヶ月後で、給食もない、などシステムやマネジメントに課題を抱える。2010年にライさんが調べた際には、地元の中学校で卒業試験を受けた71名全員が不合格で高校へは進学できなかったそうだ。その状況は3年間続いていたとも話す。

 

ライさんは、教育が必要な理由について、読み書きができるようになることだけではないと説明する。「教育というのは、自分の頭脳を使って、自分の人生をどう過ごしたいのか、どんなひとになりたいかと、自分の意思で、自分の1日、一生を生きることができるようにするためのもの」と柔らかく語気を強めた。

 

7名でスタート、4年で218名に

その気持ちを胸にライさんは大学4年の時、ネパールの故郷に学校を建てようと決心。バイト代20万円を貯め、現地で10万円の出資を募って、計30万円で2011年にYouMe Schoolを創設する。校舎と1人の先生と7名の生徒からスタート。4年後の2015年には新校舎をつくって、生徒は218名になった。また、2017年にはもう一つ別の場所にも学校を建設、210名が通っている。「もちろん最初から順調だったわけではありません」と、ライさんは当初、描いているビジョン、これからつくろうとしている世界を理解してもらうことに苦労したそうだが、時に笑われ、時に馬鹿にされることがあっても強い信念で楽しみながら続けていると笑顔で伝えた。

 

そして、ライさんはYouMe Schoolに現在通う生徒たちの学校生活について、うれしそうに紹介した。一番遠くて片道3時間半かけて通ってくる生徒もいる。ライさんは、日本の小学校・中学校で見聞きしたなかで、良いと思ったことは真似をして取り入れていると話す。和の心の教えとして、「時間を守ること」「約束を守ること」はYouMe Schoolでも学びとして伝え、自分の学校は自分たちで掃除するという習慣も実践している。

 

ライさんのみる未来

創設から8年で生徒数400名以上になったYouMe School。ライさんのみる未来はもっと大きい。「ネパールの子供たちは500万人います。いま、400人の子供たちの未来をつくっているけれど、500万人の子供たちにとって、全員にいい未来をつくりたい」として、現在はオンラインでの教育に力を注いでいる。ソフトバンクでの経験も生かし、インターネットの力で教育を提供しようと昨年から取り組んでいるものだ。YouMe Schoolの隣の群の市の、若くリーダーシップを持った市長と共に取り組み始め、オンライン教育に必要な発電機やインターネットのための設備の導入や必要な人員を派遣し、2つの公立学校でプロジェクトを行っている。

 

ライさんは、中原中学校の生徒たちに、最後に伝えたいこととしてこう伝えた。

「人生でなにをしたいか、まだ探している途中だと思う。やってみて、飽きて、別のことをやったりすることもあるかもしれない、実証実験の時期だと思う。大事なことは、そうしたトライをやり続けること」と言う。ライさん自身は、現在32才。「僕は将来、自分の国に帰って、たくさんの子供たちの未来をつくるために、国のリーダーになりたい、という夢があります。それが僕の人生で登りたい山。皆さんも自分の未来、どんな山を登りたいか、探し続けてください」

 

後半には、ライブ動画配信でネパールのYouMe Schoolの生徒たちと中原中学校の生徒たちをリアルタイムにつなぐ試みも展開。ネパールの通信回線は2Gと通信環境にギャップがあるため、声が届かずに対話がスムーズにはいかない場面にも、中原中学校の生徒たちは、大きく手を振って応答。一瞬、ライブ配信がつながると、中原中の生徒らは興奮したようすで、声を届けようと体育館中に響く元気いっぱいな「ナマステ!」の挨拶をした。

 

ライさんの講演、ライブ配信による交流のあとには質疑応答の時間が設けられ、「好きなネパール料理は?」「授業は何時間?」「日本の印象は?」「好きな言葉は」「不安はないの?」など質問が約30分間も続き、やむことがなかった。一つひとつの質問に丁寧に回答、終わるごとに大きな拍手が鳴る。とりわけ、さいごの質問にあった「不安」に対して、ライさんは、「サッカーのメッシ選手を知っている?メッシ選手にサッカーすることに不安かと聞くのと同じで、いま楽しいという気持ちしかない。不安はありません」という言葉には、感嘆の声が漏れ、大きく盛り上がった。

 

 

国際交流会で気づいてほしかった2つのこと

 

藤崎先生は、生徒たちにこの会のはじまりに、2つのことに気づいてもらいたい、としてこう話してからスタートしていた。

ひとつは、この会のきっかけになった“縁”について。

「ライさんとは教育イベントのスピーカー同士という共通項があっても、話すことはなかったかもしれない」と振り返る。Facebookでイベントへ登壇することを投稿したところ、教え子だった吉田真佑さんから「そのイベントに僕の同僚だったライ君も出るので話してみてください」とコメントがあって、縁がつながった。藤崎先生は「もし、吉田君の一言がなかったら、この場はきっとありませんでした」と点と点だった物事や人が、人を介してつながりをもつ“縁”の大切さを伝えた。そして、「もしかしたら、このあとさらに興味をもって知ろう、つながろうとすれば見聞を広げることができる」と縁が導く出会いの素敵さを説いた。

 

もうひとつは、ライさんのもつ“当事者意識”だ。

「自分の国の教育を変えようとしている姿から、熱量を感じてほしい」と話す。日頃、「日本は政治が悪い」などと聞いたり、あるいは「クラスが面白くない」「勉強がわからない。教え方がわかりにくい」と言っていたりとするならば、それを自分から変えようとしてほしい、ということだ。

 

 

同イベントには、ライさんと藤崎先生との縁をつないだ吉田真佑さんも参加。会の冒頭で、吉田さん自ら、元同僚としてライさんを紹介するとともに、ネパールとのライブ中継に使われた回線手配も、吉田さんが準備をした。ライさんが4年在籍し、吉田さんが務めるソフトバンクでは、社外活動を奨励しており、ライさんの活動も支援、吉田さんの国際交流会への参加も快諾している。

 

吉田さんはライさん在籍時に席を並べた仕事仲間でもあり、同イベントを企画した藤崎先生とは中学時代に師弟の関係で、先生がはじめて担任としてクラスをもった、教え子一期生でもある。吉田さんも藤崎先生とライさんをつなげたきっかけをつくってから、わずか6か月後に国際交流会の舞台をともにしたことを喜んでいた。

 

 

考え方、意識が変わった

国際交流会後、中原中学校の生徒たちが書いた感想文には枠いっぱいに感じたことやライさんへのメッセージが書き込まれていた。「他の人になにか言われてもあきらめずに、これからの国のことや、人のことを考え学校を作っていて、すごくかっこよかった。(中略)この講演を聞いて、自分の考え方とか、意識みたいなものが変わった」(中学3年生・男子生徒)、「今、私は進路を考えて、1歩ずつ大人へと近づいていこうとしている。そこでまよってしまったとき、ライさんのように、大きな目標を見つけ、そのブロックをどうにかしてくずせるようにたくさんの努力をぶつけることをしたい。」(中学3年生・女子生徒)、「あたりまえがあたりまえでないこともあると改めて知ることができた。今ぼく達はあたりまえがあたりまえのように今、この時間を過ごしている。自分たちにとってはあたりまえだとしても、あたりまえじゃない人もたくさん世の中にはいると思うから、このあたりまえのように生きている時間をもっと大切にいきていこうと思った。あたりまえがあたりまえじゃなくなる前に」といった声も聞かれた。ネパールのYouMe Shoolの生徒たちもライブ配信での交流を楽しんでいたようだ。

 

企画した藤崎先生が「学習のモチベーションについて、その本質を伝える」を目的と話していた同イベントは、教科書の活字やネットニュースの伝え聞いた情報ではなく、目の前のシャラド・ライさんから等身大の言葉として、生徒たちが聴き、笑い、内省し、対話して得た生きた学びの場となっていた。

 

 

 

 

 

(取材・文=樋口陽子*藤崎先生の教え子第一期生で、吉田さんと同級生)

ニコニコ超会議2019「超テクノ法要×向源」の舞台裏

ニコニコ超会議2019「超テクノ法要×向源」の舞台裏 »

イベントの未来をつくる105人では、さまざまなイベントを主催し、そのレポートを掲載しているが、今回は開催中のイベントの現地レポートとインタビューをお届け。イベントの未来をつくるボードメンバーである友光雅臣さんが体験コーナーを担当した「ニコニコ超会議2019」での「超テクノ法要」の舞台裏をお伝えする。

 

2019年4月27日(土)、28日(日)の2日間にかけて、株式会社ドワンゴが主催するネット発&日本最大級の文化祭「ニコニコ超会議2019」が千葉県・幕張メッセにて開催された。

ドワンゴが提供する動画共有サービス「ニコニコ動画」のオフラインミーティングであるニコニコ超会議のコンセプトは「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」。

 

ボーカロイドやVTuber、歌い手や声優といった、普段はWeb上で発信されているコンテンツがひとつの会場に集まるほか、その様子がニコニコ動画でも放送され、コメントを通して会議に参加できる仕組みになっている。

「同じって、うれしい。違うって、たのしい」がキャッチコピーのニコニコ超会議2019にボーカロイドやVtuberなどのファンが集まるなかで、ひときわ異色を放つブースがある。それが「超テクノ法要×向源」だ。

元DJの僧侶・朝倉行宣さんが手がける「超テクノ法要」は、浄土真宗の世界観をテクノミュージックを乗せながらプロジェクションマッピングと融合させた映像で表現する、新しい “法要” のこと。

同じく元DJの僧侶であり、寺社フェス「向源」代表である友光雅臣さんが体験コーナーを担当し、音楽と体験を通して参加者に仏教の世界を体感してもらうことが狙いだ。

 

開催2年目となる2019年は「超テクノ法要」がステージを盛り上げるなかで、初音ミクの形をした「初音ミロク菩薩」の製作風景を生配信したり、お坊さん・牧師さんと15分間無料で話せる「お坊さん・牧師さんと話そう」を開催したりと、ニコニコ超会議ならではのコンテンツを手がけた。

 

 

宗教ブースというと距離を感じてしまいがちだが、10代〜20代の若者やコスプレイヤーなど、老若男女問わず幅広い来場者が参加していた「超テクノ法要×向源」。

 

パフォーマンスの動画撮影が許可されていたり、QRコードを読み込んで回答した参加者アンケートの結果がプロジェクションマッピングに反映される「サイバー南無南無」が会場を盛り上げたりと、テクノロジーと掛け合わせることで、ただ “観る” だけでなく “参加” できるコンテンツが詰まっている。

 

「超テクノ法要」では最前列で動画を撮ったり手を合わせて拝んだりと、さまざまな姿勢で仏教と触れ合う参加者の様子が見られた。

 

他にも「声だけでつくる音楽×お経」や「お経+ミュージック=ブッダ・サウンドプロジェクト」などのパフォーマンスも多くの来場者を集め、「お坊さん・牧師さんと話そう」「サイレント座禅」などの体験コーナーとあわせて会場を大きく盛り上げた。参加者の顔には笑顔が溢れ、新鮮な心持ちを得る様子が感じられた。

 

 

 

大盛況だった2日間を終え、「向源」代表でイベントの未来をつくる105人ボードメンバーでもある友光雅臣さんと株式会社ドワンゴの高橋薫さんに、企画の狙いやニコニコ超会議ならではの工夫についてお話を伺った。

 

 

−−「超テクノ法要×向源」を企画したきっかけと、ねらいを教えてください

ドワンゴ・高橋:テクノ法要のお手伝いや生中継を何度かniconicoで行っているうちに、このテクノ法要をniconicoで最大のイベント「ニコニコ超会議」で実施できないかなと考えまして。朝倉行宣さん(テクノ法要を行う福井県・照恩寺の住職)に相談してみたところ「それだったら一緒にやれると面白いお坊さんがいるよ」と紹介されたのが、友光さんでした。「じゃあ一緒にやりましょう!」ということでコラボレーションすることが決まって。

 

友光:高橋さんが端折っているところでちょっと説明を追加すると、テクノ法要だけだと超会議にすでにある大きなステージのなかの1コンテンツとして行う可能性もあったんですよね。それではせっかくの新しい仏教コンテンツも「何か変わったステージだなあ」という感想で終わってしまう。

 

高橋:はい、それではもったいない。せっかくならステージのパフォーマンスに加えて体験企画を組み合わせて一つの大きなブースにしてしまおうと考えまして。

友光:そこで、朝倉さんとドワンゴさんからお声がけいただき、寺社フェスなどを開催している「向源」が体験コーナーを担当することになったんです。

そこで、ブースに来てくれたかたに「仏教って何だろう」と考えてもらったり「自分はこういうことを感じていたんだ」と気づいてもらうきっかけになるようにコラボレート企画を考えました。

ニコニコ超会議(以下、超会議)は “会議” という名前の通り、出演者も来場者もみんなが参加して発言権を持てる空間。

向源には「源に向かう」という意味があるように、自分自身が何を思っているかだったり、自分のなかにある声を大切にすることだったり、自分に気づくことを大事にしているので、仏教の布教は目的にせず、仏教や日本文化を通じて自分自身が何を考えているのかを感じてもらえる場にしようと思いました。

−−ニコニコ超会議のなかでも、宗教ブースはかなり珍しいと思います。そのなかで「超テクノ法要×向源」だからこその役割は何だと考えていらっしゃいますか?

友光:街中にあるお寺や神社のように、ほっとできる場所を提供することだと思っています。みんながさまざまなブースで物を売ったり、パフォーマンスをしていたりするなかで、お寺や神社の役割は騒がしい空間のなかでも「ほっとできる場所」「休める場所」なのではないか、と。楽しんだあとに少し落ち着いて自分のことを振り返る場所を提供したいと思い、安心して自分を開ける空間にすることを意識しました。

高橋:普段は気づかないけれど、自分たちの生活に深く関係しているものに触れてもらうきっかけになれたらと考えています。仏教は、日本の伝統の裏側にずっと続いてるものだと思うんです。お葬式=仏教というイメージがついてしまっているなかで、それだけではないという部分で宗教という形ではなく日本の伝統文化の文脈で伝えるということを重視しました。

 

−−初回である去年と比べてお客様の反応は変わりましたか?

友光:今年は朝11時のテクノ法要に合わせて、多くの方が来てくださりました。朝11時にステージ前到着するとしたら朝の何時から並んでいるのか、と考えると、とても嬉しかったです。

去年は「ニコニコ超会議にくる方はどのようなコンテンツが好きなのだろう」と悩んでいたのですが、僕たちが普段やっていることを楽しんでくれたので、今年は安心して企画できました。他のブースをまわっているときも「テクノ法要のお坊さんですか」「『お坊さん・牧師さんと話そう』に興味があるので、あとで行きます」と声をかけてくださって……。お互いがやりたいことをやりつつ尊重し合えているので、居心地がいいですね。「うちの寺も街に馴染んだなあ」という感覚です(笑)。

高橋:昨年テクノ法要も好評だったのですが、実は「お坊さん・牧師さんと話そう」がとても人気だったんです。普段はお寺に行かないような若い人がお坊さんと話している姿があったり、お坊さんからも「いつも話せないような方から真剣な質問を受けてびっくりしました」と感想をもらって。

なので友光さんも言ってますが、こういうものが受け入れられるんだ、ということがわかっていたのでさらにブラッシュアップを考えることができました。このブースは超会議で珍しい「暗いブース」なんですが、それを強調したり、その中でテクノ法要以外の企画を目立たせるにはどうしたらいいかを考えたり。去年なかなか伝え方が難しかった座禅などにも来場者が並んでいるのをみて、本当に良かったなーと思ってます。

−−お二人はそれぞれコラボレーションすることのメリットをどのように感じていますか。

友光:3年前に1週間ほど「向源」を開催して1万5000人が来場するイベントを作ったのですが、プロモーションから当日の運営までの全てをボランティアで回すことはとても大変でした。今回ドワンゴとコラボレーションさせてもらうことで、十何万人もの方々と接触する機会を持てるうえに、チケットの販売や場所取り、プロモーションなどのオペレーションも手伝っていただけるのは、メリットしかないと感じました。

 

そして何より、幅広い層の方と触れ合えることも良いですね。ニコニコ超会議には日本文化や仏教が好きという方が少ない一方で、ゲームやアニメを通して宗教のモチーフに触れてきた方が来てくれる。そこで「お寺でお坊さんに話を聞いてもらうまででもないけれど、少し興味がある」という方が気軽に足を運んでいただけるので、普段関わりの少ない10代・20代の方たちと接触できるのはありがたいです。

高橋:主催者・参加者関係なくみんなにとっての「出会いの場」になることが一番のメリットだと感じます。僕だって、普段だったら友光さんとも出会わなかっただろうし……。ニコニコ動画を飛び出したリアルな場だからこその出会いもそうですし、ネット上の生放送でもコメントをしてくださる方のなかに仏教に詳しい方がいて、それを読んだ方との会話が生まれていますし、さまざまな出会いに繋がっていると思います。それにこのブースでニコニコに触れてくれたお坊さんたちが、ニコニコで活動をしてくれることにも繋がりましたしね。笑

 

−−それでは最後に、ニコニコ超会議の成功を経て、今後はどのように進んでいきたいのか教えてください。

 

友光:「こうなりたい」「こうなってほしい」という狙いや作為を抱いても空回りする現場なんだろうなと感じて居ます。超会議のお客さんだからこうすれば喜ぶだろうとか、変に寄せることはせず、手加減無しにその時そのときのベストを尽くすことで本気のコミュニケーションが生まれるのかなと思っています。そういう意味で今後や超会議の中での立ち位置などに関しては、高橋さんをはじめとしたドワンゴの方がブレイン(脳)となって考えてくれているので、僕らは現場の筋肉として動いています。

 

高橋:そうですね。超会議にブースを出し続けるという目標はありますが、伝統文化や仏教にテクノロジーが合わさることで、超会議以外の場所にも偏在していく状況を作りたいです。普段は存在しているけれど見えない “仏教” をテクノロジーで可視化し、その橋渡しになれればいいな、と思います。

(取材・文/撮影*=高城つかさ、編集=樋口陽子)

*クレジットのある写真は「ニコニコ超会議」公式より

編集長に叱られる#02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー

編集長に叱られる#02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー »

「編集長に叱られる#02」(2/15、虎ノ門ヒルズフォーラム)では、ソーシャルコンテンツプロデューサーで広報企画会社スコップ代表の山名清隆さんをゲストに、月刊イベントマーケティングの編集長で、イベントの未来をつくる105人ボードメンバーの樋口陽子がSOCIMO(ソーシャルモチベーション)のこと、公共的プロジェクト継続の仕組みづくりなどをお聞きしました。さいきんのイベント参加者の傾向として、企業の組織人としてだけではなく、個人としてイベントに関わることがふえてきたように思います。変化する参加マインドに合わせたイベントづくりにもSOCIMOのエッセンスはヒントになるのではないでしょうか。

やりたくてやりたいことをしよう

山名さんのプロジェクトは、「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」や「東京カンパイ自動車」など、ついひとに教えたくなるものばかり。

プロジェクトはすべて社会実験のようなものと話す山名さん。「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」の場合は、文字通り、嬬恋村のキャベツ畑の真ん中で妻に向かって愛を叫ぶシンプルなイベント。愛妻家という未確認生物がいるかどうかの社会的実験だったと話します。当初、予算ゼロでしたが、リリースを出すとテレビ局や新聞社が取材に来て、広まり、盛り上がりを受けて、地元役場では雄叫び台を設置、愛妻の丘として観光名所にしたり、「愛妻家に注意」という洒落た標識にしたりと、実験は地元にしっかりと根づいていきました。「東京カンパイ自動車」も道路の開通式をパーティ化したものですが、主催者側から「もう開通式という時代じゃないんじゃないか」という声に「じゃあ、やりたいことをしましょう」と提案したものだそうです。

 

個人のなかのハートの形を変える

これまでは社会システムがあって、行政が動いて、ビジネスが動いて、社会が変わるという流れだったのを、「個人の中にあるハートの形が変わって世の中変わるんだ」ということを、体験した山名さん。ソーシャルイノベーションやソーシャルデザインといった言葉がいまのように溢れていない時代から「社会と個人がダイレクトにつながるとき人はこれまでにない大きな力を発揮する」と気づき、意図して取り組んできました。

大事なのは、多少恥をかいても、自分でまず言ってみたり、やってみたりすること。そうすることで、それをみたひとは「自分以外にも居たんだ!」と安心するそう。最初はみんな孤独。でも、一歩踏み出すと仲間がみつかると動き出すのが山名さんのいうソシモマネジメントです。

 

「編集長に叱られる」では、「ソシモマネジメントのための6つの能力」「ソーシャルスペーススパイラル理論」「ムーブメントステップ(渦巻き作り)」「ムーブメントマネジメント(うねり作り)」などが図解入りで披露されました。

「編集長に叱られる #02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー」 [日程] 2月15日(金) [会場] 虎ノ門ヒルズフォーラム5F [主催]イベントの未来をつくる105人 [共催]月刊イベントマーケティング

 

 

編集長に叱られる#01 スタートアップとテクノロジーの祭典 Slush Tokyo 新CEO 古川遥夏さんに聞く

編集長に叱られる#01 スタートアップとテクノロジーの祭典 Slush Tokyo 新CEO 古川遥夏さんに聞く »

「編集長に叱られる#01」(1/31、虎ノ門ヒルズフォーラム)では、Slush Tokyoの新CEO古川遥夏さんをゲストに、月刊イベントマーケティングの編集長で、イベントの未来をつくる105人ボードメンバーの樋口陽子がSlush Tokyoについて、古川さんについてギモンを投げかけるスタイルで、お話をしていただきました。古川さんがCEOに就任したなりそめや、Slush Tokyoのつくり方についてを中心にお伝えします。

 

クラブイベントにしか見えなかった

古川さんがCEOになって初のSlush Tokyoは今回の2019年になりますが、彼女がSlushを知ったのは3年前の2016年、ボランティアとして参加したのがきっかけ。大学2年のとき、フランス語の授業で仲がよかった友達に「ねぇねぇ、こういうイベントがあるからボランティアしない?」とiPhoneでウェブサイトをみせられたのがきっかけだそうです。サイトは全部英語、レーザービームの写真(メインステージ風景)をみても訳がわからず、「クラブイベントにしか見えなかった」と話します。当時スタートアップという言葉も知らずそのお友達の「古川は絶対来た方がいい」という言葉と、英語が話せる場所があればと飛び込みました。

 

CEOへの打診に 3時間で決断

Slush Tokyoの新CEOとしての古川さんを紹介するために、イベント前に、Slush TokyoのFounderで前CEOのアンティ・ソニネンさんに、古川さんの魅力を聞いてみたところ、アンティさんは、次の3つを挙げてくれました。

「エネルギーであふれている。Slushにはエネルギーが大事」

「国籍や年齢、バックグラウンドを問わず知らない人にも遠慮なく声をかける性格。コミュニティづくりにとって大事な強み」

「アグレッシブな目標を立てて、結果を出しながら、周りのメンバーにも自信を持たせることができる」

こうした素質をみて、アンティさんは「大きな責任を与えるときっとすごく成長するんだろう。その姿をみたい!」と古川さんを新CEOにと決心。Slush Tokyo2018が終わった週に、アンティさんから「コーヒーを買いに行こう」と青山から2人で散歩し千駄ヶ谷のあたりで「Slush TokyoのCEO興味ない?」と誘ったそうです。古川さんは、その直後は自信がなさすぎて絶対にできないと思っていたけれど、3時間後には「OK!」と返事をしました。

 

ボランティアのモチベーション

Slush Tokyoの運営の特徴でもあるメンバーは、学生を中心に当日400名にものぼります。人材会社を通さずにボランティア募集で集まったメンバーで、20歳の学生が最も多く(2018年)、半分は海外からの参加も。はじめて参加したときの古川さんのように友達に誘われてぷらっとという人から、英語を喋りたい人、純粋に企業に興味がある人、チケット代のかわりに無料で参加したい人と動機はさまざま。

 

最終目的は イノベーターを生み出すこと

運営はボランティアで無償とはいえ、フェスのような演出や映像クリエイティブ部分はプロに依頼しているSlush Tokyo。収入はスポンサー、出展者、コラボレーションパートナー企業と参加チケット代があり、黒字で運営しているといいます。非営利団体のため、利益優先ではなく、最終目標は、「コミュニティから次世代の革命家、イノベーターの人たちを生み出すこと」。また、スピーカーには世界的なビックネームもいますが、こうした趣旨に賛同し、次世代の人たちのためにというペイフォワードの精神で、あまり知られていないが登壇料の支払いは行っていません。

イノベーティブになる雰囲気づくり

今回、「編集長に叱られる」の参加者には、イベント企画運営者もいて、「どうすればイノベーティブな雰囲気がつくれるのか」という質問も。古川さんは「新しい何かに挑戦するときの気持ちを考えてみてほしい」、とし「きっと心配だとか、孤独だなとネガティブな感情に一瞬なると思う。不安だけどやってみようという気持ちには後押しや勢いが必要」。だからイベント空間の演出では、ドキドキ感やワクワク感をつくっている。たとえば、メインステージのレーザーでの煽りや音楽も鼓動を打つようなドツドツ感のある音にしているのだそう。また、人の意見を否定しない、Yes,andを心がけている。会場では上下関係を意識して硬くならないよう、敬語禁止、ネクタイ禁止として、誰でも発言していい、挑戦していい場所をつくっている、と雰囲気づくりのメソッドもお話いただきました。

 

 

 

 

「編集長に叱られる #01−スタートアップとテクノロジーの祭典Slush Tokyo新CEO古川遥夏さんに聞く−」 [日程] 1月31日(木) [会場] 虎ノ門ヒルズフォーラム4F [時間] 19:00スタート 20:45終了予定 (18:30受付開始) [主催]イベントの未来をつくる105人 [共催]月刊イベントマーケティング

気づき、考え、アクションする「いまこそ応援!東北復興イベント2019」が開催中

気づき、考え、アクションする「いまこそ応援!東北復興イベント2019」が開催中 »

品川シーズンテラスでは、6月6日(木)まで「いまこそ応援!東北復興イベント2019〜知って、食べて、考える、被災地のこれから〜」が開催中だ。

 

商業施設・文化施設などの空間づくりを行う丹青社と富士通との共同開催で、2社はいずれも品川シーズンテラスにオフィスを置く“ご近所”同士。イベントでは、宮城県、福島県、岩手県の被災地産品等の直売会、『河北新報』の地域に根ざした新聞報道記事や震災当時と現在を比較する写真の展示、富士通や丹青社が携わってきた地域での活動紹介がパネル展示されている。また、今回特別展示として、写真家平林克己氏とコピーライター横川謙司氏による写真と言葉のメッセージ展『陽 ―HARU― Light &Letters展』も実施している。

主催者で、同イベントリーダーの丹青社 平地洋さん(東北復興プロジェクトリーダー)はイベント開催のきっかけを「『被災地のいまを知ってもらうことで応援したい』という思いがあり、物産と展示、シンポジウムというカタチで2017年に実施したのがはじまり」と話す。丹青社といえば、空間づくりのプロフェッショナルでイベント実施もスムーズな印象だが、主催者の立場でイベントを開催するのは苦労したという。

 

「博覧会や展示会でブース制作の経験は豊富でも、主催としてプログラムや準備を社内外と連携して行うのは苦労しました。デザインや制作というパートでは専門知識をもって段取り良く実施しますが、プロジェクトの主体となってみると、どう進めるのか、試行錯誤しながら進めました」(平地さん)

 

初回の開催後に品川ガーデンテラスにて別々に復興支援イベントを開催していた富士通から「次回は一緒に」と申し入れがあり、2回目からは共同主催として実施している。

 

平地さんが3回目の見どころと紹介してくれた、特別展示の「陽 ―HARU―Light &Letters展」は、写真家平林克己氏が被災地で陽が昇る瞬間を撮影したもので、未来、復興、立ち直りをテーマにした写真に、コピーライター横川謙司氏が言葉を加えることで、よりわかりやすく提示する内容だ。写真だけ、言葉だけでは伝えるのがむずかしい、時間の経過や展示された東京と被災地の距離感などがメッセージとして、観る側の主体性を問う。こうした新たなプログラムは丹青社が行っているアクティビティでの出会いがきっかけだという。

 

「ゼロからスタートしたイベントで、つぎはぎだったかもしれないけれど、続けていくことで社外からお褒めや応援の言葉もたくさんいただいた。アクションを起こさなければ生まれなかった出会いもたくさんある」と平地さんは話す。

 

東北復興イベントプロジェクトの丹青社メンバーは32名、デザイン、制作、総務などさまざまな部署から集まり、当日現場ではさらに28名のアテンドスタッフが加わって運営する。

 

アテンド役のスタッフは丹青社の新入社員メンバーで、「東北復興イベント開催中です!」と元気に声をあげていた。6月6日(木)の開催は、11時から19時まで。直売会は品川シーズンテラス1階エコ広場で、パネル展示と特別展示は2階アトリウムで行っている。

 

 

antenna* presents「インドア花見でコーヒーマリアージュ体験!supported by UCCドリップポッド」イベントレポート

antenna* presents「インドア花見でコーヒーマリアージュ体験!supported by UCCドリップポッド」イベントレポート »

2019年4月10日(水)、原宿のレンタルスペースにて、株式会社スペースマーケット(以下スペースマーケット)、UCCドリップポッド、antenna*の共同主催による「インドア花見でコーヒーマリアージュ体験!supported by UCCドリップポッド」イベントが行われた。

 

レンタルスペースのプラットフォームを運営するスペースマーケットが、スペースのオーナーと提携し、空間デザイナーによる演出を取り入れる形でセッティングされた今回のイベント会場。そこにUCCドリップポッド数台と、コーヒー・紅茶・緑茶など、14種類の専用カプセルを用意。コーヒー豆やティーリーフを密封包装したカプセルをセットし、すぐに抽出して楽しめる環境を、参加者に提供した。そして、グライダーアソシエイツが手がけるメディアのantenna*によって、告知及び集客、イベント内容の発信が企画当日の前後に渡って行なわれている。

 

当日はあいにくの雨だったにも関わらず、「天候・気温・花粉に左右されない」というインドア花見の強みが功を奏してか、事前にantenna*の告知を見て応募し当選した10組20名が参加した。女性が大半ではあったが、往年の友人同士や若い男女のカップルなど、その層は年齢・バックグラウンドともに様々であった。

antenna*で今回のイベント全般をディレクションしている北見裕介さんの挨拶で、イベントが早速幕を開ける。

 

そして、UCCよりアシスタントコーヒーアドバザイザーの資格を持つコーヒーエバンジェリスト・栄淳志さんが、講師役として続いて登場。

コーヒー全般についての深い知識に基づいた解説が、参加者に配られた世界地図を参照しながら進める形で始まった。コーヒーの主な産地、産地別の豆の生産量、各地域で取れる豆の味わいの違いについてといった話が、とても分かりやすい内容で、ときに参加者への問いかけを交えながら続いてゆく。

そして、本日のコーヒーコンテンツのメイン「コーヒーマリアージュ」の話題へ。今回は参加者のため、特徴が強い3種類のコーヒーを用意したという。それぞれに合うスイーツとともに、「新たな味わいの創造を楽しんでほしい」という思いに基づくチョイスだ。

3種のコーヒーは、爽やかな酸味と完熟果実のようなコクが特徴の「ハワイコナブレンド」、エチオピア産のモカとタンザニア産のキリマンジァロをブレンドしたフルーティな味わいが特徴の「モカ&キリマンジァロ」、そして“コーヒーの王様”とも称される中南米ジャマイカ産ブルーマウンテンを使用した「ブルーマウンテンブレンド」。

 

それぞれのコーヒーとともに、一緒に食べた時に合うものとしてコーヒーエバンジェリストの栄さんがセレクトしたとっておきのスイーツが、順々に運ばれていく。優しくスッキリと口内に広がるような酸=乳酸が特徴の「ハワイコナブレンド」には、同じくミルク系の滑らかな味わいを持つバターサンドクッキー。「モカ&キリマンジァロ」には、パンケーキの中にレモンのジュレが入ったレモンケーキを合わせ、互いの中に含まれる酸味をより引き立たせ、隠れた甘みを引き出す効果を狙う。そしてバランスのとれた甘みを持つ「ブルーマウンテンブレンド」には、濃厚な甘みを持つあんぱんがセレクトされた。

「コーヒーマリアージュには2つのやり方があります」と、栄さんは語る。1つは「同調」。酸味のあるコーヒーには酸味のあるフード、苦味には苦味、甘味には甘味という、同じ特色を持つ味わい同士を合わせる方法だ。そしてもう一つは「補完」。それぞれのコーヒーと合わせるフードが、互いに持たない味を、補い合い、新たな味わいの発見がある。

 

参加者のみなさんも、「普段は絶対に飲まないハワイモカだが、バターサンドと合わせたらとても美味しかった。酸味が消え、バターの甘さやまったりした感じがうまく綺麗に流れ、コーヒー効果ですっきりした軽い後味が残る。普段好んで飲んでいる重めのコーヒーとは、また違った楽しみ方ができた」「酸味のあるコーヒーは普段はあまり好きではないが、レモンケーキと合わせたら、酸味のあるものも意外と美味しいと感じた。ジュレの甘さが圧倒的に引き立っていた。今回のマリアージュで一番お気に入りです」など、口々に満足感をコメントに滲ませていた。

 

太っ腹なイベントタイムはまだ終わらず、なんと今日のイベントを総括したクイズが栄さんから出され、最後まで残った2名にドリップポッド本体がプレゼントされるという、ドキドキ◯×クイズ企画がスタート。

さらに、イベントの締めに配られたアンケートの回答者の中からも抽選で1名に、ドリップポッドがプレゼントされるという。

真剣にアンケートを書き込む参加者にも、その傍らでお代わりのドリップコーヒーが好みの味で提供されるという、終盤まで一貫されたもてなしぶりが見られた。

参加者がアンケートを書き終えると、イベントは閉幕モードに。「インドア花見」のコンセプトのもと、可愛らしく装飾された「映える」スペースで、思い思いに記念写真を撮る参加者の姿が、多数見受けられた。

 

参加者の複数名に、インドア花見の感想をインタビューした。

「ふだんからantenna*さんをよく使っていて、今回は“インドア花見”という響きが新感覚で新鮮だったのに惹かれてきました。自分自身花粉症なので、まだ花見ができていなかったこともあり。空間が可愛くて良かったです。期待していたマリアージュ、お菓子とコーヒーの組み合わせも美味しかったです」

「ゆっくり間近にお花見を見られるのではないか、という期待感のもと、“インドア花見”という言葉に惹かれて参加しました」

「自分が若かりし頃だったら、インドア花見のスペースはどんどん活用したかったと思います。苦手な虫も来ないし、可愛い装飾があるのも嬉しい」

 

イベント終了後、今回のイベントの企画・運営を主に担った、スペースマーケットの倉橋愛里さん、UCCの小牧美沙さん、antenna*の北見さん(※左から順)にお話を伺った。

 

倉橋さん「会社としては、今すでに周知されはじめている、パーティー利用や撮影スタジオとしてのレンタルスペース用途以外に、“企業様がイベント会場として使う場所”としての利用法を広めていきたいというタイミングでした。そんな中、今回のコラボイベントが行えて良かったです。レンタルスペースは、イベントに合わせた規模感の中で空間の演出が行いやすく、企業様のイメージに合った装飾をすることで、ご来場のお客様にも喜んでいただける場所作りができます。参加者と主催者の距離の近さも魅力だと思います。今回の“インドア花見”を一例に、今後も空間や体験をプロデュースすることで、おもてなしの場としてもより魅力的になるよう、そしてantenna*さんとも連携をしながら広く発信していけたら嬉しいです。」

 

小牧さん「スペースマーケットさん、antenna*さんとの共同開催でイベントをやれるということはすごく魅力的でした。スペースマーケットさんは、場所の提供だけでなく、そこにさらに演出を加えて、顧客満足度が高まる空間作りをされている。antenna*さんには、情報感度が高く、その情報からさらなる楽しみ方を自ら見出そうとする方が多くいるイメージです。そんな2社と協働して、コーヒーの純粋な奥深い楽しみ方や、マリアージュといった味わい方の多様性を、お客様と近い位置でお話しさせていただける機会が持てて、とても良かったです」

 

北見さん「スペースマーケットさんからご連絡をいただいて、“企業様のイベント利用”に使える空間の使い方の事例として、今回の企画を共に立てました。antenna*としてユーザーさんへの提供価値を考える上でも、非常に魅力的なコラボレーションでした。レンタルスペースを使ってみたいユーザーさんの心理的ハードルを下げられますし、画面越しでは伝わらない、プロとの直接的なコミュニケーションによって生じる知識もご提供できますから。来年のインドア花見に備えて、また“空間の使い方と、そこから生まれる魅力的な時間”の一事例として、今回のイベントに関する配信を行い、次回以降の企画に繋げていけたら嬉しく思います」

 

屋外における花見の、天候・気温・花粉に左右される心配点を払拭し、華やかな「インドア花見」空間の提供を行うスペースマーケット。また、屋外では香りが飛んでしまうけれど、室内でなら好みの香りのものを好きな種類分味わうことのできる、「コーヒー」を扱うUCCドリップポッド。その2社のメリットを総合し、antenna*によってトレンド感のある配信がなされることで、功を奏した今回のイベント。

 

今後はどのような魅力的な企業間コラボレーションが生まれ、新たな魅惑的時空間がプロデュースされていくのか。非常に楽しみな新年度は、まだ始まったばかりだ。

 

▽イベントで使用されたスペースはこちら

https://www.spacemarket.com/spaces/cfE0xeCgjgDpcjsI/rooms/Mhje5kO7hZ9wB4XE

expo study meeting vol.02 「クリエイターが考える 2025未来社会のデザイン」イベントレポート

expo study meeting vol.02 「クリエイターが考える 2025未来社会のデザイン」イベントレポート »

2025年の国際博覧会(以下万博)が大阪で開催されることが決まり、スタートした「expo study meeting」。大阪のデザイン事務所「株式会社バイスリー」、同じく大阪のWebコンテンツ制作会社「株式会社人間」の2社が主催するこちらの勉強会では、クリエイティブ業界を牽引するゲストや参加者とともに、万博がやってくる近い未来に向けた取り組みについて語り合っている。

 

2019年4月12日、心斎橋ビッグステップにて第2回目となる「expo study meeting vol.02」が開催された。

 

今回は、地域再生やコミュニティデザインに精通した服部滋樹氏(graf代表)、山崎亮氏(studio-L代表)が登壇。「クリエイターが考える 2025未来社会のデザイン」をテーマに、街づくりの観点から万博を考える内容となった。

 

服部滋樹

graf代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。

1970年生まれ、大阪府出身。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgraf を立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手掛け、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。

 

山崎亮

studio-L代表、コミュニティデザイナー、社会福祉士。

1973年愛知県生まれ。大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。博士(工学)。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。著書に『ふるさとを元気にする仕事(ちくまプリマー新書)』、『コミュニティデザインの源流(太田出版)』、『縮充する日本(PHP新書)』など。

 

第1部「成熟社会に万博を迎えて」

―2025年、日本が迎える「超長寿社会」

第1部は「成熟社会に万博を迎えて」をテーマに掲げた服部氏・山崎氏による対談。

まずは、第1回目として1851年に開催されたロンドン万国博覧会から1970年の日本万国博覧会まで美術史とともに振り返ります。そして話題は大阪万博を迎える2025年、日本が抱える社会課題へ。

 

服部:山崎くんとよく近未来の社会の状況について話してるんですよね。今日は、万博が開催される2025年に社会がどうなっているのか、我々で仮説を立てながらその課題を明らかにしていこうと思います。

 

山崎:2025年、日本は超長寿社会なんですよね。

 

服部:山崎くんはこの間、東京で『おいおい老い展』を開催してましたよね。

 

山崎:厚生労働省補助事業として、福祉や介護のこれからについてもっと多くの人が考えるきっかけづくりに取り組みました。全国でワークショップを同時開催し、介護や福祉について学びながら「私たちならこんなことをする」と、マニフェストを掲げてもらったんです。それらを集めて、最終的に東京で展覧会を開催。4月からは各チームが実現に向けて動き出しています。

 

―超長寿社会に求められる「デザイン」とは

 

山崎:これをやってみて、日本が今、世界に打って出ることができる領域ってここ(介護・福祉)だよなと実感しました。高齢社会を何とかしないと待ったなしの状態の中「どんなデザインで解決するんだろう」と、世界が日本に注目しているんです。でも、ここでデザインというと「おしゃれな高齢者施設を作ろう」とか考えちゃうんですけど、全く違うんですよ! 「そもそも高齢者をひとところに集めるのはおかしい」というのが本来デザイナーが持つべき感覚で、社会の課題を鋭く見つけて解決するのがデザイナーの役目なんです。たとえば、在宅医療・訪問看護・ヘルパーといった仕組みを集約した拠点を地域に置く。そんな風に、仕組みそのものをデザインすることに力を発揮しないと、デザイナーは小手先の道具に使われてしまいます。

 

服部:確かに、そうなりがちだよね。

 

山崎:1970年の万博以降、デザイナーは企業のデコレーター的存在に変わってしまったんですよね。今、世界のデザイナーもそうなってきているので、2025年には「日本は違うんだ」と、「いのち輝く未来社会のデザイン」とはこういうものだというのを示さないといけないんじゃないかなと思っています。

 

服部:山崎くんは5、6年前から医療や介護のことを言ってるでしょ。前に、高齢者が増える一方でAIに仕事を取られていくという話をしてたじゃない。

 

山崎:そうそう。

 

服部:皆さんご存知だと思いますけど、これから病院のベッド数がどんどん足りなくなっていくんですね。かといって、若い世代が少なくなる中で病院を新しく建てるのは効率が悪い。

 

山崎:一人当たりのベッド数が多い県ほど医療費がかかってるんです。医療費が2割負担だとすると4割は税金、4割は医療保険ですから、お医者さんにかかる度に税金と保険のお金を引き出すことになります。自分たちの地域に病院を作れば作るほど、病院にかかる人が増えるという調査結果もあるんですよ。だから「病院が足りないなら作ればいい」っていうのは、国の財政と保険の仕組みを破綻させる方向に進む結果になってしまうんですよね。

 

―1970年に思い描いた「便利な社会」というファンタジー

 

服部:夕張市の例で、運営できなくなった病院のベッド数を減らしたら「健康にならなければ」と街中でお年寄りたちが歩き出したという話があったよね。水道局も運営できなくなったから各家庭で井戸を掘ったら井戸水を飲んで健康になった、とか。

 

山崎:意識が変わりましたよね。そうそう、キューバは今、オーガニック野菜の産地になってるんですよ。アメリカの経済制裁で何も輸入できなくなって、仕方ないから自分たちが出したものを肥料にして、育てて食べたものをまた出して…っていうのを繰り返していたら、オーガニック野菜の市場が出来上がっていたらしいんです。でも数年前にアメリカとの経済交流が復活したので、今後はどうなるかわからないですね。便利になるとか、進歩するとか、前の万博の時に夢見ていたことを突き詰めた結果をひと通り見て「そっちじゃないかもしれない」というのが今、少し見えてきていますよね。だから今回はそこからシフトした新しい未来像を見せなければいけないなと。

 

服部:キューバには畑もなかったわけでしょう。道路を剥がして、その下にある土で栽培を始めて。こういう「便利な未来社会」というファンタジーとは正反対のことがこれからも起こるっていうことを、どれだけリアルに感じているかが大事じゃないかな。最近、コンビニが薬局の役割を担い始めたりしてるけど、前に僕たちは「コンビニがナースステーションになる」っていう話をしてたんですよね。多分コンビニは今後もっと増えるので、ローカリティを高めるために、今のフランチャイズという仕組みから、周囲の人口や年齢のバランスを見て運営を考えていくという風に変わっていくだろうと。それが進んでいくと、病院のベッド数が足りない中でコンビニがナースステーションの役割も果たすだろうと考えています。

 

 

―未来社会の働き方はどうなる?

山崎:ドイツの調剤薬局では今、調剤をロボットに任せる仕組みが始まっているんです。処方箋を読み取って、大きなボックスに入った約3000種類の中から薬を出してきてくれる。「これとこれはセットで渡すことが多い」というようなことを自己学習で学ぶから、ボックスの配置などが効率的になっていって、仕事のスピードが早くなっていく。薬剤師の仕事は何かというと患者とのコミュニケーションで、その人がお医者さんに言えなかった悩みを把握して医者と情報共有したりするんです。こういう風に人間とロボットの役割分担が明確になっていって、生身の人間を劣悪な環境で働かせることはだんだんと成り立たなくなっていくだろうと思います。

 

服部:そういう世界が目の前に来ている、じゃあ2025年がどうなるか。第2部では「万博をターゲティングするなら?」という話を始めていきましょう。

 

山崎:素晴しいまとめだ(笑)

 

第2部「万博とコミュニケーションデザイン」

―万博を背負う行政の今

 

第2部では服部氏・山崎氏が主催者や参加者からの質問に答える形で「万博とコミュニケーションデザイン」をテーマに話した。

 

山根:第1部では海外の事例だったり最新のAI技術だったり、いろんなお話をしていただきましたが、行政はどんな取り組みをしているんでしょう? 民間企業が街づくりのために活動している一方、それがどこまで行政に伝わっているのかなと気になりました。

 

服部:さっきの「コンビニがナースステーションに」っていう話なんて、5年前ならそんな仮説が本当に形になるなんて思ってもみなかったけど、今は実際に計画が練られて実施もされ始めている状況でしょ。デザイナーにとって「未来はどういう風になるだろうか」と仮説を立てることってすごく大事だと思うんですよね。それと社会のムーブメントがマッチする瞬間がきっとあるはずなんです。

 

吉田:昔と今で行政のあり方や関わり方に変化はありますか?

 

服部:きっとこういう場にも興味を持って来られてると思いますよ。

 

山根:山崎さんは行政との関わりも深いと思うんですけど、有識者会議の雰囲気とかはどんな感じなんですか?

 

山崎:ちゃんとした感じですよ。もちろん「こういう方向に持っていきたい」というのはあるでしょうけど、万博に反対だった僕を呼ぶぐらいですから。反対というのは、今の時代「最先端を見せる万博」みたいなものはもうだめで「僕らが超長寿社会で何をしているのか」を示すくらいしか成り立たない、というのが僕の意見だったんですが、そういう発言も全部議事録に載せるし、公開もしているし、とても健全な委員会だったと思います。

 

―参加型のアクションが未来社会を変えていく

 

吉田:今日来てくださってる方は僕らと同じく、万博に関わることのできるきっかけがないか模索しているはずなんです。

 

山根:でも、窓口がないですもんね。

 

山崎:どんどん参加型に変えていった方がいいと思うんですけどね。愛知万博はそれがうまくいったケースなんですけど。素人の方がたくさん集まって、最終的に環境に対するそれぞれの意識がものすごく変わったんですよね。まさにこの勉強会でも参加型を実行していると思いますよ。

 

山根:僕たちも今回初めて万博について勉強してみて、どんどん頭が良くなってるような気がします。

 

一同:(笑)

 

服部:僕からもひとつ、山崎くんに質問したいんですけど、山崎くんは社会課題をどうやって発見してるんだろうっていつも思っていて。

山崎:誰か偉い人が教えることを見たり聞いたりするより、普通の人が集まって、調べて、発表してみることが課題発見に繋がっていくんだと思います。そしてそれを繰り返していくうちに、進め方・考え方というプロセスの部分がクリエイティブになっていく。そういうチームがいろんなところにできていくというのが、万博にとっても非常に重要だと思います。

 

服部:未来の輪郭みたいなものを多角的に見ることが大事ですよね。この勉強会もそんな風に成長していくよう、今後も期待しています。

 

最後に、株式会社バイスリーの代表・吉田氏が「いろんな方の意見を聞きながら、この勉強会をバージョンアップさせていきたい」と締めくくった。

「第1回[関西]統合型リゾート産業展」にメディアパートナーとして出展

「第1回[関西]統合型リゾート産業展」にメディアパートナーとして出展 »

月刊イベントマーケティング(発行:株式会社MICE研究所 / 代表田中力)は、「第1回[関西]統合型リゾート産業展 1st JAPAN IR EXPO 2019」にメディアパートナーとして出展します。

 

「第1回[関西]統合型リゾート産業展 1st JAPAN IR EXPO 2019」は、2019年5月15日(水)・16日(木)の2日間、インテックス大阪で開催されるIR(統合型リゾート)産業に特化した日本初開催の専門展。

 

月刊イベントマーケティングでは、MICEメディアとして、同展をMICEの視点から取材することで、日本にまだないIR産業のこれから、そしていまビジネスとしてどのようなフェーズにあるのかをお届けします。

 

ブース名は、「月刊イベントマーケティング (株)MICE研究所」(小間番号:13-9)にて、5号館「夢洲 次世代まちづくりEXPO」エリア内のブースでお待ちしております。

 

開催の背景

2018年7月20日に、特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法が国会で可決・成立しました。これにより日本でも、滞在型観光を実現するための、カジノを含めた複合型観光施設の整備が進んでいくことになります。 当初3箇所に限定される整備区域がどこになるのかはまだわかりませんが、数ある立候補都市の中でも関西・大阪は、人工島である「夢洲」を候補地として早くからIR(統合型リゾート)の誘致に取り組んで来ました。 そのような中、日本にとって新しい産業となるIR(統合型リゾート)産業の活性化と発展を目指す、日本初のIR産業向け展示会「第1回[関西]統合型リゾート産業展」を、大阪で開催することを決定いたしました。 本展の開催により、日本のIR産業が健全に発展を遂げ、世界中から多数の観光客を集めることのできる「日本型IR」の整備が迅速にすすむことが期待されています。 スマートIRシティイメーシ? (一社)関西経済同友会「スマートIRシティのイメージパース」

統合型リゾート(Integrated Resort、略称「IR」)とは

カジノ施設と国際会議場施設/展示施設/日本の伝統、文化、芸術等を生かした公演による観光の魅力増進施設/送客機能施設/宿泊施設/その他(観光客の来訪・滞在の促進に寄与する施設を含む)であり、民間事業者により一体として設置・運営されるものと定義されています。 宿泊施設、会議施設、飲食施設、物販販売施設等とともに、カジノやその他のエンターテインメント施設等を含む複合的な観光施設をいい、都市や観光地において、観光客、ビジネス客、一般市民等を顧客とする高規格、集合的な集客施設である。IRは、都市や観光地の魅力を高め、観光客、ビジネス旅客の集客を可能にし、施設整備に伴う建設需要、整備・運営に伴う雇用効果、運営に伴う税収効果、集客に伴う消費効果等の様々なシナジーにより地域経済を活性化し、再生する効果をもたらすことが期待されている。 (国際観光産業振興議員連盟「IR実施法案に関する基本的な考え方」より抜粋)

特定複合観光施設区域整備法とは

特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、国際競争の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、必要な事項を定めた法案。2018年7月20日に可決・成立され、7月27日に交付されました。3か所を上限としてIR区域認定すると定めています(7年後の区域人定数見直しと、5年後のIR実施法案検討条件を法定)。

*「第1回[関西]統合型リゾート産業展 1st JAPAN IR EXPO 2019」公式サイトより

 

 

【「月刊イベントマーケティング」イベント出展情報】 「第1回[関西]統合型リゾート産業展」(1st JAPAN IR EXPO 2019)

日時:

2019年5月15日(水)10:00~17:00

2019年5月16日(木)10:00~16:00

会場:インテックス大阪

ブース名:月刊イベントマーケティング (株)MICE研究所

小間番号:13-9(5号館「夢洲 次世代まちづくりEXPO」エリア内)

アテンド:田中力/樋口陽子(両名とも2日間ブースまたは会場内におります)

 

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開催間近!主催者インタビュー│第1回[関西]統合型リゾート産業展 株式会社イノベント 執行役員 第2事業部長 森嶋勝利さん

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7兆円弱といわれるIR市場。IR施設の開業は早くて2024年ごろと言われる。IRオペレーターとの提携など、企業参入が活発化しそうな2019年にIR産業に特化した専門展が大阪で初開催される。イノベントで同展責任者の森嶋勝利さんに初開催の経緯、見所について伺った。