20代と80代が互角に競える日|超人スポーツ×人間拡張の最前線 AXEREAL・安藤良一さん

20代と80代が互角に競える日|超人スポーツ×人間拡張の最前線 AXEREAL・安藤良一さん
コースケ・よーこのミュートを解除 第250回 2026年7月3日(木)12:00〜配信
「20代男性と80代女性が50メートル走をやったら、ほとんどの人は結果を想定できてしまう。でも、その二人が飛行機に乗っていたら——」
1対2の能力差があれば勝負は見えている。でも101対102になった瞬間、勝負はわからなくなる。その”わからなさ”をテクノロジーで作り出すのが、超人スポーツの核心だ。第250回のゲストは、超人スポーツプロジェクト事務局長であり、AXEREAL株式会社 代表取締役社長の安藤良一さん。
安藤さんは東京都練馬区大泉学園生まれ。アニメーション文化が身近な環境で育ち、漫画・アニメの世界を「現実のシミュレーション」として捉え直す視点が、超人スポーツの原点にある。2015年に超人スポーツ協会の設立に参画し、2018年にAXEREAL株式会社を設立。現在は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の研究員として、ムーンショットプロジェクト「サイバネティック・ビーイング」内のBodyプロジェクトのクリエイティブ・ディレクションも担っている。
超人スポーツが生まれたのは2014年。東京オリパラ開催が決まったとき、「自分たちはもう間に合わない」という共同代表の一言から議論が始まった。ならば、日本のポップカルチャーと技術をスポーツに融合させ、誰もが”超人”になれる新たなスポーツ領域を作れないか——。老若男女、障害の有無、地理的な制約をも超えて、みんなで一緒にスポーツできる環境を目指すプロジェクトとして、協会は翌2015年に設立された。
超人スポーツには「超える」の2つの意味がある。ひとつは「人間の能力を超える(エクストリーム)」、もうひとつは「人同士の境界線を越える(ユニバーサル)」。人間拡張工学、AR・VR、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、画像解析、情報処理——6つの身体拡張媒体を組み合わせた競技は現在42種目に及ぶ。
配信の中で深く掘り下げられたのが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)当事者の武藤栄さんとともに取り組む「ブレインボディジョッキープロジェクト」だ。感覚も思考も鮮明なまま、しだいに身体を動かす手段を失っていく——その状況に「何かがおかしい」と感じた安藤さんたちは、脳波とロボットアームをつなぐBMIを東京大学と共同で開発。脳波のパターンと筋電信号を組み合わせ、動こうと思った瞬間から2秒以内にロボットが動く仕組みを作り上げた。先週は初めての海外講演も実現。「月までは行かなくても、海外まではいけた」と安藤さんは笑う。
そして「マクルーハンのメディア論」にも話は広がった。技術や道具を身体の一部として振る舞うことで、人間は拡張を続けてきた。スキー板を履いている間はその感覚を忘れ、脱いだ瞬間に歩けなくなるように——能力とは、環境と身体とのインタラクションによって生じるものだと安藤さんは語る。超人スポーツはその「インタラクション」をデザインする試みだ。
フィジカルとデジタルが融合した「フィジタルスポーツ」としての展開も着実に進んでいる。芝・東京ベイエリアのMICEプログラムのショーケースでは、よーこ(樋口陽子)さんが「合戦」デバイスを手に装着して参戦。プランナーが集まる真面目な場が、気づけばほぐれていた——その体験から見えてきたのが、「没入する」ことで生まれる心理的距離感の変化だった。「健康のためにやる」ではなく、コンテンツに没入して気づいたら息が上がっている。それが超人スポーツのめざす体験設計だと安藤さんは語る。
今後の展開は、常設空間の整備と国内外への普及。ゲームセンターのように「来ればできる」場を作り、オンラインで世界中と対戦できる環境へ。そして究極の夢は「南極基地に置いて、南極の人と対戦すること」。生物の壁すら越え、動物とも戦ってみたい——夢はとどまるところを知らない。
配信では、以下のトピックを中心に話を伺った。
- 安藤良一さんのご紹介、AXEREAL株式会社の事業紹介
- 超人スポーツとは何か——人間拡張×スポーツの思想と仕組み
- ブレインボディジョッキープロジェクト——ALSとBMIと海外講演
- イベント・MICEプログラムにおける超人スポーツの可能性と今後の展開
🌐 AXEREAL株式会社 https://axereal.net/
🌐 超人スポーツプロジェクト(DMO芝東京ベイ) https://dmo-shiba-tokyobay.jp/uniquelocalperson/ando/
🌐 超人スポーツ協会 http://superhuman-sports.org/
ゲスト
安藤 良一(あんどう りょういち)さん
超人スポーツプロジェクト 事務局長/AXEREAL株式会社 代表取締役社長/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 研究員
東京都練馬区大泉学園生まれ。アニメーションやポップカルチャーが身近な環境で育ち、漫画・アニメの世界を「現実のシミュレーション」として捉え直す視点を持つ。2015年、一般社団法人 超人スポーツ協会の設立に参画し、ディレクターとして新競技の開発・普及に携わる。人間拡張工学、AR・VR、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、ロボティクスなどを組み合わせた競技を国内外で展開。2017年、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 博士課程に入学(研究員として活動中)。2018年、AXEREAL株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。テクノロジーを用いたウェルネスの向上、超人スポーツおよびフィジタルスポーツ(Figital Sports)の開発・運営・イベント実施を事業の柱とする。現在、同研究科のムーンショットプロジェクト「サイバネティック・ビーイング」内のBodyプロジェクトにてクリエイティブ・ディレクションを担い、ALS当事者とともにブレイン・マシン・インターフェースを活用した「ブレインボディジョッキープロジェクト」を東京大学と共同推進。2020年にはKINIX株式会社も設立。iU情報経営イノベーション専門職大学での教育活動も行う。「技術で身体に下駄を履かせ、老若男女・障害の有無・地理的拘束を超えて誰もが一緒に楽しめるスポーツを作る」をビジョンに、フィジカルとデジタルが融合した新しいスポーツの常設空間展開と国際普及を推進している。
MC:コースケ(ヒラヤマ コウスケ=株式会社イベントレジスト 代表取締役 CEO)/ よーこ(樋口 陽子=月刊イベントマーケティング 編集長)
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