封筒技術で17円/枚の低価格、アスクルの紙製イベント名札ホルダー9月発売

アスクルが展示会向け紙製名札ホルダー、17円/枚で9月発売

アスクル株式会社は2026年9月3日(木)、本体から吊り下げ紐まですべての部材に紙素材を採用した「まるごと紙製 イベント名札ホルダー」を、BtoB向け通販サービス「ASKUL」およびBtoC向け通販サービス「LOHACO」にて発売する。大型展示会・イベントで大量に使用・廃棄されてきたプラスチック製名札ホルダーの代替品として、プラスチック使用量の削減と展示会運営負担の軽減を同時に実現した製品だ。500枚入の場合1枚あたり17.00円(税込)という、既存のプラスチック製品から切り替えやすい価格設定も実現している。

封筒技術で17円/枚の低価格、アスクルの紙製イベント名札ホルダー9月発売

開発の背景 環境イベントでもプラ製が使われ続けてきた現実

大型展示会やイベントでは、来場者用の名札ホルダーが広く利用されている。その多くはプラスチック製で、一度の使用後に廃棄される使い捨て前提の消耗品だ。年間来場者数が数万人規模の展示会では、1回の開催で数万枚の名札ホルダーが消費・廃棄される計算になる。

この問題がさらに象徴的なのは、環境・サステナブルをテーマとする展示会でも同じ状況が続いてきた点だ。SDGsや脱プラスチックを発信するイベントの会場で、参加者全員にプラスチック製名札ホルダーが配布される——この矛盾は、イベント業界が長年抱えてきた構造的な課題だった。

さらに運営上の負担も課題だった。使用済みの名札ホルダーを回収する際、ホルダー本体(紐を含む)と中紙(名刺や参加者カード)を材質ごとに分別する必要があり、閉幕後の片付けにおいて主催者・運営スタッフの大きな手間となっていた。大規模展示会であれば、数千〜数万枚分の分別作業が発生する。

アスクルはこうした二重の課題——プラスチック廃棄と分別作業の負担——に着目し、展示会運営者へのヒアリングを重ねながら「まるごと紙製 イベント名札ホルダー」の開発に取り組んだ。

展示会運営者の声を商品に反映 現場視点の設計思想

商品開発の段階で、アスクルは展示会運営者へのヒアリングを実施した。そこから得られた主な声は2つだ。「ホルダーと中紙をまとめて廃棄できれば回収作業の負担軽減につながる」、そして「名札ホルダーはコスト重視の資材であり、価格も重要」。

加えてヒアリングから明らかになったのが、展示会会場における名札ホルダーの「実際の陳列・配布方法」だ。来場者が受付でセルフで取る運用が一般的な展示会では、吊り下げ紐による陳列が主流に思えるが、実際には紐同士が絡まってしまうという問題があった。そのため多くの会場では、ホルダー本体の穴をフックに掛けて陳列する方式が採られている。

「まるごと紙製 イベント名札ホルダー」は、こうした現場の実態を踏まえ、本体左端にハンギング用の穴を設けた。これにより、これまでプラスチック製名札ホルダーを使用してきた会場の運用ルールや設備(フック・什器)をそのまま流用して導入できる。切り替えのための追加コスト・手間を最小限に抑えた設計だ。

封筒製造技術を応用 紙製でもプラより安い価格を実現した開発の工夫

紙製の名札ホルダーが普及しなかった理由の一つが「価格」だった。プラスチック製と比べてコストが高くなりやすく、大量に消費される展示会資材として採用されにくかった。アスクルはこのコスト障壁を乗り越えるため、製造アプローチから見直した。

商品開発担当者が注目したのは名札ホルダーの構造だ。「袋状で中に用紙を入れる」という形状は、封筒の構造と本質的に同じ。そこで封筒の製造技術・構造をホルダーに応用できないか、メーカーと繰り返し検討を重ねた。幾度の試作を経てこのアプローチは実現し、量産コストの低減につながった。

その結果、当社が販売する既存のプラスチック製名札ホルダー(500枚入の場合43.82円/枚)を大きく下回る価格が実現した。500枚入の場合で1枚あたり17.00円(税込)という価格は、プラスチック製の約39%の価格水準だ。「環境対応品は高い」という既成概念を覆す価格設定は、多くの展示会・イベントへの普及を後押しする可能性がある。

年間約58t-CO2eq削減の試算 展示会業界全体へのインパクト

アスクルは、国内の展示会で来場者へ配布される名札ホルダーをすべて本商品に置き換えた場合の環境負荷削減効果を試算した。年間来場者数を約1,000万人と仮定したケースで、年間約58t-CO2eq(二酸化炭素換算58トン相当)の削減効果が見込まれるとしている(同社算定)。

58t-CO2eqという数値を単体で評価するのは難しいが、展示会業界という特定のセグメントにおける「消耗品1品目の切り替え」がもたらす数値として注目される。環境配慮の取り組みとして、主催者・出展者が対外的に発信できる具体的な削減数値を持てることも、導入検討のポイントとなるだろう。

また本商品の特長は、来場者や主催者に「特別な手間」を要求しない点だ。分別しなくていい、既存のフックにそのまま掛けられる、受付でセルフで取れる——これらは来場者の行動を変えない。行動変容を求めずに環境貢献を実現できるという設計は、普及を左右する重要な要件だ。

展示会・イベント業界における脱プラスチックの現在地

2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」(プラ新法)により、企業はプラスチック使用の削減に取り組む義務が生じた。イベント・展示会分野では、使い捨てプラスチック製品の削減が課題の一つとして浮上している。名札ホルダーのほか、プラスチック製のカトラリー・ストロー・袋類なども対象として意識されてきた。

展示会業界では、ブース装飾や仮設構造物のサステナブル化(再利用素材の使用・廃棄量の削減)が先行して議論されてきた。一方で、名札ホルダーのような「小物消耗品」の脱プラスチックは、コストや代替品の不足から具体的な解決策が少なかった。今回のアスクルの製品はその空白を埋める選択肢となりえる。

展示会主催者・PCO(プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー)にとっては、イベントのサステナビリティレポートに記載できる具体的な取り組みが一つ増えることにもなる。国際会議・MICEの世界では、開催地のサステナビリティ対応が誘致競争の評価要素となっており、消耗品レベルの環境配慮も積み重ねとして意味を持つ。

商品概要まとめ

商品名 まるごと紙製 イベント名札ホルダー
特長 本体から吊り下げ紐まで全部材が紙素材。中紙との分別不要でまとめて廃棄可能。本体左端にハンギング用穴あり(既存フック対応)
価格・内容量 100枚入:1,980円(税込)/ 1枚あたり19.80円
500枚入:8,500円(税込)/ 1枚あたり17.00円
2,000枚入:30,800円(税込)/ 1枚あたり15.40円
発売日 2026年9月3日(木)
販売チャネル BtoB:ASKUL / BtoC:LOHACO(Yahoo!ショッピング内)
ASKULページ https://www.askul.co.jp/p/WHW3958
LOHACOページ https://lohaco.yahoo.co.jp/store/h-lohaco/item/WHW3951
環境効果(試算) 国内展示会の名札ホルダーを本商品に全面切り替えた場合、年間約58t-CO2eq削減見込み(来場者数1,000万人想定、同社算定)
参考:プラ製品比較価格 同社プラスチック製名札ホルダー(500枚入):43.82円/枚 → 本商品:17.00円/枚(約61%削減)
販売会社 アスクル株式会社(東京都江東区)代表取締役社長CEO:成松岳志
問い合わせ アスクル株式会社 広報 press@askul.co.jp TEL:03-4330-5150

出典:アスクル株式会社 プレスリリース「アスクル、本体から吊り下げ紐まで紙素材に統一した『まるごと紙製 イベント名札ホルダー』を9月3日新発売」

田中力 MICE 研究所 代表 展示会 イベント集客は、来場者数、来場者の質、滞留時間という 集客3D理論を展開。

田中力㈱MICE研究所 代表取締役/月刊イベントマーケティング副編集長

投稿者プロフィール

田中力 ㈱MICE 研究所 代表取締役 月刊イベントマーケティング副編集長。2015年の創刊以来、イベントマーケティング・展示会関連の取材・編集・企画にも関わる。海外の大学卒業後、貿易・物流・小売に関わり、バイヤーのサポートとして海外展に多数参加。2016年からは自社でイベント関係者向けのカンファレンスBACKSTAGEも主催。近年はイベント業界の人材課題を解決する就職フェアも実施。

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