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[BACKSTAGE Report]Session4 マンガ×DJ×テレビ

8月30日に開催されたイベンターのための夏フェスBACKSTAGEで語られた、Session4とSession6の2つの共通点は、コンテンツの作り手であるメディア、編集の役割。進化する時代にどう向き合い、イベントをどう捉え、活用するのか。

 

BACKSTAGE Session4マンガ×DJ×テレビ

365分の1以外のコミュニティ
多様性とグラデーションの世界

マンガ編集者、DJ、テレビプロデューサーというBACKSTAGEのセッション登壇者のなかで、一見すると異色ともいえる3人の共通点は、コンテンツの「編集者」であること。

コルク佐渡島庸平さん

コルク佐渡島庸平さん

佐渡島庸平さんは、「宇宙兄弟」「バカボンド」など数々のヒット作を手がけ、講談社から独立して現在はクリエイターエージェント会社コルクの代表を務める。大谷ノブ彦さんは今回、芸人ダイノジではなく、全国各地でジャイアンナイトというDJパーティを主催するほか、多くのフェス出場の実績もあるDJダイノジとして登壇。モデレーターをTBSテレビプロデューサー(当時)の角田陽一郎さんが務め、“編集”を切り口に、冒頭にいきなり炎上という話題からスタートした。

 

DJダイノジ 大谷ノブ彦さん

DJダイノジ 大谷ノブ彦さん

大谷さんは、佐渡島さんが以前、編集について『読者が単行本を手に取るのは365日分の1日とすると364日をどう振り向かせるのか、作家の方がどんな発信をすればよいのかを含めて編集していくこと』という話を引用し、「意図的な炎上は364日を埋めている演出で、ひとつの隙間をうめている」という持論を展開。佐渡島さんは、「炎上って、ある種コミュニティができる。話題を共有するのに、いまTwitterやFacebookのハッシュダグが便利だけれど、週刊誌でいうところの中吊りタイトルに近い」とし、「人が人と交わるのを楽しむ共通の話題は、天気やテレビという狭い範囲から幅広く多様化し、そのなかでも細かいグラデーションをつくれる世界に変わってきた」と話す。

 

編集者は流れを考えトータルでプランニングする人

テレビプロデューサー角田陽一郎さん

テレビプロデューサー角田陽一郎さん

マンガや小説、音楽のライブやCDという作品は、多様化した世界で、どう生き残っていったらよいかと角田さんは問いかける。

大谷さんも佐渡島さんも共通したのは、ユーザーを巻き込む、インタラクティブなコンテンツづくりだ。昔もいまも、音楽は奏でる人と聴く人、本は書く人と読む人で、両者の行為があってはじめてコンテンツとして成立する。その構造に変わりはないが、昔はユーザー側がつくり手に化学反応を起こすことはできなかった。それがいま、ネットでのコミュニケーションによって、ライブ感ある作品が生まれ、そこでしか体感できない、あるいは体験共有といった付加価値が生まれているという。

忘れてはいけないのは、テレビで一気に100万人のファンが生まれる時代と違い、いまのネット時代の100万人は、一人ひとりの積み重ねだということだ。連続性があって、継続したコミュニケーションだからこそ、創作過程の瞬発力が理解でき、距離感の近いコミュニティをつくる。たとえれば友達のような “It’s all light”という感覚の関係性が育ち、その土壌でインタラクティブなことが起きてくると言う。

大谷さんがDJイベントの地方興行でお客さんの入りの多い場所には、使命感をもったボランティアスタッフが必ずいると話すように、ユーザー側を巻き込むと、一人ひとりにとってコンテンツは完成品を楽しむものではなく、自分もその一部になる、とも話した。

そのうえで、流れを考え、コミュニケーションのストーリーをつくる、トータルでプランニングをする編集者の存在は大切だ。佐渡島さんは、「日本は一つの強いコンテンツがあると一発逆転できるような、魔法みたいなことに期待しちゃうけれど、コンテンツに限らずビジネスの基本は流れをいかにつくるかだと思っている」と言う。

さいごに大谷さんは「DJと言いながら選曲というよりも、現場のチューニングを合わせているだけ」と表現し、セッションを通じて編集者は絶対に必要な存在と確信したと話した。これに対して佐渡島さんは「編集の定義は広いけれど、チューニングの価値はデータ処理や解析が進んでも機械化ができない、リプレイスできない」とし、角田さんがそこに人間の価値があると、編集者の存在する意義をまとめた。

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樋口陽子

樋口陽子

樋口陽子  月刊イベントマーケティング 編集長 MICE 研究所「イベントは体験提供の場」として、イベント現場で体当たり取材を行っている