2,160本のリボンが「過去の風」を彫刻する ——HAKU by SWAG、インスタレーション展『Resonance』を大阪で開催
- 2026/6/9
- シンユニティ

2,160本のリボンが「過去の風」を彫刻する
——HAKU by SWAG、インスタレーション展『Resonance』を大阪で開催
シンユニティグループのクリエイティブチーム・SWAGによるアート/インスタレーションプロジェクト「HAKU by SWAG」が、2026年5月27日(水)から6月23日(火)まで、大阪・アートエリアB1にてインスタレーション展『Resonance(レゾナンス)』を開催している。「Osaka Art & Design 2026」の公式プログラムへの参加だ。
展覧会タイトルの『Resonance』は「共鳴」を意味する。自然の風、空間に潜むノイズ、都市を支えるインフラの構造——普段は目に見えず、意識されることの少ない力やシステムを、リボン・鏡面シート・鉄線・映像・振動といった物質を通して可視化・体験化するインスタレーションだ。来場者は作品を一方向から眺めるのではなく、物質が揺れ、反射し、影を落とす空間の内部へ入り込む設計になっている。
WIND——過去の風が彫刻した、2,160本のリボン
本展の中核を担う「WIND」は、12m × 4mの空間頭上に張り巡らされたネットから、2,160本のリボンが降り注ぐキネティック・インスタレーションだ。
このリボンの長さはランダムではない。大阪の土地が記憶する過去の風向きと風の回数のデータをもとに、16方位のサーキュレーターとリボンの長さが設計されている。過去によく吹いた強い風のエリアほど、リボンが風化して削り取られたように短くなるというルールに基づき、2,160本が一本一本手作業でカットされた。
来場者はリボンが鬱蒼と垂れ下がる「無風のエリア」を手でかき分けながら進み、やがて風に削られた巨大な空洞へと抜け出す。目に見えない風の履歴を、地形のように身体で体験する作品だ。過去の気象データが物理空間へと翻訳されるとき、来場者の身体的な抵抗感そのものが「体験」になる——そのアプローチは、展示演出の新しい方向性として注目に値する。
SURFACE——重低音と鏡面の共鳴
「SURFACE」は、車のボディにも用いられるメッキラッピングシートを素材に、空間の表層を波立たせるインスタレーションだ。重低音や環境ノイズのエネルギーを、鏡面素材の揺らぎとして視覚化する。インダストリアルな素材が振動と共鳴し、まるで液体金属のように波打つことで、ギャラリー空間と来場者自身の姿を不安定に歪ませる。
周囲の環境すべてを反射し取り込むことで完成する作品であり、来場者の存在もまた作品の一部となる。私たちが立っている空間そのものが、決して固定されたものではなく、常に流動的で揺らぎを含んでいることを示す一作だ。
ROOT——静止と影の脈動
「ROOT」は、WINDとSURFACEが生み出す動的な空間の底に沈殿する、巨大な鉄線の構造体だ。機械的な運動を持たず、環境の慣性によってわずかに揺らぐだけの造形体だが、光を受けた鉄線は床や壁に予測不能な影を落とし、静止しているはずの物質に絶えず変化する表情を与える。激しく動く作品群の中にあって、都市の根やインフラのように空間の底に横たわるアンカーとなる存在だ。
HORIZON——幅7mの壁面に広がる、記憶の地層
「HORIZON」は、幅7,000mm × 高さ900mmのスーパーワイドな壁面プロジェクションによる映像インスタレーションだ。日本各地で撮影された風景を、水中・水面・木の根・揺らぐ草木・都市の橋・鉄道橋・空といった階層ごとにスライスし、断層のように積み上げて構成している。本来は連続しているはずの風景をあえて分解・再構築することで、私たちの環境がどのようなレイヤーによって成り立っているかを可視化する。
他の3作品が「いま・ここにある空間」と共鳴するのに対し、HORIZONは遠く離れた土地の記憶やインフラの歴史をギャラリー内へ持ち込み、来場者の内面と接続する映像作品だ。4作品がそれぞれ時間・空間・物質・記憶の軸を担い、展覧会全体として「共鳴」という体験を立体的に構成している。
イベント業界への示唆——「データ×物質」が開く体験設計の次章
プロジェクションマッピングやLED、AR/VRなどデジタル技術を活用したイベント演出は広く普及している。しかし『Resonance』が提示するのは、デジタル表現に閉じない、デジタルとアナログが融合した空間設計の方向性だ。気象データや都市インフラの構造といった「不可視の情報」を物理素材に落とし込むことで、来場者は「見る」という受動的な体験を超え、「感じる・かき分ける・巻き込まれる」という能動的な関与へと引き込まれる。
展示会のブース設計に置き換えれば、製品スペックを画面に映すだけでなく、それを空間の構造そのものに織り込んだとき、来場者の体験はどれほど深まるか——『Resonance』はその問いに対する、一つの高純度な回答だと言えるだろう。SWAGがこれまでイベント・ライブ演出・プロジェクションマッピングで培ってきた知見が、HAKUプロジェクトとして結実している。
【開催概要】
展覧会名:Resonance
アーティスト:HAKU(HAKU by SWAG)
会期:2026年5月27日(水)〜6月23日(火)
会場:アートエリアB1(https://artarea-b1.jp/)
時間:11:00〜18:00 ※月曜休館
入場料:無料
主催:大阪アート&デザイン実行委員会
協力:京阪ホールディングス株式会社、アートエリアB1
Instagram:https://www.instagram.com/haku_symunity/









