シンユニティのイマーシブ、香りと振動で進化ー実証実験は第2章へ ―イマーシブテクノロジー EXPO2026出展レポート
- 2026/6/20
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シンユニティのイマーシブ、香りと振動で進化ー実証実験は第2章へ ―イマーシブテクノロジー EXPO2026出展レポート
2026年6月17日(水)~19日(金)、東京ビッグサイト(西展示棟)にて「第19回 コンテンツ東京」内の併催展「第2回 イマーシブテクノロジー EXPO」が開催された。「第15回 コミュニケーションデザイン EXPO」「第1回 ファンコミュニティマーケティング EXPO」、同時開催展「第6回 XR・メタバース総合展【夏】」とともに展開された本展は、リアル体験に特化し、五感を刺激する最新のイマーシブテクノロジーを集めた展示会で、企業のマーケティング・ブランディング担当者や、エンタメ・観光、商業施設・店舗の関係者などが多数来場した。
このイマーシブテクノロジー EXPOに、シンユニティグループ(シムディレクト・SWAG・タケナカ)が出展。最新のテクノロジーとクリエイティブの力で、人の感情を動かす体験を創出してきた同グループは、映像・音響・照明に加え、香りや足元の質感まで組み合わせ、「五感に訴え、来場者の心を動かすイマーシブ空間」を体感できるブースを展開した。映像表現には2.8mm屋内用LEDディスプレイ「MG6S」を使用し、空間全体を包み込むような没入映像を実現している。

体験消費の時代に高まる「イマーシブテクノロジー」への注目
デジタル広告やSNSが溢れるなか、企業の関心は「体験を軸にしたユーザーとのコミュニケーション」へと移りつつある。五感で感じ、身体で記憶する没入型体験は、ブランドの世界観を伝える手段として注目を集めており、マーケティング・ブランディングだけでなく、ものづくり、建築、教育、観光、医療など幅広い業界で活用が広がっている。総務省も2026年1月20日に「没入型技術の利活用促進に向けたマルチステークホルダー連携会合」を開催するなど、産業政策としても関心が高まっている分野だ。
こうした流れのなか、シンユニティグループは2025年の前回出展から続けてきた、心理学的アプローチによる演出効果の検証実験を、今回はさらに一歩進めた内容で実施した。
2025年「Chaotic Calm」から続く、心が動く仕組みを探る実験
シムディレクトは2025年の前回出展で、足元から壁面までLEDディスプレイで囲んだ円形空間「Chaotic Calm」を発表していた(心理学でつくる五感統合デザイン ”なんとなく良い”から科学的根拠へ)。映像表現の一つには、外部への注意が向いていない時に活性化する脳の働き「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」の概念を用い、スローモーション映像によってこの状態を意図的に誘発。来場者に「自分に足りないものは何だろう」という心理状態を作り出す狙いがあった。
あわせて、自然の荘厳さに触れて自分が矮小に感じる「AWE(オウ)体験」と呼ばれる効果も取り入れた。内向きと外向きの意識を交互に刺激したうえで、豊かさを訴求する映像や湧き水・お茶の葉のシーンを差し込み、解決策を提示するという行動経済学的なアプローチも組み込まれていた。
照明設計では色彩心理学の知見を活用し、序盤は心理的な癒し効果のある緑色照明、続いて心拍数を上げ感情を盛り上げる赤色照明、そしてアンケート回答時には思考が働きやすい白色照明と、段階的に来場者の集中力を制御する設計にしていた。音響面では15.1chの立体音響を採用し、序盤で音を動き回らせることで空間認識を曖昧にして没入を誘い、続くシーンでは528Hzなど人の心理状態にあわせて設計された“ソルフェジオ周波数”の音楽を使用していた。
香りの演出は「Breath of Tea」をテーマに、調香師と相談しながら、安全性を担保するため茶成分を使わずに構成。序盤は清涼感、中盤は植物のイメージ、終盤は静寂と余韻と、時間経過にあわせて香りの構成を変化させ、ストーリー展開とシンクロさせていた。
この取組みを手がけたのは、株式会社シムディレクト(シンユニティグループ)プロデューサーの舛井奈緒さん。中央大学の心理学分野の教授の助言を得ながら、各シーンで抱いた感情や没入したポイント、興味の度合いによる体感時間の変化、「お茶を飲みたくなったか」などをアンケートで測定し、「なぜ心が動いたのか」を紐解く実験の第一段階として位置づけていた。
2026年は照明と振動でさらに踏み込んだ没入体験へ

今回はその実験の第二段階にあたる内容として、お茶をイメージした没入空間を新たに構成した。床には苔(モス)を敷き詰め、踏んだ時の感触によって来場者の気持ちの切り替えを促す仕掛けを導入。舛井さんは、モスを選んだ理由について「お茶室に行くまでの庭園のイメージ」と説明しており、お庭を歩く感触を再現する素材としてモスを採用したという。
香りについても、前回の安全性重視の香り演出から一歩進め、本物の茶葉を温めて立ち上らせる香りに変更した。前回はもう少しさっぱりとした香りだったのに対し、今回は抹茶の濃いめな香りを意図的に強めており、舛井さんは、今回もアンケートを取ることで、前回との比較からどちらの香りがより効果的なのかを検証したいとしている。
さらに今回新たに加えたのが振動の演出だ。舛井さんは、振動について「理屈ではなく心に直接作用しやすいのではないか」という発想から導入したと説明する。抹茶のイメージと直接結びつくものではないものの、振動によって「集中する」感覚が生まれるなど、これまでとは異なる作用を感じているという。前回はなかった要素だけに、その効果の大きさには本人も驚いた様子がうかがえた。
アンケートの回答状況を見ると、現時点で「お茶を飲みたくなった」という回答件数は前回より増えている。舛井さんは、本物の茶葉の香りや振動、苔の感触といった、よりアナログで直接的・感覚的な要素が、その差に影響している可能性があるとみている。
抽象と具象を組み合わせた映像表現

映像面では、茶をテーマにした映像であるものの、中盤に登場する、緑色の茶葉が湯のなかに沈んでいくシーンのみが具体的にお茶を想起させる描写で、それ以外のシーンは直接的なつながりを持たせず、抽象的な映像表現のなかにキーワードを暗示させる構成とした。抽象的な映像を挟み込むことで、来場者が自らイメージを補完しながら没入できる。
心理学との連携を継続し、演出と感情変化の関係を検証

舛井さんは、今回の取組みも前回に続く「実験のパート2」という位置づけだと話す。アンケートには各シーンで抱いた感情や、没入したポイント、体感時間の変化などの項目を設け、心理学の面でも前回から引き続き大学の教授の助言を得ながら進めている。
香り・振動・床の質感といったアナログな感覚要素を加えながら、演出と来場者の感情・行動変容の関係性を継続して測定していろ。2025年の実験で得られたデータをもとに、2026年は新たな感覚要素を加えてさらに検証を深めるアンケートを実施した。段階的なアプローチによって、空間演出を感覚的な評価から科学的に考証可能な領域へと進化させる試みが続いている。

開催概要まとめ
| 展示会名 | 第19回 コンテンツ東京(第2回 イマーシブテクノロジー EXPO ほか併催) |
| 会期 | 2026年6月17日(水)~19日(金)10:00~17:00 |
| 会場 | 東京ビッグサイト(西展示棟) |
| 併催展 | 第15回 コミュニケーションデザイン EXPO/第1回 ファンコミュニティマーケティング EXPO/第6回 XR・メタバース総合展【夏】(同時開催) |
| 主催 | RX Japan合同会社 |
| 出展社 | シンユニティグループ(シムディレクト・SWAG・タケナカ) |
| 関連リンク | イマーシブテクノロジーEXPO公式サイト |
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