万博7回・JETRO38年の経験者が語る日本のイベント産業の未来 日本イベント協会副理事長 寺澤義親さん

日本イベント協会副理事長-寺澤義親さん

万博7回・JETRO38年の経験者が語る日本のイベント産業の未来 ゲスト:日本イベント協会副理事長 寺澤義親さん

コースケ・よーこのミュートを解除 第252回 2026年7月17日(金)12:00〜

JETRO(日本貿易振興機構)に38年。万博に7回直接従事。国際見本市連盟(UFI、パリ本部)理事、アジア展示会コンベンション団体連盟(AFECA、シンガポール本部)副会長——。展示会・博覧会・ビジネスイベントを50年近く追いかけてきた”生き字引”が、今この業界について語るとき、その言葉には危機感と希望が混在する。

今回のゲストは、一般社団法人日本イベント協会(JEVA)副理事長・イベント総合研究所主席研究員の寺澤義親さん。幕張メッセ常務取締役、コングレ顧問を経て、現在はJEVAを軸に業界の国際化・サステナビリティ・人材育成の最前線に立つ。SNSやメディアで発信し続けるグローバル視点の言葉に共感してきた視聴者も多いはずだ。

「業界として認知されていない」——コロナ禍での救済策の議論のなかで、ビジネスイベント産業が支援対象から漏れた。その衝撃から始まった世界規模の問い直しが、脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みと交差しながら、今日本の業界にも問いを投げかける。創立40周年を迎える日本イベント協会が次の40年へ何を描くのか、たっぷりと語っていただいた。

  • 1)寺澤さんの自己紹介と50年のキャリア——JETRO・万博・国際機関をめぐる歩み
  • 2)日本イベント協会(JEVA)の成り立ちと役割——1986年設立・40周年の歩み
  • 3)業界認知度と脱炭素——コロナが照らした課題と世界の動き
  • 4)JEVA40周年記念行事(2026年11月10日)の見どころ

▼ 日本イベント協会 創立40周年記念行事

日時 2026年11月10日(月)15:00〜19:00
会場 東京富士大学(東京都新宿区)
内容 記念式典 / 記念講演 / 祝賀レセプション
記念講演 登壇者 栗田秀一さん(一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会/CEIPA 専務理事)
日本の音楽業界グローバル化の立役者。SMエンタテインメントジャパン時代にBoA・東方神起の日本市場参入を手掛け、音楽業界主要5団体連携の「MUSIC AWARDS JAPAN(MAJ)」設立を主導。
祝賀レセプション 青森アトラクション、馬頭琴演奏(モンゴル出身・東京富士大学准教授による)ほか
公式サイト https://jeva.or.jp/
ゲストプロフィール

寺澤義親(てらさわ・よしちか)
一般社団法人日本イベント協会(JEVA)副理事長
イベント総合研究所 主席研究員
一般社団法人MICE総研 客員研究員
ビジネスコンサルタント(個人事業主)

1973年ジェトロ(日本貿易振興機構)入会。展示事業部・海外調査部・ジェトロシカゴ(広報・輸入促進・産業協力担当部長)・ジェトロトロント(次長)・展示事業部長・ジェトロシンガポール所長などを歴任。ハノーバー万博2000(ドイツ)では日本館事務局長を務めた。2003〜2006年には展示事業部長として日本初の展示会データベース構築を主導。2010年ジェトロ退職後は株式会社幕張メッセ常務取締役コンベンション事業本部長(2010〜2015年)、株式会社コングレ顧問(2016〜2020年)、株式会社ムラヤマ顧問(2017〜2022年)を経て現在に至る。

国際見本市連盟(UFI、パリ本部)理事(2011〜2014年)、アジア展示会コンベンション団体連盟(AFECA、シンガポール本部)副会長なども歴任。万博は沖縄・ノックスビル・ニューオーリンズ・大田・ハノーバー・愛知・サラゴサの7回に直接従事。著書に『展示会活用マーケティング戦略』(2006年、ピーオーピー出版)ほか多数。


内容まとめ

(生成AIによるまとめ、誤字脱字あり)

今回のトーク番組「コースケ・よーこのミュートを解除」では、一般社団法人日本イベント協会(JEVA)副理事長の寺澤義親さんをゲストに迎え、50年に及ぶキャリアと日本のイベント産業が抱える構造的課題、そして創立40周年を迎えるJEVAが描く未来についてたっぷりとお話しいただきました。

寺澤義親さんの50年のキャリア——JETRO・万博・国際機関をめぐる歩み

寺澤さんのキャリアの起点は1973年のジェトロ(日本貿易振興機構)入会です。以来38年にわたり、展示事業・海外調査・海外拠点運営という3つの軸を横断しながら、日本の展示会・博覧会の国際化の最前線に立ち続けました。ジェトロシカゴでは広報・輸入促進・産業協力を担い、カナダ・トロントでは次長として北米市場に深く関わり、シンガポール所長時代はASEAN地域のネットワーク構築に注力しました。

キャリアの中でも特に際立つのが、万博への関与です。1975年の沖縄国際海洋博覧会から始まり、ノックスビル(米国・1982年)、ニューオーリンズ(米国・1984年)、大田(韓国・1993年)、ハノーバー(ドイツ・2000年)、愛知(2005年)、サラゴサ(スペイン・2008年)と、都合7回の国際博覧会に直接従事してきました。ハノーバー万博2000では日本館事務局長を務め、国際的なステージで日本の展示のあり方を問い続けた経験が、その後の展示会業界への貢献の礎になっています。「普通は一生に一回あるかないか。私は7回経験した」という言葉には、並外れたキャリアの密度が凝縮されています。

その経験をもとに、2005年に『国際博覧会業務の手引き』(ジェトロ)を編著。万博の全体像を一冊で把握できる実務書として業界に広く活用されています。また2003〜2006年の展示事業部長時代には、日本初の展示会データベースを構築し、国内の展示会情報を世界の業界団体に向けて発信する仕組みを整えました(同データベースは2025年3月をもって惜しまれながら廃止)。

ジェトロ退職後は幕張メッセ常務取締役として施設経営の「内側」を経験し、コングレ・ムラヤマでの顧問活動を通じてMICE・展示施工の分野にも視野を広げてきました。さらに、国際見本市連盟(UFI)理事、AFECA副会長として国際的な意思決定の場にも参加。「鳥の目(外側・政策)と虫の目(現場・実務)の双方を持つ人物」として、業界内で唯一無二の立場にいます。

一般社団法人日本イベント協会(JEVA)の成り立ちと役割——1986年設立・40周年の歩み

1970年の大阪万博は、日本のイベント産業の大きな転換点でした。「お祭り」として消費されてきたイベントが、産業・文化・都市開発の文脈に位置づけられ始めたのです。その流れを受け、スポーツ、音楽、文化、ビジネスイベントが次々と勃興した1980年代に、「イベントというセクターを育てる」ための専門組織として通産省(現・経済産業省)の肝いりで誕生したのが、1986年の日本イベント協会(JEVA)です。

設立を主導したのは、大阪万博で岡本太郎氏とともに腕を振るったイベントプロデューサー・平野重雄氏(故人)。建築を背景に持つ専門家として「イベントの知」を体系化することに情熱を傾け、JEVAを産業界と教育機関をつなぐプラットフォームとして育てました。その後も歴代会長に業界のキーパーソンが連なり、業界の発展とともに組織を広げてきました。

JEVAの活動は、①調査研究、②人材育成、③会員交流、④国際連携の4つの柱で構成されています。研究機能を担うイベント総合研究所(2006年設立)では、寺澤さんが主席研究員として実務と研究をつなぐ役割を果たしています。人材育成では、東京富士大学イベントプロデュース学科(日本初・2013年設立)の立ち上げを支援し、現在も多くの会員が同大学の教壇に立っています。さらに日本工学院専門学校のイベント関連カリキュラム策定と講師派遣も一括受託するなど、次世代の人材輩出に継続的に取り組んでいます。

日本イベント産業振興協会(JACE、1989年設立)、日本展示会協会(日展協)など他の業界団体とも連携しながら、各団体が得意分野を補完し合う形でイベント産業全体の底上げを目指しています。JEVAは個人ベースの専門家の集まりという性格が強く、「この専門知をどう束ねて産業として可視化するか」が設立以来の一貫したテーマです。

「業界として認知されていない」——コロナが照らしたビジネスイベント産業の構造的課題

2020年のコロナ禍は、世界中のイベント・展示会会場を閉鎖させ、業界に壊滅的な打撃を与えました。各国の業界団体は政府に救済を訴えましたが、そこで直面したのが予想外の現実でした。各国政府が支援対象として定義した「産業リスト」に、ビジネスイベント産業が入っていなかったのです。支援が届いたのはホスピタリティ産業、レジャー産業、あるいはビジネス一般——しかし展示会・コンベンション・見本市を核とするビジネスイベント産業は「独立したセクター」として認識されていなかったため、制度の網から漏れてしまいました。

この経験は、世界の業界関係者に深刻な問いを突きつけました。「私たちはこれだけの経済効果を生み出し、雇用を支え、国際交流を促進してきたのに、なぜ独立セクターとして認められないのか」——その問いに向き合ったことが、世界規模での業界結束と発信強化への転換点になりました。欧米ではコロナをきっかけに業界団体が連携し、「我々の産業の経済的・社会的貢献を数値化し、世界に示す」というミッションが共通認識となったのです。

日本においても、個社や個人の発信よりも「業界としてのメッセージ」を強化することが急務です。展示会、コンベンション、見本市、音楽フェスティバル、スポーツイベント——それぞれが個別に価値を訴えるのではなく、「イベント産業というセクター」として経済波及効果や雇用創出を可視化し、行政・メディア・社会に認知させる取り組みが、JEVA副理事長として寺澤さんが現在最も力を入れるテーマです。

2050年カーボンニュートラル——世界が走る脱炭素の競走と日本の現在地

業界の認知度向上と表裏一体の課題として、寺澤さんが強調したのが脱炭素・サステナビリティへの取り組みです。パリ協定の締結を受けて各国政府が2050年カーボンニュートラルを目標に設定し、それを受けた産業界も「業界として目標を掲げ、ロードマップを作る」動きが世界各地で始まっています。

ビジネスイベント業界では、2021年に「ネット・ゼロ・カーボン・イベント・イニシアティブ(Net Zero Carbon Events Initiative)」が世界の業界団体の連携によって打ち上げられました。UFI(国際見本市連盟)、ICCA(国際会議協会)、AIPC(国際会議場協会)など主要国際団体が結束し、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けた測定・削減・報告の標準化を推進しています。欧州を中心に、業界レベルでの排出量測定ツール(カーボン・カリキュレーター)の開発や、目標値とアクションプランの策定が着々と進んでいます。

一方、日本の現状は、欧米の取り組みと比べると遅れが否めません。個別企業や個別の展示会レベルでのサステナビリティ対応(カーボンカリキュレーターの実証実験、展示会での廃棄物削減の取り組みなど)は少しずつ広がっているものの、「業界全体として2050年カーボンニュートラルという目標を掲げ、ロードマップとアクションプログラムを設定する」段階には達していません。

この課題に向けてJEVAは、日本イベント産業振興協会(JACE)、日本展示会協会(日展協)など関連業界団体との横断的な連携を進め、「日本のイベント・展示会産業としての脱炭素ロードマップ」策定に取り組んでいます。サステナビリティは単なる環境問題ではなく、業界のブランド価値と直結する経営課題です。「この問題に取り組まない業界に新しい人は来ない」という寺澤さんの言葉は、人材育成と認知度向上という課題とも深くつながっています。

JEVA創立40周年記念行事——音楽業界のグローバル化から見えるイベントの未来

2026年、日本イベント協会は創立40周年を迎えます。その節目を記念する行事が、2026年11月10日(月)に東京富士大学で開催されます。午後3時から7時にかけて、記念式典・記念講演・祝賀レセプションの3部構成で実施されます。

記念講演に招かれたのが、一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(CEIPA)専務理事の栗田秀一さん。その名前を知る人は多いかもしれません。2001年に韓国・SMエンタテインメントジャパンを立ち上げ、BoAや東方神起の日本市場参入を仕掛けた人物として音楽業界に知られています。その後もDEPAPEPE、amazarashi、Nulbarichなど国内外のアーティストのプロデュースに携わり、音楽とエンタテインメントのグローバル展開を一貫したテーマに活動してきました。

栗田さんが現在の主戦場とするCEIPAは、2023年に日本の音楽業界主要5団体(日本レコード協会・日本音楽事業者協会・日本音楽制作者連盟・日本音楽出版社協会・コンサートプロモーターズ協会)が垣根を越えて設立した組織です。都倉俊一氏の文化庁長官就任をきっかけとした「日本コンテンツのグローバル産業化」という議論が背景にあり、その答えのひとつとして生まれました。2025年5月には京都で「MUSIC AWARDS JAPAN(MAJ)」を開催し、日本とアジアの音楽を世界に発信する新たなプラットフォームとして注目を集めています。

寺澤さんがこの記念講演に栗田さんを招いた理由は、「音楽エンタテインメントの世界が今まさにやっているグローバル化・産業化の動き」をイベント業界の文脈で共有したいからです。展示会と音楽フェスは異なる産業に見えますが、「日本のコンテンツ・文化・産業を世界に届ける場としてのイベント」という軸では地続きです。国も官民合わせて256兆円規模のコンテンツ投資を検討する時代に、イベント産業がその受け皿・舞台となれるかどうか——そのヒントが栗田さんの苦労話と戦略の中にあると、寺澤さんは語ります。

祝賀レセプションには青森のアトラクション、そしてモンゴル出身でモンゴル国の勲章も受章した東京富士大学准教授による馬頭琴演奏も予定されており、イベントの多様性と国際性を体現する内容になっています。東京富士大学はJEVAが設立支援したイベントプロデュース学科(2013年・日本初)を持つ大学でもあり、40年の歩みの中で育ててきた「人材育成」の象徴的な場所での開催となります。


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