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【イベント進化論 その1 JAPAN PACK 2019の場合】

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展示会にアプリが新たな付加価値を
【イベント進化論 その1 JAPAN PACK 2019の場合】

(一社)日本包装機械工業会 事務局次長 阿部 公拓 さん(写真:左)
㈱ブレイブソフト イベントグロース事業部長 岡 慶彦さん(写真:右)

5月に開催されたJAPAN PACK 2019の出展者説明会は、出展手続きの説明に加えて、アプリやマッチングやオンライン招待状など、ITサービスに関する説明に多くの時間を割いていた。同展のデジタル化について、主催者とアプリ提供企業の両者にうかがった。

デジタル化は命題

――JAPAN PACKはどのような展示会ですか?

阿部 包装機械とその周辺技術が集まる包装産業の総合展として、今回で32回目となります。近年は、製造工程のライン化が進んだこともあり、包装の前工程である食品加工、後工程の梱包・集積・検査機器の出展も増え、それらを制御するITやセンサリング、統括管理システムも多く出展されています。

 


――出展者の課題とは

阿部 廃プラなどの環境対応とゼロディフェクトという作業ミスを減らすことが課題になっています。生産ラインの自動化が進んでいる現在、どれか一つでも機械が故障するとライン全体が止まり大きな損害となるので信頼性の向上は大きな命題となっています。また、生産ラインは工場によって異なるので同じ製品がない、オーダーメイドであることも特長になっています。これらのことから、会場では新製品を見て回るというより、じっくりと商談する来場者が多く、バイヤーの本気度が高い展示会だと思っています。先ほど申し上げたように1つの生産ラインに多様な機械が含まれるので、出展者どうしの横のつながりから、新たなビジネスが生まれることも多いです。

 

ーーリアルの場の特長を活かしたJAPAN PACKで、今回アプリ導入やマッチングシステムなど、デジタル化が進んでいますね

岡 私も出展者説明会でお時間をいただき、弊社で開発させていただいたアプリの説明や出展成果が向上する活用法をお話しさせていただきました。

阿部
  ITの展示会になったわけではないんですけど、たしかに今年はデジタルシフトがJAPAN PACKの大きなトピックスだと思います。

 

ーーデジタル化推進の目指すところは?

阿部 ProPak AsiaやPACK EXPO International など海外の包装機械の展示会に行くことが多いのですが、実際に使ってみると便利ですよね。必要な情報をすぐ調べられるし情報更新も早い。

岡 
展示会の光景というと、たくさんの資料を抱えながらガイドブックをチェックしている来場者の姿が浮かびますが、海外の会場ではスマホを片手に、という方が多いですよね。

展示会の参加体験・出展意義が変わる

ーーどのようなものをデジタル化しましたか?

阿部
展示会の告知といえば招待状の送付は欠かせませんが、今回は「デジタルインビテーション」という名称で招待状をPDFのフォーマットにして、出展者ご自身で内容を追記・拡充できるようにしています。これにより、印刷・郵送に加えてメールなどでも送れるようになり、海外も含め多くの方にも告知しやすい環境になりました。また、商談マッチングサービスの「EventHub」を導入して、新規ビジネスパートナーの開拓と会場内での商談活性化を促進します。そしてもっとも期待しているのが、「JPアプリ -JAPAN PACK 公式アプリ-」です。

ーーJP アプリはどういうものですか

岡 
数多くの展示会やイベントのアプリ制作のノウハウを結集した弊社の「eventos」のプラットフォームを使って「JPアプリ」を提供させていただいております。

阿部 アプリの導入でいろいろなことができそうだと期待しているのですが、まずは集客につながる情報発信ですね。



岡 
FAXが読まれなくなったように、いまメールも開封率が下がっています。メールボックスに未読が溜まっている方は多いのではないでしょうか。一方アプリはプッシュ通知が可能で、スマホを持っていれば、新しい情報が入った時に、使う人の設定にもよりますが、バナーで情報がでたり、通知がきたりするので、ほとんどの人が認識します。

阿部
最新情報を順次お送りできるのは素晴らしいですよね。印刷物の締切を意識せずにプログラムづくりにも時間が掛けられるます。

岡 アプリは情報の質を高める効果もあります。ウェブ検索は、広告やSEO対策を施したページが上位に表示、必ずしも検索した人の疑問に答えられる情報に触れられるわけではありません。アプリはダウンロードしている時点でその展示会の情報が欲しい方をフィルタリングしていますし、送る内容も事務局や出展者からの情報に限られているので、信頼性の高い情報しか流れません。

阿部 コンテンツの良し悪しというのは、記事そのものの内容もさることながら、読む人にマッチしているかどうかが大きいですよね。

 

ーーほかにもアプリ導入のメリットは?

岡 プッシュ通知やバナー広告で、アプリは展示会主催者様に新しいマネタイズによる収入を提供できます。

阿部
会場内に出展者ブースの告知広告を設置することがありますが、同じようにアプリ内でバナー広告の掲出や、メッセージを送ることができます。出展者様の集客・出展効果が向上する新しいサービスメニューが加わったという位置づけです。

岡 
展示会場での来場者にリッチな参加体験を提供できるのもアプリの特長です。プッシュ通知でセミナー開始のアラートや会場までの誘導もできますので、会場内にいる時間を有意義に過ごせるように、その時々に必要な情報を提供します。

阿部
プレスの皆さまへの情報発信も強化したいと考えています。会期中に工業会や出展者から予定外の発表がされることもありますので、それを会場内で取材をされているプレスの方だけに配信して、取材対応をいただくことにも威力を発揮しそうです。

岡 また、当初バナー広告のリンク先は出展者の公式サイトを考えていたのですが、ブースへ誘導する会場図面のポインティングページをつくっていただくことを推奨されています。

阿部
せっかく会場に来ていただいてるので、目の前にある出展ブースに誘導したいですからね。

岡 位置情報を取得するビーコンとアプリをリンクすると、ブース誘導も効果的にできますね。

阿部 今回はまずアプリの導入をして、次回開催以降でビーコン導入を検討したいですね。


岡 
出展企業にとって、アプリはBtoBマーケティングのツールとしても利用できます。アプリをスマートフォンに入れ続けている方は、包装機械の情報に関心が深く、機器の導入を検討する見込み顧客が多い方のみフィルタリングされており、スコアリングの役割を果たします。その方たちに向けてコアな情報を提供していくことは、見込み客の育成・営業案件化するナーチャリングの機能をもっています。

阿部 今回のJPアプリとしてやるべきかはこれから議論すべきですが、工業会から継続的な情報発信が必要と考えています。JAPAN PACKは2年に1度の開催ですから、その間に展示会への興味喚起をしたり、情報発信をしていくことで業界発展につなげるのは工業会の役目だと考えています。

メリットを説明し導入障壁をなくす

ーーデジタルで情報を多く行うと展示会で盛んに行うと、会場に来なくてもいい、という来場者誘致に影響するという心配は

阿部 我々は工業会ですので、展示会の成功が最終的なゴールではなく、会員各社の発展、業界の反映などを目指しています。工業会には展示会実行委員会以外にも会員企業で組織される各種の委員会があります。その中の広報推進委員会とIT委員会では情報発信の強化がつねに議論されています。岡さんに委員会でアプリの内容や効用を説明していただいたことも大きかったですね。

岡  なかなかそういう機会をいただくことは少ないので、力がはいりました。委員の皆様からすぐにご理解いただけたのはありがたかったです。


阿部
委員の方々はそれぞれに企業で販促・営業強化にさまざまな取組みをされているので、新しい技術への障壁はあまりなかったようです。デジタルとリアルの双方の良いところを取り入れればよいと思います。

テクノロジー導入が変えるもの

ーーアプリ導入をはじめデジタル化の目指すところは

岡  展示会には、主催者、出展者、来場者、スポンサーという4つのステークホルダーがいますが、情報共有によってそれぞれをつなぐことで商談機会の創出や出会いをアプリがつなぐ機能をはたせると信じています。

阿部
工業会の存在意義は、業界発展に寄与すること。それは会員企業だけでなく、業界全体、機器導入されるユーザー様、これから業界を支えてくれる学生の方々への情報発信によってつなげることが欠かせません。工業会の機関紙もデジタル化して情報量・発信頻度をあげることができました。展示会というリアルの場の活用についても、ステークホルダーに直接届けることのできるデジタル化した情報発信は大きなメリットがあると考えています。

 

田中力 MICE研究所

田中力 MICE研究所

田中力 MICE 研究所 代表 展示会 イベントの集客は、来場者数、来場者の質、滞留時間という「集客3D理論」を展開。