スポーツ切り口 新「とらや」の空間力

TORAYA AOYAMAでのヨガ

– 特集 クライアントと創る空間デザイン –

店舗・店装
今回のクライアントは…. 株式会社虎屋
TORAYA AOYAMA

TORAYA AOYAMA 店長 菅野 千恵子さん
株式会社丹青社 デザインセンター 可知 友貴子さん

――2018年7月に東京青山にオープンした新店舗「TORAYAAOYAMA」。老舗和菓子屋とらやのなかでも、軽やかな印象のお店です。コンセプトを教えてください。

TORAYA AOYAMA 店長 菅野千恵子さん 株式会社丹青社 デザインセンター 可知友貴子さん

左) TORAYA AOYAMA 店長 菅野千恵子さん
右) 株式会社丹青社 デザインセンター 可知友貴子さん

菅野 この店では、「スポーツのおともに羊羹を」というフレーズを掲げています。「なぜスポーツに羊羹?」とよく訊かれますが、実は羊羹には低脂質・高糖質という特徴があり、手軽なエネルギー補給に向いています。植物性の原材料でつくられているのも強みです。

また、青山は2020年夏のオリンピック・パラリンピックのメイン会場に近く、日頃からスポーツを楽しまれる方が多い地です。そうした土地では、スポーツウェアのままでも気軽にご来店いただきたかったので、設計をお願いする際は、とらやのスタジオというキーワードをお伝えし、ヨガ教室やイベントを開催しやすいよう、可動式の商品台をつくっていただきました。

――老舗店の新しいチャレンジを空間デザインに落とし込むのには、どのように取り組まれていったのでしょう

可知「スポーツのおともに羊羹を」というフレーズが今回の店舗で表現するべきゴールであることをとらやさんと共有することからスタートしました。

“とらやのスタジオ”という新しいコンセプトの表現へチャレンジするなかでも、老舗の直営店であることを念頭に置き、デザインをご提案させていただきました。スポーツを切り口にした店舗のため、ランニングの途中に立ち寄れるステーションにもなるような、気軽で軽快な空間を意識しました。

店内のデザインは、店頭の“暖簾”と店内正面の“鐶虎”(かんとら)を際立たせるため、「木・モルタル・無彩色」というミニマルなマテリアルで構成しています。それらは羊羹の原材料が「砂糖・小豆・寒天」を基本とする厳選された素材に限られていることになぞらえたものです。また、店舗がもつ物販、喫茶、ヨガスタジオの3つの機能を1つの空間に落とし込むため、レイアウト、什器計画を十分に検討し実現しています。

――空間の第一印象はいかがでしたか
菅野  とらやの店舗が重厚感ならば、TORAYAAOYAMAは良い意味で軽やかな印象でした。空間に立ってみて、この店の目標にしようと思ったのは自然体であることです。販売員が自然体でお客様と接し、お客様も気軽に和菓子を楽しんでいただけるような空間にしたいと思いました。

可知さんにも一緒に考えていただきましたが、コンセプトの先にあることを考えなければいけないなと。「とらやはこうしたい」という思いも大切ですが、それを受けてお客様がどう思われるのか、そのお客様に私たちはどう向き合い、行動していくのかということを、より大切にしていきたいと思います。

TORAYA AOYAMAでのヨガ

1) ヨガ教室。「教室のあとのお見送りはお客様との距離も近くなり階段を上がっていかれる姿は晴れやかです」(菅野店長)

ヨガスペースのため商品台にキャスター

2)ヨガスペースをつくるため、中央の商品台にはキャスターを取り付けた

お客さま、スタッフ動線の想定シーンは12 通り

3)「お客さま、スタッフ動線の想定シーン」は12 通り複数パターン作成され、空間の使い方を具体化

贈答エリアカウンター什器のスケッチ(TORAYA AOYAMA)

4) 贈答エリアカウンター什器のスケッチ。接客に関わるすべての什器カウンターの内側の設計には取手の形状から棚のサイズまでデザインだけではなく、内側の棚の割り付けや可動域から、取っ手の形状までの細部の検討に最も時間を割いたという。立体的な手書きのスケッチにすることで平面図図面よりも想像しやすく共有していった

①ヨガ教室。「教室のあとのお見送りはお客様との距離も近くなり階段を上がっていかれる姿は晴れやかです」(菅野店長)。
②ヨガスペースをつくるため、中央の商品台にはキャスターを取り付けた
③「お客さま、スタッフ動線の想定シーン」は12 通り複数パターン作成され、空間の使い方を具体化
④贈答エリアカウンター什器のスケッチ。接客に関わるすべての什器カウンターの内側の設計には取手の形状から棚のサイズまでデザインだけではなく、内側の棚の割り付けや可動域から、取っ手の形状までの細部の検討に最も時間を割いたという。立体的な手書きのスケッチにすることで平面図図面よりも想像しやすく共有していった

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