イベントは社会を動かす(2)─ 第12回JACEアワード 全受賞作品と選考の言葉

第12回JACEイベントアワード

6月16日に開催された「第12回JACEイベントアワード」表彰式。174件の応募から選ばれた全受賞作品を紹介する。

最優秀賞 経済産業大臣賞(日本イベント大賞)「ばくモレ展」

最優秀賞 経済産業大臣賞(日本イベント大賞)

「ばくモレ展」
主催:株式会社NTTドコモ 制作:株式会社東急エージェンシー
開催:2025年2月22〜23日 会場:LIGHT BOX STUDIO(東京都港区)

“盛れている”写真と見せかけて、実は情報が”漏れている”写真の展示会だったという斬新な種明かしで、堅くなりがちなリスク喚起の啓発コミュニケーションにおいて、若年層の興味・関心を引くことに成功している点が素晴らしい。ネーミングを含めて見た目はポップなイベントだが、そこであえて硬派な社会テーマを扱う。このギャップにNTTドコモの企業としてのセンスを感じさせ、若年層のドコモブランドに対する共感醸成に貢献したといえる。(谷口優選考委員)


イベントプロフェッショナル賞「映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム」

イベントプロフェッショナル賞

「映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム」
主催:株式会社メトロアドエージェンシー、東宝株式会社、STORY株式会社、ESCAPE合同会社
開催:2025年8月29日〜11月3日 会場:東京メトロ駅構内及び地下直結施設

東京メトロ全線を”参加型メディア”として機能させた設計が見事。不気味な世界観に参加者自らが「主人公」となって参加できる、現実と虚構をシームレスにつないだ施策で、参加者の証である黄色いバッグは駅構内で目を引く広告装置となり、SNSだけでなく一般通行客にも自然に訴求。駅・施設への流入増まで実現し、低コストで話題化と経済効果を両立した点が高く評価された。(加藤直人選考委員)


スペースデザイン賞「Marunouchi Street Park 2025 Summer」

 

スペースデザイン賞(新設)

「Marunouchi Street Park 2025 Summer」
主催:特定非営利活動法人 大丸有エリアマネジメント協会
空間デザイン・施工・運営:株式会社乃村工藝社 企画協力:三菱地所プロパティマネジメント株式会社
開催:2025年9月5〜21日 会場:東京都千代田区丸の内仲通り

都市空間を単なる通行や消費の場ではなく、人々が滞在し、関係を育む”街の縁側”へと再定義した実験的実践として高く評価したい。都市と人との距離を柔らかく接続し、公共性と体験価値を両立させた点は、今後の都市開発やエリアマネジメントの可能性を拡張し、新たな指針となる可能性を示している。(谷川じゅんじ選考委員)


特別賞「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」

特別賞

「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」
主催:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
開催:2025年4月13日〜10月13日 会場:大阪 夢洲

万博関連イベントが全部門にわたり多数応募された今回、個別作品に優劣をつけることの難しさから、関連イベントを含む大阪・関西万博全体を特別賞として顕彰。まさに万博そのものが、多彩なイベントの集合体だったといえる。


企業・業界団体部門

ゴールド賞 ばくモレ展
※最優秀賞 経済産業大臣賞(日本イベント大賞)と同作品。上記参照。


企業・業界団体部門 シルバー賞「FUNclusion Week」

企業・業界団体部門 シルバー賞

「FUNclusion Week」
主催:株式会社大広
開催:2025年12月5〜6日 会場:BONUS TRACK 他(東京都世田谷区)

硬すぎたり、押し付けがましくなりがちなDE&Iを「学ぶべき正論」から「心躍るFUN」へと鮮やかに再定義した、まさに社会のアップデートを象徴するプロジェクト。「しずかでうるさい洋食屋さん」のような遊び心あふれるアプローチこそが、人々の心の奥にある不安という境界線を溶かし、自発的な行動変容を引き起こすと確信できる内容だった。(平原依文選考委員)


企業・業界団体部門 ブロンズ賞 映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム
※イベントプロフェッショナル賞と同作品。上記参照。


政府・自治体・公的団体部門 ゴールド賞「託児銭湯」

政府・自治体・公的団体部門 ゴールド賞

「託児銭湯」
主催:株式会社ヒャクマンボルト 協力:中野区シティプロモーション、松本湯、パパママ銭湯
開催:2025年3月29日 会場:松本湯(東京都中野区)

「親である前に一人の人間である」という、忘れられがちな当たり前のニーズに光を当てた、深い愛を感じる取り組み。銭湯という場所が、単なる入浴の場を超えて、孤独な育児の境界線を溶かし、誰もが安心して自分を取り戻せる”心の拠り所”へとアップデートされていた。誰もが手を上げやすいこの取り組みは、地域全体で親子の幸せを包み込む優しい輪になる。(平原依文選考委員)


政府・自治体・公的団体部門 シルバー賞「Diriyah Season Souq Al-Mawsim」

政府・自治体・公的団体部門 シルバー賞

「Diriyah Season Souq Al-Mawsim」
主催:Diriyah財団 制作:Sela、株式会社乃村工藝社**
**開催:2025年11月9日〜12月8日 会場:サウジアラビア王国 リヤド ディルイーヤ**

日本文化の発信が漫画・アニメ等のポップカルチャーに偏りがちな中、本事業は京都の伝統文化に光を当て、その美意識と奥行きをサウジアラビアの歴史文化地区ディルイーヤで表現した企画性が優れている。鑑賞に留まらず、来場者が参加する体験型プログラムとして設計されており、日サウジ外交70周年を象徴する国際文化交流と評価された。(加藤直人選考委員)


政府・自治体・公的団体部門 ブロンズ賞「ひろしまドリミネーション2025」

政府・自治体・公的団体部門 ブロンズ賞 「ひろしまドリミネーション2025」
主催:ひろしまライトアップ事業実行委員会 制作:株式会社フジヤ**
**開催:2025年11月17日〜2026年1月3日 会場:広島市中区 平和大通り周辺**

戦後80年という節目に、「笑顔になれる平和な世界」が掲げる”平和を願う心を、世代や国境を越えて共有する”姿勢に深く共感した。広島から発信される光のメッセージは、争いや分断が続く現代において、あらためて命の尊さと対話の大切さを静かに問いかけている。(東ちづる選考委員)


学生・NPO・各種団体・個人部門 ゴールド賞 「農道音楽祭-nouon- 2025」

学生・NPO・各種団体・個人部門 ゴールド賞

「農道音楽祭-nouon- 2025」
主催:農と音楽のまちおこしイベント実行委員会 制作:株式会社挑戦舎**
**開催:2025年10月4日 会場:拓殖大学北海道短期大学特設会場(北海道深川市)**

北海道深川市の米どころという地域資源を最大限に活かした、音楽と食と農を楽しむ野外フェス。地元の若者をはじめ多くのボランティア、市民有志を”ジブンゴト”として巻き込んだ手腕や、フェスが終われば自然に循環する稲藁・丸太を使った秀逸な”はさがけ”会場演出のデザインが評価された。地域愛の強さが、さまざまな困難を克服していく地域づくりのモデルともいえるイベント。(宮本倫明選考委員)


学生・NPO・各種団体・個人部門 シルバー賞「地域が世界平和の当事者になる「世界とつながる学び」講演会」

学生・NPO・各種団体・個人部門 シルバー賞

地域が世界平和の当事者になる「世界とつながる学び」講演会
主催:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
開催:2025年4月1日〜12月31日 会場:全国50か所

世界で起きている課題を「遠い誰かの問題」ではなく、自分たちの暮らしや地域とつながるものとして捉え、子どもたち自身の行動へと結びつけている点が素晴らしい。平和や共生の意識は一朝一夕で育つものではない。だからこそ、この活動は未来への大切な”種まき”といえる。(東ちづる選考委員)


学生・NPO・各種団体・個人部門 ブロンズ賞 「令和7年度 第111回別府八湯温泉まつり」

学生・NPO・各種団体・個人部門 ブロンズ賞

「令和7年度 第111回別府八湯温泉まつり」
主催:別府八湯温泉まつり実行委員会
開催:2025年4月1〜6日 会場:大分県別府市

地域資源である温泉の恵みに感謝する神事と、それを市民総出で祝う祝祭の融合。江戸時代を起源とし111年にわたり継承されてきた伝統を大切にしながら、誰もが心から楽しめる圧倒的なエンターテインメントへと昇華させた点が高く評価された。200トンを超える温泉を浴び合う「湯ぶっかけまつり」は、国籍や立場を超えた連帯を象徴しており、次世代へ繋ぐ祝祭の理想形といえる。(蜷川有紀選考委員)


各賞の選考委員コメントは公式サイトより
*第12回JACEイベントアワード 公式サイト:https://award.jace.or.jp/

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