万博のレガシーと現代技術の融合による新たな創造(1) -次の時代に受け継がれていくものとは-

「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」

「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」(福岡・神戸・東京)が、3月1日(金)から17日(日)に渡り開催される。主催は大阪府。

「アート&サイエンスフェスティバル」は3月9日(土)から12日(火)と、3月14(木)から17日(日)に万博記念公園(大阪府吹田市千里万博公園)にて。

また、巡回展「1970大阪万博展覧会」は、福岡を皮切りに3月1日から3日までキャナルシティ博多センターウォーク 5Fにて、そして兵庫会場は3月9日(土)・10(日)と3月12日(火)から14日(木)にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1F ギャラリーBにて、最後に東京会場は3月16日(土)・17日(日)に寺田倉庫 G3-6Fにて開催される。

3月9日から開催される「アート&サイエンスフェスティバル」に先立ち、3月8日には万博記念公園内のEXPO’70パビリオンで、記者会見および内覧会が行われ、音楽彫刻パシェの演奏や生成AIで70年万博のアーカイブを再構築した最先端テクノロジーアート、「太陽の塔」のプロジェクションマッピングなどの見所が紹介された。

また、記者会見ではトークショーも実施され、「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」のトータルでプロデュースをした現“在”美術家の宇川直宏さん、巡回展のディレクターで建築キュレーターの川勝真一さん、1970年の万博会場の施行に携わり様々な博覧会の施設設計に関与した濱田將さんオープニングパフォーマンスでバシェの演奏を披露したバシェ協会会長の永田砂知子さんが、それぞれの想いを伝えた。

「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」内覧会トークショー

3月8日に行われたトークショー。左から宇川直宏さん、川勝真一さん、濱田將さん、永田砂知子さん

 

巡回展のディレクターをした川勝さんは、今回の巡回展の企画について、「過去のアーカイブと未来としての最新テクノロジーと言われているが、(1970年大阪万博から)約50年が経ったアーカイブをわれわれ世代がどう受け止めて、どう価値に変えていくか、突きつけられている課題であり、改めて考える機会である」とし、振り返り、立ち返られる原点のような構造になっていると紹介した。

70年万博の語り部として参加した濱田將さんは、当時万博の計画段階だった万博開幕の4年前に、会場基本計画の立案者で、基幹施設プロデューサーであった丹下健三氏のもと、建築科の学生でアルバイトとして参加した際のエピソードを披露。丹下氏から「明日岡本太郎さんが来るから、(お祭り広場の大屋根の模型に岡本さんが作る)タワーの模型を作ってくれないか。明日の朝までにね」と頼まれ、気合いを入れてデザインして置いたところ、翌朝、丹下氏から「ダメだよ、デザインしちゃ」と言われたと、太陽の塔にまつわる自身の失敗談を特別な思い出だと語った。

永田さんは、70年万博の際、鉄鋼館で展示されたバシェを、現在、鉄鋼館の記念館としてEXPO’70 パビリオンの名称で残る場で演奏したことを受け、「(場もバシェも)残って良かったと今日本当に感じた」と、レガシーが宿っていると語った。また、「万博は終わったら全て壊される」ということに対して、個人的に「太陽の塔は残り、バシェも倉庫にしまわれていたけれど捨てられなかったことは偶然ではない気がしている」とし、その理由として「岡本太郎も、バシェ(音響彫刻として創作したバシェ兄弟)も、自分のアートというよりは、人々を幸せにする、楽しませるために作品を作ったアーティスト。その精神がつながっている」からとし、必然的に残ったのではないかと語った。

今回のトータルプロデュースをした宇川直宏さんは、「当時、ものすごい人々の波で溢れ、それぞれのパビリオンでも明確なコンセプトがあった。実施された全部を俯瞰で体験できた人はいないと思う」とし、自身の作品である「NO BREATH/EXPO’70s EDITION 2.0」&「Re:EDIT 702024 -THE 1000 EXPO’70s MOVIES」では、70年の万博で残されたレガシーとしての映像、約14時間分を1000面同時に投影。そのデータを浴びながら、お祭り広場で当時流れていた現代音楽家たちの音源を編集し、その音で身体を揉まれるという体験へと展開させていると説明。レガシーを感じながら新陳代謝が良くなる作品、として紹介した。

また、宇川さんは、「レガシーを使って今世紀的なアップデートを試みているのがこのイベント」と「アート&サイエンスフェスティバル」、巡回展「1970大阪万博展覧会」(福岡・神戸・東京)と、改めてイベントではレガシーと未来を両方感じてもらいたいとメッセージした。

 

「アート&サイエンスフェスティバル」

会期:2024/3/9(土)-3/12(火)、3/14(木)-3/17(日)

時間:10:00〜17:00

料金:無料[EXPO’70パビリオン内展示は要入館料(高校生以上500円)]

※別途、万博記念公園への入園料(大人260円、小中学生80円)が必要。

会場:万博記念公園(大阪府吹田市千里万博公園)

<メイン会場>EXPO’70パビリオン1Fホワイエ / 別館1F 展示室

<サブ会場>太陽の広場、夢の池、日本庭園

主催:大阪府

協賛:株式会社プリズム/池上通信機器株式会社

協力:株式会社TASKO

https://artsscience-expo70.com/art_science_festival/

 

巡回展「1970大阪万博展覧会」(福岡・神戸・東京)

■福岡会場

1970大阪万博展覧会 Re:PLAY パビリオン・パンフレット・アーカイブ

会期:2024/3/1(金)-3/3(日)

時間:10:00〜17:00

入場料:無料

会場:キャナルシティ博多センターウォーク 5F(福岡県福岡市博多区住吉1-2)

■兵庫会場

1970大阪万博展覧会 Re:PLAY エキスポ・ポスター・アーカイブ

会期:2024/3/9(土)・3/10(日)、3/12(火)-3/14(木)

時間:10:00〜17:00

入場料:無料

会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1F ギャラリーB

(兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4)

■東京会場

1970大阪万博展覧会 「Re:EDIT 702024」 with Generative AI

会期:2024/3/16(土)-3/17(日)

時間:11:00〜20:00

入場料:無料

会場:寺田倉庫 G3-6F(東京都品川区東品川2-6-10)

主催:大阪府

協賛:株式会社プリズム

協力:NO ARCHITECTS/株式会社TASKO

https://artsscience-expo70.com/1970expo_in_osaka_exhibition/

 

万博のレガシーと現代技術の融合による新たな創造(2)-バシェ「音響彫刻」という深淵なる世界-

万博のレガシーと現代技術の融合による新たな創造(3)-レガシーの再編集を体験する-

万博のレガシーと現代技術の融合による新たな創造(4)-太陽の塔のプロジェクションマッピング-

関連記事

PR

イベントの未来をつくる105人

イベントの未来をつくる105人 森ビル 虎ノ門ヒルズフォーラム   時代とともに進化していくイベント。 そのイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポート。5年後10年後の未来を探るコミュニティです。

2023年イベント一覧

2023年の展示会一覧・イベントスケジュール

次号空間デザイン 特集

97号特集: -空間デザイン
BtoBの集客に効く戦略設計・ツール選択 (2023年7月31日発行)

--マーケターに聞く集客の目標設定と戦略
-空間デザインでの集客 <トータルプロデュースできる空間デザイン会社>
-集客ツール紹介

イベントマーケティング バックナンバー

103号
2024年1月31日発行

2024年動向を聴く 月刊イベントマーケティング103号表紙・2024年動向を聴く

102号|2023年12月  
体験価値をあげるイマーシブな演出とビジネスイベントの映像活用

97号|2023年7月  
空間デザイン戦略

-- プロに聞く集客できるメソッド -
96号|2023年6月  
イベントテクノロジー

-AI・XR・プラットフォーム活用で どう変わる!?
95号|2023年5月  
LIVeNT2023の歩き方

ライブ・エンターテイメントEXPO、イベント総合EXPO、eスポーツビジネスEXPO
94号|2023年4月
映像 / 照明で体感する新たな世界観

プロに聞く、イベント演出の裏側と未来
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
92号|2023年2月
空間デザイン・ディスプレイ 2023

今年はこうなる!?
91号|2023年1月
BACKSTAGE2022

90号|2022年12月
イベントの集客

Like Us On Facebook

Facebook Pagelike Widget

イベマケYoutubeチャンネル

イベントマーケティングYoutubeチャンネル

2023年 編集計画(特集)

月刊イベントマーケティング 2023年 編集計画(特集)

5月31日95号 LIVeNT(イベント総合展)
6月30日96号 イベントテクノロジー
7月31日97号 集客・ブランディングの
    戦略・ツール・空間デザイン
8月24日98号 BACKSTAGE
    イベント企業合同説明会

カテゴリー

ページ上部へ戻る