“本業ありません”が拓くキャリア|イベントから大学准教授へ シリアスゲームコーディネーター・武内伸雄さん

コースケ・よーこのミュートを解除 第248回 2026年6月19日(金)配信
今回のゲストは、イベント業界から大学の世界へとキャリアを広げた武内伸雄さん。京都芸術大学大学院 芸術研究科 准教授であり、社会問題の解決を目指すゲーム「シリアスゲーム」のコーディネーターでもある。フリーランスとして掲げる屋号は「突破計画」。創造と探求を軸に、ゲームデザイン、ワークショップファシリテーション、イベント企画など、複数の肩書きを横断しながら活動している。
武内さんのキャリアは2006年、東京のイベント制作会社でのハードワークから始まった。3年間の現場経験を経て、地元・神戸で開催された芸術祭「神戸ビエンナーレ」への参加を機に転身。期間限定のイベントが終わった後はアートスクールでの模索期間、大阪の空間装飾会社でのブース制作と解体の日々、まちづくりコンサルでの商店街支援を経て、2016年にフリーランスとして独立した。コロナ禍で多くの仕事が止まったタイミングで出会ったのが、社会問題の解決を目的とするゲーム「シリアスゲーム」だったという。
シリアスゲームが扱うテーマは幅広い。アルコール依存、介護と育児のダブルケア、地域資源としてのため池、日本で絶滅した狼の再導入、ダイバーシティ&インクルージョン——。形式としてはボードゲームやカードゲームに近いが、プレイすることで当事者の感情や、社会問題が生まれる構造への理解が深まる仕組みになっている。武内さんはその価値を「リアルな当事者意識の獲得」「安心安全な環境」「心理的安全の生まれやすさ」「社会問題の構造理解」「自由な発想」の5点に整理して説明した。
武内さんが特にこだわっているのが「アナログ」であることだ。デジタルゲームではボタン一つで完了する行動も、アナログゲームでは身体を使って自分で実行しなければならない。武内さんはこれを「システムを身体的に再現する」と表現し、現実の構造や自分の行動への理解を深める重要な仕組みだと語った。
イベント業界からシリアスゲームへ向かった背景には、芸術祭という”祝祭”が「打ち上げ花火」で終わってしまうことへの課題意識があったという。日常(ケ)と祝祭(ハレ)をどうつなぐか——その問いの先に見えてきたのが、ゲームという場の力だった。場であり、学びであり、人と人をつなぐ仕組みでもあるゲームの可能性に、武内さんは惹かれていったという。
武内さんは普段、自己紹介で「本業ありません」「来年何をしているか分かりません」と公言している。その背景には、経営学における「エフェクチュエーション」——目の前に現れたものを次々と自分の中に取り込んでいくという考え方がある。イベント業界での経験を土台に、少しずつ違う領域へ染み出していった結果、現在のオリジナリティが生まれたと武内さんは振り返った。
配信では、以下の3点を中心に話を伺った。
- 武内伸雄さんのご紹介、屋号「突破計画」が手がける活動内容
- シリアスゲームとは何か——社会問題を解決するゲームの仕組みと価値
- イベント業界からシリアスゲームへ至った経緯、イベントとの関係性
🌐 突破計画(武内伸雄さん公式サイト) https://toppakeikaku.jimdofree.com/
ゲスト
武内伸雄(たけうち のぶお)さん
京都芸術大学大学院 芸術研究科 准教授/シリアスゲームコーディネーター(屋号:突破計画)
2006年、大学卒業後に東京のイベント制作会社に入社。3年間プロモーション・イベントの現場に携わった後、地元・神戸で開催された芸術祭「神戸ビエンナーレ」に関わるため転職。現場運営を担いながらアートの世界に触れ、その後アートスクールで1年半ほど学びを深めた。続いて大阪の空間装飾会社(展示会装飾)に約3年半在籍し、ブースの設営・解体・提案を重ねる。さらに「まちづくりコンサル」の小さな事務所で商店街振興や地域政策づくりに約1年携わった後、2016年にフリーランスとして独立。コロナ禍で多くの仕事が止まったタイミングで「シリアスゲーム」——社会問題の解決を目的としたゲームのアプローチに出会い、以後この分野に力を入れて取り組んでいる。2023年頃からは大学との関わりも増え、ゼミ単位でのゲーム制作や、大学と行政が連携するプロジェクト、ダイバーシティ&インクルージョン、キャリア教育、アントレプレナーシップ講座など多岐にわたるプロジェクトに参画。現在は京都芸術大学大学院の准教授としてゲーム研究分野の大学院生をサポートするほか、京都文教大学、同志社大学、甲南大学など関西圏の複数の大学とも関わりを持つ。フリーランスとして「本業ありません」を公言し、目の前に現れた仕事や領域を取り込みながらキャリアを広げてきた。
MC:コースケ(ヒラヤマ コウスケ=株式会社イベントレジスト 代表取締役 CEO)/ よーこ(樋口 陽子=月刊イベントマーケティング 編集長)
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