サステナブル・ブランド国際会議10周年、「交流」から「成果創出」の場へ 新体制で挑む共創の深化とアジア展開――カントリー・ディレクター鈴木紳介氏に聞く

サステナブル・ブランド国際会議10周年,カントリー・ディレクター鈴木紳介氏に聞く

2017年に日本で初開催された「サステナブル・ブランド(SB)国際会議」が、今年で記念すべき第10回目を迎えた。SDGs発表の半年前に準備が始まり、当初約1300人だった参加者は現在約5000人規模へと拡大し、本国アメリカを凌ぐ世界最大の開催規模へと成長している。米国での政治情勢の変化や反ESGの動きなど世界的な不確実性が高まる中、今年のグローバルテーマである「アダプト&アクセラレート(適応と加速)」のもとに集った国内外企業の参加者たちは、サステナビリティへの歩みを決して緩めないという強い意思を示した。単なる情報収集や勉強のための展示会ではなく、参加者同士の偶発的な出会いから共創や連携を生み出す「コミュニティイベント」として進化を遂げてきた本会議。その10年の歩みと、次なる「成果の創出」や「アジア展開」を見据えた今後の展望について、立ち上げから全体設計を指揮するサステナブル・ブランド・ジャパン・カントリー・ディレクターの鈴木紳介氏に聞いた。

サステナブル・ブランド国際会議10周年,カントリー・ディレクター鈴木紳介氏に聞く

サステナブル・ブランド・ジャパン・カントリー・ディレクターの鈴木紳介氏

 

――初開催から10年間で、参加者やイベントの役割はどのように変化しましたか

鈴木 2017年の第1回目は約1300人の参加で、大半が企業のCSR部門の方でした。それが現在では約5000人規模に拡大し、参加者の属性もサステナビリティ部門が3分の1、マーケティングやブランド戦略部門が3分の1、そして経営者を含むその他の部門が3分の1と大きく多様化しています。私たちはこの会議を、単なる情報収集の展示会や勉強イベントではなく、参加者同士の偶発的な出会いから共創や連携を生み出す「コミュニティイベント」として強く意識して作ってきました。その役割が徐々に浸透してきたと感じています。

「サステナブル・ブランド(SB)国際会議」

カンファレンスでは、講演を熱心に聞き入る聴衆の意識の高さが感じられた

――今年のテーマ「アダプト&アクセラレート(適応と加速)」の手応えと、印象的だったセッションを教えてください

鈴木  世界的な情勢不安やアメリカでの反ESGの動きがある中で、現状を否定するのではなく適応し、サステナビリティへの歩みを緩めることなく「加速」させようというメッセージを込めました。アメリカでは政治情勢の影響で協力をためらう企業も出ましたが、日本の参加者には迷いがありませんでした。むしろスポンサー企業から、「こんな時だからこそ、迷わず進むようコミュニティを勇気づけてほしい」という力強いエールをいただいたほどです。

セッションとしては、今回初めて基調講演で「ウェルビーイング」を取り上げ、非常に大きな反響がありました。また、サステナビリティの価値を消費者にどう伝えるかを議論する「サステナブルマーケティング」のセッションにも多くの参加者が集まりました。

「サステナブル・ブランド(SB)国際会議」展示

展示ホールでは、さまざまな企業・団体の取り組みが紹介された

――10回目ならではの新たな取り組みや、地域との連携についてはいかがですか

鈴木 今回の新しい試みとして、例年招待している高校生に加えて、高等専門学校(高専)の学生も初めて招待しました。技術を学ぶ若者が入ることで、大人のビジネスパーソンたちにも良い刺激とざわつきが生まれています。

また、会場である丸の内エリアとの連携にも力を入れました。サステナブルレストラン協会と連携し、地域のレストランにサステナブルなメニューを提供してもらったり、一般向けのオープンセミナーを開催したりと、開催地域にレガシーを残す取り組みにもチャレンジしています。

――今回から主催がイベント会社の「博展」からサステナビリティ特化のコンサルティング会社「Sinc(シンク)」へと引き継がれ、さらにはアメリカ本部から日本の開催権利を独自に買い取る新体制へと移行しました

鈴木 これまで9年間SBを主催していたイベント会社の博展が、契約期間満了となりました。しかし、このイベントには継続する価値があると考え、新会社「Sinc」へ移籍し、事業を引き継ぐことにしました。また、今年からアメリカ本部へロイヤリティを払うのではなく、日本の開催権利を独自に買い取って運営する体制へと移行しています。

――今後の10年に向けた展望をお聞かせください

鈴木  これまでの10年間はコミュニティの「場」を作るフェーズでしたが、これからは「コミュニティから成果を出す場」へと引き上げていきたいと考えています。ここでの出会いをきっかけに、誰もが認めるような新たな事業や成果を生み出したいですね。

また、東京一極集中からの脱却も課題です。地域ごとの温度差を埋めるため、東京をメインとしながらも、東海や関西(大阪)、九州などでスピンオフ企画を展開し、地域でのコミュニティ形成も目指します。将来的には、タイやマレーシアなどの国々と連携し、日本発のアジア太平洋地域を巻き込んだハブコミュニティへと育てていきたいと考えています。

「サステナブル・ブランド(SB)国際会議」

鈴木氏自身も登壇し、サステナビリティの重要性を訴えた

――参加者や今後のパートナーへ向けたメッセージをお願いします

鈴木 来年のグローバルテーマは「オールライズ(All Rise)」に決定しています。色々な社会課題に対して足踏みしている場合ではありません。ここに集まる皆で共に立ち上がり、手と手を取り合って進んでいく姿勢が求められています。このコミュニティの役割を、これまで以上に価値ある重要なものにしていきたいと思っています。

 

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