ライブエンタメの牽引者が一堂に ー DAWN2019

ライブエンターテイメントのカンファレンスDAWNのトークセッション

ライブエンターテインメントの未来を語る

7月3日、横浜駅直通の新感覚複合型体験エンターテインメントビル「アソビル」で、ライブエンターテイメントのカンファレンス「DAWN2019」が開催された。

リアルな体験へのニーズやスタイルが変化する現在の、感情を揺さぶる熱狂体験について議論するトークセッションと、ライブイベントのアイデアピッチバトルとネットワーキングが行われた。DAWNは2017年に次ぐ2度目の開催で、アカツキライブエンターテインメント(株)と(一社)日本イベントエンターテインメント協会が主催する。

トークセッション

パネリスト:
(株)株式会社SCRAP 代表取締役 加藤 隆生氏
(株)RED 代表取締役 宍戸 亮太氏
うんこミュージアム 総合プロデューサー 小林 将氏
(株)VAZ 代表取締役 森 泰輝氏
モデレーター:
アローサル・テクノロジー(株) 代表取締役 佐藤 拓哉氏

 

■エンターテインメントとの関わりについて

リアル脱出ゲームを世に送り出した加藤氏は、そのきっかけは自身のミュージシャンとして自らのバンド「ロボピッチャー」のプロモーション用に創刊したフリーペーパー「SCRAP」の誌面連動企画だという。最初から謎解きゲームの企画をはじめたのではなく、特集の一つとして実施してヒットしたという。エンターテイメントのキーワードとして、物語体験・没入体験(イマーシブ)を掲げた。

株式会社SCRAP 代表取締役 加藤 隆生氏

株式会社SCRAP 代表取締役 加藤 隆生氏

 

SEKAI NO OWARI のマネジメントをする宍戸氏は、就職活動で数十社の音楽事務所の社長宛に履歴書を送りつけたこと、その事務所で新人発掘でライブハウス回りでセカオワに出会った自身の経験をふまえ、エンタメの根幹である”人の気持ちを動かす、感動させる”ということは、時代が変わって変わらないと語った。

SEKAI NO OWARI を発掘した RED 代表取締役 宍戸 亮太氏

株式会社RED 代表取締役 宍戸 亮太氏

 

うんこミュージアムプロデューサーの小林氏は、自身の日本マクドナルドでのマーケティング職を通じて得た話題の作り方を活かし、体験する前から話題になってその後も話題になるコンテンツとしてうんこミュージアムの着想を得たという。単体での体験は既視感がでてしまうが、体験に物語性を組み合わせ、意味を与えることでまったく別の体験を創造できる。と語った。

うんこミュージアム 総合プロデューサー 小林 将氏

うんこミュージアム 総合プロデューサー 小林 将氏

 

you tuberなど若年層のクリエイターをプロデュースする森さんは、音楽・体験コンテンツそのものに大きな変化はないかもしれないが、それを広める手法つまりマーケティングが大きく変わってきた。既存メディアでスターをつくるにはTV・CMに採用さるためのプロモーターへの営業力、コネクションが大きかったが、動画共有サイトやSNSがある現在は、SEOや関連動画のアルゴリズムの理解やバーティカルメディア活用法がわかる理系脳が必要だと自身の考えをのべた。また、正解のコンテンツをつくってから露出する方法から、多様性、納得性が高いものが求められるように変わってきたという。

)VAZ 代表取締役 森 泰輝氏

株式会社VAZ 代表取締役 森 泰輝氏

■既存のうんこ観をくつがえす(うんこミュージアムYOKOHAMAのヒットの理由)

うんこドリルなど、ウンコの時代がきている。おしり探偵なども子供に人気。(加藤氏)
ウンコやお尻は子供に強いワードで吸引力があるが、それだけでは新しくないので、ウンコの真逆にいる女子高生やインスタ映えを組み合わせた。(小林氏)
女の子や家族連れが「ウンコ」と叫ぶ不思議な空間だか、みんなスッキリ気持ちよくなっている。(宍戸氏)
発想もすごいが、女子高生のコメントをプロモーションに使うなど、マーケティングの力も大きいのでは(森氏)
既存のウンコ観に引き戻される要素はすべて排除した。(小林氏)

うんこ・ボルケーノ

うんこ・ボルケーノ

■次代のエンタメをリードするのは?

没入体験のイマーシブシアターに注目。先進エリアである欧州では、廃線となった地下鉄全体で行い、客もその一部となっている。そのほか牢獄で演劇をしたりしている。(加藤氏)
ゲーム「あんさんぶるスターズ」のライブで、演者はすべてバーチャルで観客だけリアルで熱狂する場を体験し、新しいと感じた。(宍戸氏)
流行っているものはツイッター分析するが、数値だけでなく目視することで手触り感を感じたり、客と同じ検索方法を疑似体験することがアイデアにつながる。(森氏)
面白ものは主観。とがりへの引っ掛かり、感覚、自分の気持ち 熱狂感、深掘り感が必要。誰かが面白いと言っていることは、面白っぽいものにすぎない。(小林氏)
センスは属人化するもので、それと分析の配分がむずかしい。(森氏)

■日本のエンタメの課題

受け手側のマインドセットを変える必要がある。美術館の名画にテクノロジーを融合することで価値をアップデートするなど。(小林氏)
日本のエンタメは周回遅れかも。欧米の演劇の規模が大きいのは、エンタメへの理解と熱、リテラシーが違う。いま中国のエンタメが著しく進化している。どう採算を度外視しているのか、エンタメへの信頼、強い熱意がある。(小林氏)
検索エンジンに投資が集まった米国と比べ、すぐに回収できる案件を好む日本との違いではないか。エンタメへの投資にはセンスが必要。(森氏)
コンテンツが無料のテレビに慣れていること、地上波放送が強くほとんどの人が同じものをみている、という以前からの視聴スタイルから移行していないことも課題。(小林氏)

■ライブエンタメの価値は?

画面のなかでなく、空間上で起きることが日常のネガティブをポジティブにかえる。能動的なエンターテイメントほど、それを大きく変えてくれる。(加藤氏)
ライブは人生を変える。自身がMr.Childrenをはじめて見た瞬間の感覚、をみんなに伝えたい(宍戸氏)
体験する前と後で見える世界、感覚、考え方が変わること(小林氏)
演者の立場でいうと、若い人が活躍できる分野、既存の常識からはずれた人が活躍できる分野。

ライブエンターテイメントの先駆者が集まるDAWN

ピッチ・コンテスト

前回の2019年は

 登壇者(ファイナリスト)と提案内容

1.Vtuber 富士 葵さん

Vtuber 富士 葵さん

Vtuber 富士 葵さん

バーチャル you tuber の夢を叶えるフェス「富士葵フェス」を企画。
著名アーティスとの共演や参加型のライブのほか、ファンとのギネス挑戦などのブース展開も提案した。

2.一般社団法人 日本フラッグハント協会 榊原 宏さん

 

日本フラッグハント協会 榊原 宏さん

日本フラッグハント協会 榊原 宏さん

赤外線を使ったサバイバルゲームを考案し、スポーツ市場拡大、インバウンドという世の中の流れにマッチするものにした。
会場を汚さない、子供でも参加できる。体力差・経験差がない、などの利点をあげた。

3.株式会社ハッピー・プランナーズ 鹿股 幸男さん

株式会社ハッピー・プランナーズ 鹿股 幸男さん

株式会社ハッピー・プランナーズ 鹿股 幸男さん

ドローンに風船をつけて、割り合う「バルーンバスターズ」を提案。シンプルな分、ルールや複数チーム制など遊び方が創造できることが特長。世界大会や協会設立などを目指す。

4.一般社団法人 日本キャンドル協会 神田 悠さん

一般社団法人 日本キャンドル協会 神田 悠さん

一般社団法人 日本キャンドル協会 神田 悠さん

キャンドルの文化と職業を浸透させることが目標。教室運営、資格認定なども行っている。
CandleRoom表参道やDAIKANYAMA NOELなどの実績があり、 Candle に なにかを加えて、暗闇を活かしたイベントを創出する。

 

5.ArtHub.jp 野呂 翔悟さん

ArtHub.jp 野呂 翔悟さん

ArtHub.jp 野呂 翔悟さん

似顔絵イベント「Nigaoe Tokyo Festibal」の提案。パーソナライズされた体験をて提供する。似顔絵をかく時間がかかることによる参加人数制限は、美術学生の参加、オリジナルグッズ販売、参加者による作品づくり、ライブペインティングなどのコンテンツの充実で課題を解消する。

 

6.東京電波女子

東京電波女子 VIVIモデル 藤井さき さん監修

東京電波女子

診断テストで5タイプに別れたシンデレラストーリを体験してもらう。「1日シンデレラ体験」
それぞれに、ウェルカムドリンクで内面から美しくなる「シンデレラクレンズ」、メイク講座と道具をお持ちかえりできる。「シンデレラメイク」、メイクにあったヘアレンジ「シンデレラヘアー」、ネイリストの技を伝授「シンデレラネイル」、VIVIモデル藤井さきさん監修のファッションコーディネートの「シンデレラファッション」などがうけられる。

ピッチバトル優勝者

ピッチバトルで優勝したハッピー・プランナーズ の鹿股 幸男さん

ピッチバトルで優勝したハッピー・プランナーズ の鹿股 幸男さん

優勝者は、「バルーンバスターズ」を提案した。 鹿股幸男さん。
家族向けであること、みんながやってみたいと思うところなどが評価された。
鹿股さんには、アソビル地下1階または3階のイベントスペース利用権(100万円分までの無料使用権)と企画実施の際のイベント協会によるキャスティング、メディア露出、マーケティングサポート(50万円相当)が送られた。

DAWNピッチバトルのファイナリストたち

DAWNピッチバトルのファイナリストたち

ネットワーキング

 

ネットワーキングはアソビル地下一階のPITCH CLUBで

ネットワーキングはアソビル地下一階のPITCH CLUBで

トークセッション、ビッチバトルの終了後には、アソビル地下一階のPITCH CLUBで、アフターパーティを開催した。

PITCH CLUBは、最先端のアートと遊びが融合する“上質な大人の遊び場”をテーマにしたアミューズメントバーラウンジ。「遊びと体験をRe:designする」をコンセプトに、様々なアートが施されたラグジュアリーな空間で、日本屈指のバーテンダーが監修したカクテル、横浜で造られたワインなどを楽しめる場所。

トークセッションやピッチバトルの登壇者と参加者が、楽しく活発にエンタメやイベント関係の話題について議論した。

アソビル地下一階のPITCH CLUBの赤いビリヤードテーブルは特注!

PITCH CLUBの赤いビリヤードテーブルは特注!

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