イベントと販促をつなぐマーケティングオートメーション (2) マルケト編 株式会社マルケト 代表取締役社長 福田康隆さん

株式会社マルケト 代表取締役社長 福田康隆さん

 マーケティングオートメーション(MA)はビジネスやイベントにおいてどのように役立つのか。MAの専門会社として世界39か国に約4100社のクライアント企業を持つ米国マルケト社の日本法人、マルケトの福田氏に、MAの活用メリットや同社が提供するサービスの特徴などについてお話をうかがった。 (聞き手=田中力 文=蓬田修一)

FukudasanMarketo--昨年からマーケティングオートメーションという言葉をよく聞くようになりましたが、まずMAとはどういうものなのか、分かりやすく教えてください。

福田 MAとは何かという説明の中で一番多いのは、おそらく“マーケティングの自動化”だと思います。ただ、個人的にはこの説明にはしっくりきていません。マーケティングで大切なのは、顧客ひとりひとりに、可能な限り最適なメッセージを届けることだと考えています。MAとは、この“顧客ひとりひとりに最適なメッセージを届ける”ことの自動化だと捉えています。我々は、個々の顧客に最適なメッセージを最適なタイミングで届け、長期にわたって顧客との関係を構築していく“エンゲージメント”の考え方をMAにおいても重視しています。

--福田さんは日頃、多くのマーケターの方とお会いになっていると思いますが、今、マーケターの抱える課題とはどういうところにあると感じていますか。

福田  広告を出したり展示会への出展などで獲得した見込み顧客は、それぞれ異なる属性を持っていますが、手間や技術的な面などから画一的な内容のメッセージを送ってしまいがちだという声をよく聞きます。また、マーケティング施策の投資効果が見えにくいということもよく聞く悩みのひとつです。MAの導入で、こうした課題の解決が可能です。

--アメリカでMAが発展した理由について、どのように考えていますか。

福田  たまたまアメリカで生まれたITツールだというだけで、アメリカと日本とで特別な違いがあるとは思いません。大事なのは、国を超えて消費者の行動が大きく変化してきたことです。一昔前は、マスメディアやウェブメディアを使って情報を一方的に消費者に伝えていましたから、企業側に大きな力がありました。しかしソーシャルメディアなどが普及した今、消費者が企業側に問い合わせをした時点で、すでにソーシャルメディアなどからの情報によって購入する商品を絞り込んでいるなど、消費者側に主導権が移ってきています。企業がこうしたことに危機感を持つようになったことも、MAが世界的に関心を呼んでいる背景にあると思います。

--ビジネスにおいて、どのようなタイミングでMAを活用すると、より効果が高まるのでしょうか。

marketoWhiteBoard福田  いくつかあると思いますが、ひとつはBtoB、BtoC、企業や事業の規模などを問わず、本格的な成長の前において、獲得した見込み客に対してアプローチし購買意欲を高めていく場合です。もうひとつは、顧客が購買したあとのフォローにも効果的です。例えば、違う製品の紹介や契約更新の案内を送ることです。

--マルケトが提供するMAサービスの特徴はどういうところにあるのですか。

福田  利用者からの声で一番多いのは「使いやすい」ということです。例えば従来はセミナーやイベントなどを開催するたびに、案内メールやランディングページ、申し込みフォームなどの内容をそれぞれ作成する必要がありました。しかし、こうしたやり方ですと手間がかかります。当社の製品は、日付や場所などをあらかじめ変数(トークン)として設定し過去のセミナーのキャンペーン全体を丸ごと複製、一瞬で日付や場所など差し替えることが可能です。こうすることで、作業効率化が図れるとともにミスも防げます。

2点目の特色として、自社のマーケターで実際に活用し、使い勝手を検証し製品に反映させていることです。マーケターが作ったマーケティングツールであるということは当社製品の強みだと思います。

ほかにも、見込み顧客を属性や行動履歴などからスコアリング化することもできます。スコアが高い(=購入意欲が高い)見込み顧客により効果の高いメッセージを届けることができますので、効率的なアプローチが可能になっています。

--MAをイベントにどう活用したら、より効果が上がりますか。

福田  展示会への出展やセミナーの実施で見込み顧客を集めてから、ウェブサイトのコンテンツを見てもらったり、ウェブセミナーに参加してもらったりしながら、購買意欲の高い見込み顧客へ営業活動を行っていくという進め方をしている企業が多いと思います。MAを導入することで、展示会出展やウェブサイトコンテンツなどの各マーケティング施策がどれだけの効果を上げているかが可視化されます。こうすることで、各施策の効果検証が可能になりますし、各施策への予算の効果的な割り振りもできます。

展示会の出展担当者は、出展の投資対効果を的確に示せないという課題を抱えていると聞いています。MAは展示会出展が売上にどのように貢献しているのかが見えるツールです。

--MAによって、マーケティングは今後どう変わっていくのでしょうか。

taidan福田 マーケターの役割がさらに大きくなっていくでしょう。現状は、見込み顧客を集めるのはマーケティング部署、販売するのは営業部署、売ったあとのアフターフォローはサポート部署と、それぞれの部署が事業を進めていることが多いと思います。MAを導入することで、マーケターが見込み客の獲得から販売後のフォロー、さらには自社ブランドと自社製品のファンづくりなどに至るまで一気通貫で把握し、営業部署など各担当部署をバックアップできるようになるでしょう。今後、組織のあり方が世界的にこうした方向性で変わっていくと考えています。

 

株式会社マルケト
代表取締役社長 福田康隆氏
日本オラクル、セールスフォースドットコムを経て、2014年にマルケトの代表取締役社長に就任。

 

関連記事

PR

イベントの未来をつくる105人

イベントの未来をつくる105人 森ビル 虎ノ門ヒルズフォーラム   時代とともに進化していくイベント。 そのイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポート。5年後10年後の未来を探るコミュニティです。

2023年イベント一覧

2023年の展示会一覧・イベントスケジュール

次号空間デザイン 特集

97号特集: -空間デザイン
BtoBの集客に効く戦略設計・ツール選択 (2023年7月31日発行)

--マーケターに聞く集客の目標設定と戦略
-空間デザインでの集客 <トータルプロデュースできる空間デザイン会社>
-集客ツール紹介

イベントマーケティング バックナンバー

103号
2024年1月31日発行

2024年動向を聴く 月刊イベントマーケティング103号表紙・2024年動向を聴く

102号|2023年12月  
体験価値をあげるイマーシブな演出とビジネスイベントの映像活用

97号|2023年7月  
空間デザイン戦略

-- プロに聞く集客できるメソッド -
96号|2023年6月  
イベントテクノロジー

-AI・XR・プラットフォーム活用で どう変わる!?
95号|2023年5月  
LIVeNT2023の歩き方

ライブ・エンターテイメントEXPO、イベント総合EXPO、eスポーツビジネスEXPO
94号|2023年4月
映像 / 照明で体感する新たな世界観

プロに聞く、イベント演出の裏側と未来
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
92号|2023年2月
空間デザイン・ディスプレイ 2023

今年はこうなる!?
91号|2023年1月
BACKSTAGE2022

90号|2022年12月
イベントの集客

Like Us On Facebook

Facebook Pagelike Widget

イベマケYoutubeチャンネル

イベントマーケティングYoutubeチャンネル

2023年 編集計画(特集)

月刊イベントマーケティング 2023年 編集計画(特集)

5月31日95号 LIVeNT(イベント総合展)
6月30日96号 イベントテクノロジー
7月31日97号 集客・ブランディングの
    戦略・ツール・空間デザイン
8月24日98号 BACKSTAGE
    イベント企業合同説明会

カテゴリー

ページ上部へ戻る