政策と現場をつなぐ仕事|クールジャパンから展示会協会へ 日本展示会協会・勝野宏さんん

政策と現場をつなぐ仕事|クールジャパンから展示会協会へ 日本展示会協会・勝野宏さん
コースケ・よーこのミュートを解除 第249回 2026年6月26日(金)12:00〜配信
広告、コンテンツビジネス、クールジャパン政策、そして展示会業界——一見つながりが見えにくいキャリアの先に、いま「業界団体の事務局長」という仕事がある。今回のゲストは、一般社団法人 日本展示会協会(JEXA/日展協)事務局長の勝野宏さん。
勝野さんは大学卒業後、広告業界でビジネスプロデューサーとしてキャリアをスタート。通信、食品、金融など幅広い業界のマーケティングコミュニケーション戦略の企画・推進に従事した。その後はコンテンツビジネス分野へ活動領域を広げ、映画製作や出版企画、コンテンツ開発・プロデュース業務を担当。あわせてクールジャパン関連事業にも携わり、アジア市場を中心としたクロスメディア展開、イベント開発、コンテンツプラットフォーム構築など、多様なプロジェクトを推進してきた。
2020年4月から2022年3月までは、経済産業省 商務・サービスグループ クールジャパン政策課に調整官として出向。展示会・イベント産業、遊園地・テーマパーク産業等を所管し、産業振興・政策立案の現場に立った。そして2025年4月、一般社団法人日本展示会協会の事務局長に就任。展示会産業の価値向上と国際競争力強化に向けた事業推進に取り組んでいる。
日展協は、展示会の開催に関わる企業・団体が集う業界団体で、現在281社・団体(2026年4月1日現在)が加盟。展示会データ認証制度(JECC)の運用、感染対策ガイドラインの整備、補助金・公募情報の発信、人材育成セミナーなど、業界の基盤を支える事業を幅広く展開してきた。直近では2026年6月、経済産業省による「展示会産業の国際化のための実態把握等に関する調査研究」も発表されている。
そして注目したいのが、2025年に発足した新広報委員会による発信だ。展示会業界の魅力を、これからの業界を担う20〜40代の若い世代にも身近に感じてもらうため、Instagramを開設。新しい広報担当キャラクター「JEXA結(ジェクサ ゆい)」が、展示会の楽しさや最新情報を発信している。インタビュー連載「展示会にキュンです♡」では、JEXA結が展示会の現場に飛び込み、地方開催展を立ち上げた展示会人や、推し活EXPOの担当者など、業界で働く”人”にフォーカスしたコンテンツを届けている。会員企業向けには、オフィスや来客エリアに設置する「インスタPOP」も展開するなど、地に足のついた広報活動を進めている。
政策と現場、業界団体と事業者——そのあいだに立って展示会産業の未来を描く勝野さんに、日展協の事業内容、JEXA結のプロモーション活動、そして事務局としての仕事の実際をうかがった。
配信では、以下の3点を中心に話を伺った。
- 勝野宏さんのご紹介、日本展示会協会(日展協)の事業紹介
- プロモーション活動「JEXA結」について
- 事務局の活動について
🌐 一般社団法人 日本展示会協会(JEXA) https://www.nittenkyo.ne.jp/
📸 JEXA結 Instagram(@jexa_yui) https://www.instagram.com/jexa_yui/
🎬 日本展示会協会_JEXA YouTube https://www.youtube.com/@_jexa95
ゲスト
勝野 宏(かつの ひろし)さん
一般社団法人 日本展示会協会 事務局長
1961年生まれ。大学卒業後、広告業界においてビジネスプロデューサーとしてキャリアをスタートし、通信、食品、金融など幅広い業界の企業に対しマーケティングコミュニケーション戦略の企画・推進に従事する。その後、コンテンツビジネス分野へ活動領域を広げ、映画製作や出版企画をはじめ、コンテンツ開発・プロデュース業務を担当。あわせてクールジャパン関連事業にも携わり、アジア市場を中心としたクロスメディア展開、イベント開発、コンテンツプラットフォーム構築など、多様なプロジェクトを推進した。2020年4月から2022年3月まで、経済産業省 商務・サービスグループ クールジャパン政策課に調整官として出向。展示会・イベント産業、遊園地・テーマパーク産業等を所管し、産業振興および政策立案に従事した。2025年4月、一般社団法人 日本展示会協会 事務局長に就任。展示会産業の価値向上と国際競争力強化に向けた事業推進に取り組んでいる。
内容まとめ
(生成AIによるまとめ、誤字脱字あり)
今回のトーク番組「コースケ・よーこのミュートを解除」では、一般社団法人日本展示会協会(日展協/JEXA)事務局長の勝野宏さんをゲストに迎え、広告業界からクールジャパン政策、そして展示会業界の業界団体運営まで広がる異色のキャリアと、日展協が手がける7つの委員会活動、そして話題のAIキャラクター「JEXA結」の舞台裏まで、たっぷりお話しいただきました。
勝野宏さんのキャリア——広告代理店からクールジャパン政策、そして日展協事務局長へ
勝野さんのキャリアの出発点は広告代理店です。通信・食品・金融など幅広い業界のマーケティングコミュニケーション戦略の企画・推進に携わったのち、映画製作や出版企画、コンテンツ開発・プロデュースといったコンテンツビジネスの領域へと活動の幅を広げていきました。あわせてクールジャパン関連事業にも携わり、アジア市場を中心としたクロスメディア展開やイベント開発、コンテンツプラットフォーム構築など、多様なプロジェクトを推進してきた経歴を持ちます。
転機となったのが、2020年4月から2022年3月までの2年間、経済産業省 商務・サービスグループ クールジャパン政策課に調整官として出向した経験です。展示会・イベント産業、遊園地・テーマパーク産業などを所管する立場で、まさに新型コロナウイルスにより全てのイベント・展示会が開催できなくなった、業界にとって最も苦しい2年間と重なりました。行政の立場から「業界に何ができるのか」を問い続けたこの経験が、勝野さんのその後の方向性を大きく決定づけます。
出向終了後、一旦は広告代理店に戻りますが、まもなく退職。その後、現・堀正人会長からの声かけを受けて日展協の事務局運営に関わるようになり、2025年4月、日本展示会協会の事務局長に就任しました。広告代理店時代は「出展者がクライアント」という立場で展示会に関わっていたため、業界の内側にどっぷり浸かっていたわけではなく、むしろ「内側から見える展示会業界」と「外側(行政・広告主側)から見える展示会業界」の両方を知る、希少な視点を持つ人物として、現在の事務局運営に活かしています。
東南アジアで見た「クールジャパン」のリアル——タイ・インドネシアでの展示会主催経験
勝野さんはクールジャパン関連事業の一環として、東南アジアで日本関連の展示会を主催した経験も持っています。ひとつはタイ・バンコクで開催した、日本の芸能系アーティストや漫画関連コンテンツを軸にしたソフトパワー展示会。バンコクには熱心な日本ファンが数多く存在し、会場に設けたカラオケコーナーでは、現地の若者たちが流暢な日本語で日本のアーティストの曲を歌う光景が広がっていたといいます。歌詞を通じて言葉を覚えるという現象は、かつて欧米のアーティストの曲を通じて英語を学んだ世代の感覚と重なる、文化が言語を運ぶダイレクトな力を感じさせるエピソードです。
もうひとつはインドネシアでの取り組みです。世界的に知られる日本のアニメ制作会社と組み、劇場公開と同時にホテルでイベントを開催したところ、現地では一度も上映されておらずDVDも発売されていない作品にもかかわらず、多くの来場者がストーリーを熟知している状況に遭遇します。背景には、会場近くで横行する1枚10円程度の海賊版DVDの存在がありました。正規版の値段は現地の所得水準に対して非常に高額で、結果として海賊版が作品の認知を広げてしまうという、クールジャパン政策が抱える構造的な難しさを、現場で直接体感したエピソードとして語られました。
日本展示会協会(日展協)の組織と役割——280社が支える業界エコシステム
日本展示会協会は、日本国内で最大級の展示会関連企業・団体が加盟する業界団体です。会員構成は大きく3つに分かれます。展示会を主催する「主催者会員」(40社以上)、東京ビッグサイトやインテックス大阪といった「会場会員」(20数社)、そして施工・運営・人材派遣・警備・ケータリングなど展示会を支える「支援企業」会員(240社前後)。これらを合わせ、業界全体で280社ほどが加盟する規模に成長しています。
業界団体としての最大の存在意義が表れたのが、新型コロナウイルス禍でした。行政が業界支援を検討する際、1社1社に個別ヒアリングする時間的余裕はなく、業界団体を通じて状況を把握するのが現実的な手段になります。日展協のような組織がきちんと機能していたことで、行政との情報のパイプが生まれ、業界全体としての支援を引き出すことにつながりました。行政は公平性の観点から個社支援が難しいため、業界団体を介した支援という形が、コロナ禍において特に重要な役割を果たしたといいます。さらに、業界団体としてのブランドが定着すれば、「日展協に加盟している」こと自体が会員企業にとって一種の信頼の証となる効果も生まれています。
7つの専門委員会が支える、開かれた業界団体の実務
日展協の活動は、総務・広報・安全対策・会員交流・国際交流・人材育成・サステナビリティ推進の7つの専門委員会によって支えられています。それぞれに委員長が立ち、「7人の侍」のように各分野で活発に活動しているといいます。
なかでも安全対策委員会は、コロナ禍において展示会業界が他のイベント分野よりも早期に(人数制限はありつつも)開催を再開できた背景にあるガイドライン策定を主導した、コロナ対応の最前線を担った委員会です。サステナビリティ推進委員会は、展示会が「その場限りで装飾物を作って廃棄する、環境負荷の高い産業」というイメージを持たれがちな点に向き合い、環境負荷を数値化し削減を進める取り組みを推進。他の業界団体とも連携してガイドブック策定などを進めています。国際交流委員会は、海外の展示会関係者との交流や勉強会を通じて、個社では難しい国際的な知見の共有を担い、会員交流委員会は主催者・会場・支援企業という縦の関係を横につなぐ役割を果たしています。人材育成委員会は、展示会・イベント業界を「イメージだけで避けて通られがちな仕事」ではなく、アイデアとクリエイティビティが求められる仕事として若い世代に伝えることを目的に活動しています。
広報委員会発、AIキャラクター「JEXA結」が変える業界のイメージ
今回の配信でひときわ印象的だったのが、日展協のAIキャラクター「JEXA結(じぇくさ・ゆい)」の存在です。広報委員会は現在6名、全員が女性で、しかも若手中心のメンバーで構成されています。業界団体の理事は総じて年齢層が高くなりがちな中、若い世代にも展示会業界を知ってもらうための新しいアプローチとして、キャラクターを起用するアイデアが生まれ、JEXA結が誕生しました。
JEXA結のデビューは昨年10月9日。「展示会にキュン」という語感と「10(じゅう)=10月」「キュン」を掛け合わせ、10月9日を誕生日に設定するなど、ネーミングからすでに遊び心が詰まっています。日展協のホームページには「展示会にキュン」という人気コーナーも用意されています。
注目したいのは、JEXA結が日展協の「非公認」キャラクターという位置づけであることです。あえて公認としないことで、団体としての公式見解という制約を外し、いわば第三者的な目線で自由に展示会の魅力を語れる存在として設計されています。この絶妙な距離感が功を奏し、SNSでの発信や総会でのパネル展示、会場側からの「等身大POPを置きたい」「もっとグッズが欲しい」といった声、さらにはヘルメット姿や新年会での騎馬姿といった多彩な「コスプレ」展開まで、当初の想定を超えて活動の幅が広がっています。
JEXA結だけに許された特権として、堀正人会長を「マサト」とカタカナで呼ぶユーモラスな一面も紹介されました。自民党 展示会産業議員連盟の事務局長を務める笹川博義衆議院議員がJEXA結のお披露目の場に訪れるなど、政財界にも認知が広がりつつあるというエピソードも語られ、「日展協さんは柔らかくていいですね」「イメージが変わりました」といった、他の業界団体からの反響も紹介されました。
「開かれた日展協」というビジョンと、事務局の姿勢
JEXA結の取り組みの根底にあるのが、堀正人会長が就任以来掲げ続けている「開かれた日展協」というビジョンです。業界団体だからこそ会員・非会員問わず幅広い声を聞き、時には厳しい意見にも耳を傾けながら、組織を「閉じない」姿勢を貫く——その考え方の延長線上に、JEXA結のような新しい広報の形があると位置づけられています。
事務局の運営姿勢にも、このビジョンが反映されています。問い合わせには必ず真摯に答えることを基本方針とし、「断るのは簡単だからこそ、それはしない」という考え方のもと、できる限りの可能性を探る対応を徹底しているといいます。安全対策やサステナビリティに関するガイドラインといった日展協の発信物は、会員企業だけでなく非会員にも広く活用されており、それ自体が「開かれた」団体としての存在感を裏付ける形になっています。番組内では、SNS上でのコメントやリクエストにも積極的に応えていく方針や、会員からの「展示会に来てほしい」といったリクエストにも柔軟に対応する姿勢が紹介され、業界の発展のために間口を広く保つ日展協の姿が浮かび上がる内容となりました。
MC:コースケ(ヒラヤマ コウスケ=株式会社イベントレジスト 代表取締役 CEO)/ よーこ(樋口 陽子=月刊イベントマーケティング 編集長)
▼YouTubeチャンネル
イベマケ 月刊イベントマーケティング
▼Podcast
コースケ・よーこのミュートを解除













