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[イベントレポート]シェアリングエコノミーの最前線を体感「Share!Summit」

日本初のシェアエコノミーに関するカンファレンス「Share!Summit -シェア経済サミット-」が11月25日、東京港区のSTAR RISE TOWERで開催された。

ニューヨーク大学経営大学院教授アルン・スンドララジャン氏

ニューヨーク大学経営大学院教授アルン・スンドララジャン氏

シェアリングエコノミーの権威であり、研究者のニューヨーク大学経営大学院教授アルン・スンドララジャン氏が「シェアリングエコノミーの未来~クラウドベース資本主義はわたしたちの生活をどう変えるのか?~」と題したセッションからスタート。

スンドララジャン氏は、グローバル展開しているさまざまなシェアリングサービスについて調査研究しており、そのなかで主に欧州で利用が進んでいるライドシェアサービスBlaBlaCar(ブラブラカー)利用者のアンケート調査を紹介した。その結果、サービス普及に必要な利用者の信頼をどう獲得しているのかがわかった。「デジタルプロフィールが充実していると、友人や家族と同等の信頼をえられる」(スンドララジャン氏)。デジタル社会でも個人間の距離は縮まっており、人間の基礎的な需要=”人と繋がりたい”という欲求を、部屋を貸したり、相乗りしたりするという経済活動を通じて満たしている、とも指摘する。

世界のシェアリングシティ~アムステルダムとソウルの先進事例

世界のシェアリングシティ~アムステルダムとソウルの先進事例

また、世界の潮流をみるセッションとして「世界のシェアリングシティ」と題し、アムステルダムとソウルの先進事例の紹介もされた。shareNL創設者のハーマン・ファン・スプラン氏はアムステルダムの現状を紹介。アムステルダムでは、シティカードを活用してのシェアリングエコノミー参加が市民に広がっている。また、市長がソウル、NYなどからもシェアリングシティの知見を共有し自治体による支援をしている。現在、世界中の14都市ともアライアンスを築く。

ソウルの事例については、ソウル市イノベーション局局長の全烋寛氏が解説した。ソウルでは、オープンデータを活用しているほか、シェアリングシティ構築のため、政府、学校、地域、海外都市との連携をし、市民参加基盤をつくって自治体が主体的に活動している。

*日本語での共有都市・ソウルwebサイト:http://japanese.seoul.go.kr/政策情報/中核政策/主な事業/1-共有都市/

こうした2都市の事例について国際大学GLOCOM正司昌彦准教授は、「シェアリングエコノミーは提供側の採算性が高いビジネスではなく、規模が必要。都市が連携すると市場は広がる。シェアリングシティが広がり、互いに連携することが重要だ」とした。また、「問題が起こった際には解決策を議論すればよい。問題は起こってはいけないのではなく、起こったら解決しようという考え方が大切だ」と続けた。セッションを通じ、経済産業省商務情報制作局審議官の前田泰宏氏は「トラブルに関しては、具体的に課題を解決すればトラブルはなくなる。そうした繰り返しが強いマーケットにする。身近なことからはじめたほうが賢い」とまとめた。

dsc_0880「Share!Summit  シェア経済サミット」では、イベント会場もシェアリングエコノミーの考え方で運営された。

 

 

メイン会場の参加者用イス、登壇者のハイテーブルとチェア、そして照明でライティングされたロゴのデザインアイコンなど、会場の演出・造作に使われていたものは、産業廃棄物を再利用したもの。今回のイベント企画者が「イベント企画の中でどうしても取り組んでみたかったことのひとつ」として、イベントでのシェアエコに挑戦している。

dsc_0871これはサミットでも「#07産廃ビジネスから見た未来 ~サスティナビリティな社会とライフスタイル提案」で登壇した株式会社ナカダイの協力のもと、実現した。

世界の有識者やシェアリングシティを宣言したばかりの千葉県千葉市、静岡県浜松市、長崎県島原市、佐賀県多久市、秋田県湯沢市ら日本の自治体、シェアリングサービスを牽引する先進企業などシェアリングエコノミーの最前線が集まり、世界の潮流や知見がシェアされた初開催の「Share!Summit 」。参加者らは「行政にもイノベーターがいることを発見できた」、「日本でのシェアリングエコノミーの盛り上がりを感じる」という声も多く、トレンドではなく、考え方の転換期という大きなうねりを体感させるイベントとなった。

樋口陽子

樋口陽子

樋口陽子  月刊イベントマーケティング 編集長 MICE 研究所「イベントは体験提供の場」として、イベント現場で体当たり取材を行っている