イベントの映像ーシンユニティ タケナカ 長崎英樹

特集:リアルとオンラインで活きる イベントの映像

xR +インタラクティブ 疑似体験でなく特別な体験を

シンユニティグループ (株)タケナカ 専務取締役 長崎 英樹さん

音楽とテクノロジーが融合して、オンラインでも会場に集まったような参加体験を生み出すことが求められてきた。コロナ後にハイブリッドイベントは、「会場に行かなくても観れる」以上の価値を生み出せるのだろうか。

J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI ㈱シムディレクト・㈱タケナカ によるARライブ演出

J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI ㈱シムディレクト・㈱タケナカ によるARライブ演出

映像のある空間づくりをてがけるシンユニティグループは、展示会、学会、株主総会、ライブ・コンサート、プロジェクションマッピングなど、リアルイベントでの映像演出を行ってきた。コロナ禍によって多くのイベントがオンラインに切り替わった際に、自社の強みであるハイエンドな映像表現を活かすために、リアルとバーチャルを融合したxR のサービスに事業の力点をおき、IT・Web 技術の開発、人材の育成を進めてきた。

コロナ禍が収束の兆しをみせているいま、実機を触ったり人と人とのインフォーマルなコミュニケーションを目的とする展示会や懇親会などのイベントの主催者、参加者が、リアル開催を待ち望む声が大きくなっている。一方でコンサートやライブなどエンターテインメント系のイベントでは、「x R を活用することで、会場にいるのとはまた違う付加価値をオンラインの参加者に提供できるようになった」とシンユニティグループの㈱タケナカ 専務取締役、㈱シムディレクト 代表取締役の長崎英樹氏は語る。

世界観を増幅するカメラトラッキング

10 月9 日・10 日に六本木ヒルズで開催された「J-WAVE INNOVATION WORLDFESTA 2021 supported by CHINTAI」(イノフェス)は、「テクノロジーと音楽で日本をイノベーション!」がテーマ。有観客とオンライン視聴のハイブリッド形式で実施された。そのメインコンテンツである、三面大型LED と複数のAR カメラとセンサーを駆使したAR ステージをタケナカ・シムディレクトが担当した。

J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI ㈱シムディレクト・㈱タケナカ によるARライブ演出

J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021 supported by CHINTAI ㈱シムディレクト・㈱タケナカ によるARライブ演出

会場に集まったファンは、アジカン、のん、BE:FIRST など人気のアーティストのパフォーマンスに、久々のライブの臨場感と、場の空気感と一体感を味わった。

オンライン参加者にも満足してもらうため、カメラアングルの工夫など迫力のある画づくりで、会場での参加体験により近づけるのが通常のアプローチだが、AR ステージでは、会場とはまったく違う体験を提供した。

会場の空間にアーティストの世界観を増幅させる3D 映像を演出に加える。カメラアングルにAR 映像がスムーズに追随し、カメラのスイッチングにもズレなく切り替わる。また、舞台セットを一瞬にして変化させるなど、現実世界では不可能な演出をオンライン参加者は楽しめた。

「VFX に慣れ親しんだZ 世代の参加者にウケるか」と長崎さんには一抹の不安もあったが、オンラインでもライブ感がしっかり伝わっていたことや、高いカメラトラッキング技術をともなった演出で、特別感を視聴者に提供できた。

「歌ダンスなどのパフォーマンスも良かったし、AR 演出もキレイで素敵やった‼︎」「これ現地行かれた方たちも配信のアーカイブ絶対観た方がいいね!!!AR 楽しい!!!」「ARの映像に娘も興味津々で一緒に楽しめました〜」といった投稿がTwitter を賑わせた。

インタラクティブで拡がる可能性

xRイベントにインタラクティブな要素を加え、さらに参加感を増す。そのためにシンユニティグループは、独自のxR 技術“ エモリス(Emoris)” を開発している。参加者の反応やメッセージを3D の立体エフェクトに変え、「エモく、ビジュアライズする」。少人数なら参加者のメッセージを空間にとばしたり、大人数なら特定数の応援がたまると風船やプレゼントのエフェクトを出したりと、使い方はいろいろ考えられる。有料にして新たな収益にする方法もありそうだ。

シンユニティグループは、XR体感の新技術・“エモリス(Emoris)”を開発。 オンライン・メタバース空間内におけるユーザー体感を追求する

シンユニティグループは、XR体感の新技術・“エモリス(Emoris)”を開発。 オンライン・メタバース空間内におけるユーザー体感を追求する

エモリスは、AKB48 グループの記者会見やライブでも採用され、アーティストとファンの距離を縮める役割を果たしている。ライブ・コンサートで活用されている技術はBtoB イベントで応用もできるだろう。本紙編集部(ほか2 社)で主催しているBACKSTAGE で活躍した、アナライザー「Join Visual」も同じ開発思想だという。

コロナ禍によるオンライン化で開発された技術が、アフターコロナで開花する事例となりそうだ。

→ 次の記事 2. オンライン x イベント運営リアルの強みがバーチャルで活きる 
← 
前の記事 0. 特集のテーマ

特集「リアルとオンラインで活きる イベントの映像」の他の記事を読む

1. xR +インタラクティブ 疑似体験でなく特別な体験を
シンユニティグループ 長崎 英樹さん
4. 学会 x オンライン 学会に対応する独自システムを開発 
ヒビノメディアテクニカル 中島 義人さん

 

協賛

サクラインターナショナル株式会社

サクラインターナショナル、東京・大阪に編集・配信スタジオ STUDIO ARUKASがオープン。新しいマーケティングソリューション XMCサービス クロス・マーケティング・クリエイション

西尾レントオール株式会社

ウシオライティング株式会社 クリスティ営業部

CHRISTY_RGB_PURE_LAZER_Projector

関連記事

PR

イベントの未来をつくる105人

イベントの未来をつくる105人 森ビル 虎ノ門ヒルズフォーラム   時代とともに進化していくイベント。 そのイベントの未来の形を考えながら、これから活躍する人々や技術を発掘し、イベントのつくり方などをサポート。5年後10年後の未来を探るコミュニティです。

2023年イベント一覧

2023年の展示会一覧・イベントスケジュール

次号空間デザイン 特集

97号特集: -空間デザイン
BtoBの集客に効く戦略設計・ツール選択 (2023年7月31日発行)

--マーケターに聞く集客の目標設定と戦略
-空間デザインでの集客 <トータルプロデュースできる空間デザイン会社>
-集客ツール紹介

イベントマーケティング バックナンバー

103号
2024年1月31日発行

2024年動向を聴く 月刊イベントマーケティング103号表紙・2024年動向を聴く

102号|2023年12月  
体験価値をあげるイマーシブな演出とビジネスイベントの映像活用

97号|2023年7月  
空間デザイン戦略

-- プロに聞く集客できるメソッド -
96号|2023年6月  
イベントテクノロジー

-AI・XR・プラットフォーム活用で どう変わる!?
95号|2023年5月  
LIVeNT2023の歩き方

ライブ・エンターテイメントEXPO、イベント総合EXPO、eスポーツビジネスEXPO
94号|2023年4月
映像 / 照明で体感する新たな世界観

プロに聞く、イベント演出の裏側と未来
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
93号|2023年3月
新しいイベント会場の選び方

エリア連携と多空間利用 リアル開催成功の方程式
92号|2023年2月
空間デザイン・ディスプレイ 2023

今年はこうなる!?
91号|2023年1月
BACKSTAGE2022

90号|2022年12月
イベントの集客

Like Us On Facebook

Facebook Pagelike Widget

イベマケYoutubeチャンネル

イベントマーケティングYoutubeチャンネル

2023年 編集計画(特集)

月刊イベントマーケティング 2023年 編集計画(特集)

5月31日95号 LIVeNT(イベント総合展)
6月30日96号 イベントテクノロジー
7月31日97号 集客・ブランディングの
    戦略・ツール・空間デザイン
8月24日98号 BACKSTAGE
    イベント企業合同説明会

カテゴリー

ページ上部へ戻る