「APイノゲート大阪」内覧会レポート(2)| 対談:大阪エリアブランディングと大阪MICEの可能性

APイノゲート大阪内覧会レポート_2

「APイノゲート大阪」内覧会レポート(2)では、AP イノゲート大阪を運営するTCフォーラムの清水さんと、大阪観光局でMICE 政策統括官を務める田中さんに、MICE を通じた街づくりについて語っていただいた。(2024年11月29日収録、聞き手:編集部樋口陽子)

 

APイノゲート大阪内覧会レポート_2

田中 嘉一さん
公益財団法人大阪観光局
経営企画部長
MICE 政策統括官 兼万博・IR 推進統括官

 

APイノゲート大阪内覧会レポート_2

清水 拓志さん
株式会社TC フォーラム
執行役員
コミュニケーションデザイン部 部長

 

MICEの価値とは

――内覧会セッションでMICEの価値を再定義するお話をいただきました。お二人が考える価値とは

田中 日本でのMICEの捉えられ方は部分的です。例えば、MICEは人・もの・金を集めるツールと言われますが、特に金の面は参加者の消費金額だけがクローズアップされ、ともすればMICEはホテルなどの関連業界のみの利益にしかならないものともみられてきました。

しかし、本来はMICE開催が契機となって生まれたビジネスなど、開催後の効果がはるかに大きな価値なのです。これは最近「MICEレガシー」と言われ、MICEの価値が再定義されています。大阪がコロナ後に発表したMICE戦略では、さらに明確化して「MICEとは街づくりのエンジンである」と規定しました。これは国内初、世界でも先んじたことです。

清水 イノゲート大阪という新しいビル内で施設運営するにあたって、会場単体の視点ではなく、これまであまり構築してこなかったエリアマネジメントの観点からMICE業界およびエリアとして、利益を上げなければと考えています。

例えば、同ビルのシェアワークスペースに万博期間入居される機関等は、ゲストを招くイベントではAPイノゲート大阪を提案頂く協力関係を結んだり、DMO大阪梅田に加入するなど、共創型のMICE実施を目指しています。

APイノゲート大阪内覧会レポート_2

APイノゲート大阪内覧会のDAY1セッション大阪エリアMICE×CREATIVE KANSAIの可能性』には、大阪観光局・田中嘉一さん(写真右)、DMO大阪梅田(阪急阪神不動産)・川端勇平さん、文化庁・寺本恒昌さんが登壇した

 

――MICE産業は街づくりやエリア発展においても、非常に重要な産業であると感じます。そんなMICE発展に従事されているおふたりにとって、MICEに携わるお仕事の魅力について伺えますか

田中 これほど素晴らしくエキサイティングな仕事だということが、そもそも知られていないことに人材確保の点でも危機感を持っています。将来的な視点からも、ぜひ御社はじめMICE産業のプレーヤーの皆様にやっていただきたいのは現場体験の提供です。

例えば、学会や国際会議の舞台裏など、事務局でのやり取りから、現場での運営スタッフ間のトランシーバーでの通信体験まで、緊張感あふれる現場の空気感に触れていただく。そんな機会創出をしたいと考えています。大阪観光局でもいくらでも協力します。

清水 私はこのMICE業界の魅力に取り憑かれてしまった一人です。2015年に東急コミュニティー、マンションビルの管理会社から、グループである現在のTCフォーラムに出向してきました。丸8年経験して、出向元へ戻る頃合いだったのですが、現職での継続を打診され、継続を決意しました。親会社をやめて、子会社に入るというのはめずらしいのですが、こんなに多くの人に出会える産業の魅力と、数ある職種のなかでも「ありがとう」と直接言っていただける職業も他にない、というのが理由です。

この会場のなかでは、例えば、新薬の話や商品発表、企業の方針会議など、いろいろなことが議論されていて、社会を支えている。そういった仕事なんだということを、社員とも共有しながら、仕事の価値について共通認識を持って対応しています。

ーーMICE自体の価値を知ることで、MICE施設の在り方も変化してきそうですね

田中 目の前で起きていることへの関心を持つこと、それだけで相当にモチベーションは変わってきますし、パフォーマンスも上がります。提案の仕方も変わってくるんですよね。

昨年、大阪観光局のMICEチームでは、ATCやグランキューブ大阪(大阪国際会議場)などのMICE施設から、約10日間前後の現場体験研修を受け入れました。一緒に働いたメンバーの9割から「視野が広がった」と言われるのですが、それは、自分たちの仕事が、いろいろな産業を支えていること、そして会場は、大阪に人・モノ・情報を集める重要な拠点として機能していることに気づくから。単にイベントを会場に誘致するという視点から、大阪の魅力を知り、シティセールスをしている、という視座を高く持てるようになるんです。

清水 新たな視点と視野の広がりを持てる素敵な取り組みですね。大阪観光局のMICEチームへの体験研修は、ぜひ弊社スタッフにも機会をつくれたらと思います。

国際都市・大阪の対応力

ーー4月からの「大阪・関西万博」開催も控え、大阪の国際都市としての対応力も求められていると感じます

田中 私はずっと東京で、大阪には大阪観光局の仕事で初めて住むことになりました。ですから着任した4年前に、大阪のことを知らなければ失礼と思い、歴史を勉強したところ、もともと大阪は古くから国際都市であったことに気づいたんです。遣隋使・遣唐使も大阪から出航していて、京都よりも国際都市として歴史が長いんですよ。また、一大商業都市として、非常に人が集まる場所だった。

文献を紐解くと、外から来る人をどんどん迎え入れていて、エリアとしては狭い範囲ということから、なるべく圧力を生まないよう、言葉も柔らかく、相手を否定しない言い方や、率直な物言いで仲良くなるという高度なコミュニケーション文化があった。そこでユーモアを生み出していったんですよね。

そういったオープンマインド、そしてユーモア、明るさが大阪のDNAとして残っている。これは、国際人の素養であり、国際都市のポテンシャルであると、感じています。

清水 大阪の国際都市としての力は、コロナ禍後、特に感じています。弊社では、全国で20施設「ミーティングスペースAP」ブランドで展開しており、会場をつないだ全国総会や会議の案件も少なくありません。コロナ禍では東京がメイン会場、大阪がサブ会場のように配信元は東京が多くありました。一方で、リアル開催に戻ってきたとき、大阪会場も5割が東京からのお客様の利用になってきました。

これは、オンライン開催して済ませてしまうのではなくて、大阪に足を運んで実施したいというお客様が増えているということ。それはリアルでの熱量や伝わる情報量という意味での回帰と、大阪に人・モノ・情報が集まっている国際都市力による求心力ではないでしょうか。

ーー実際に参加者が足を運ぶ理由、選ばれる都市には、開催価値である濃いコミュニケーションはもちろん、MICE開催地自体や開催の前後での魅力もありますよね

田中 やはりMICE開催地の楽しみには、食事やエクスカーションなどの非日常空間の体験もありますね。開催会場だけでなく、近隣の飲食店、エンタメ施設、大阪ですと奈良や京都といった観光地とのつながりも非日常体験ですね。

清水 非日常空間の演出という意味では、APイノゲート大阪はビルの11階にあることで、圧倒的な眺望が魅力の一つでもあります。通常、貸し会議施設業では、有効面積、いわゆる売り場となる会議室数や1室あたりの面積を多く取った方が収益性は良いですが、ロビーの面積を広く取り、お客様が会場にいらした時のファーストインプレッションを大事にしました。ロビーの大きな窓からはうめきた公園の広大な緑を望む開放的な景観が広がります。

また、クリエイティブラウンジではオフィス照明にはない、ダウンライトや明るさ調整をする調光ライト、オレンジや青など調色のできるライトなど、非日常感のある演出ができることが特徴にもなっています。

田中 会場のなかでも非日常空間の演出は、開催価値を高めるうえで大事だと思います。照明や音響、香りの演出なども研究の余地があると感じています。

もうひとつは、感動の体験も。先日、APイノゲート大阪を利用させていただいた際には、参加者がそれぞれパソコンを持ち込み、プレゼンするスタイルの会議でした。データを1台に集約する事前準備が難しいという状況でしたので、各位が当日サッとプロジェクターにワイヤレスで繋げ、パッとプレゼンをスタートできた。そんな機能性という点でシームレスなコミュニケーションができたこと一つとっても、プチ感動体験だと思います。

APイノゲート大阪内覧会レポート_2

対談後、硬く握手する田中さんと清水さん

 


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