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オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベント

オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベント »

1 4月, 2020

3月6日に、「オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベント」を開催しました。 折からのイベント自粛要請をうけ、イベント虎ノ門ヒルズフォーラムで収録し、FacebookLiveで配信となりました。

今回の登壇者は、 藤本 あゆみさん(at Will Work代表理事・Plug and Play執行役員 CMO) 松林 大輔さん(at Will Work代表理事) 酒居 潤平さん(Uzabase執行役員) 日比谷 尚武さん(カンファレンスファクトリー取締役) の4名です。

コロナウイルス感染症の影響で、自らのイベントをオンライン配信に直前に切り替えたat will work 代表理事の松林大輔さん,同じく藤本あゆみさん(Plug and Play執行役員 CMO も兼務)、日比谷 尚武さん(カンファレンスファクトリー取締役も兼務)と 自社スタジオで多くのオンライン配信を行い3月25日にはオンライン展示会「Saas Exhibition」を開催するユーザベース執行役員の酒居潤平さんの4人。セッションの内容をお届けいたします。

中止・延期・オンライン開催への切替え

藤本 あゆみさん(以下、藤本) こんにちは、(カメラマンに会場のようすを映すようにうながす)今日は、こんな布陣でお届けします。オンライン配信のヒントをオンラインイベントで伝えるというイベントです。 いまオンラインでイベントを開催しているところも増えてきたところで、経験者のノウハウをお伝えしつつ、slidoを公開しているので、みなさんの質問も交えて進めていきたいと思います。 パネリストの3人はあちこちで登壇されていて、おなじみかもしれませんが、自己紹介をお願いします。

日比谷尚武さん(以下、日比谷) at Will Work の活動の他に(株)カンファレンスファクトリーという会社の取締役をしています。at Will Work では藤本さんと一緒に、「働き方を考えるカンファレンス2020」をオンライン開催に急遽切り替えにすったもんだしていました。最近はオンラインの勉強会などに出ることが多いです。今日は現場での体験をお話できればと思います。

酒居 潤平さん(以下、酒居) NewsPicksやSPEEDAといったBtoBのサービスを提供している(株)ユーザベースに所属しています。オフラインイベントを実施していたのですが、ライブ配信に切替ることになり、この2週間で5〜6本ほどオンラインで開催しています。すべて社内のメンバーで内製化しています。最初のイベントは50人くらいのイベントでしたが、急な変更でドタバタしていました。この間にPDCAを回して改善プロセスの取組みをお話できればと思います。

松林 大輔さん(以下、松林)at Will Workの代表理事をしています。働き方を考えるカンファレンスは、まさにこの会場(虎ノ門ヒルズフォーラム)で、毎年開催していました。(株)ストリートスマートという会社も経営していまして、Google Appsの使い方の研修とかもしていて、オフラインの研修やセミナーを実施しているのですが、2月以降研修の予定がすべてなくなってしまいました。もともとeラーニングとかも実施していたので、そちらに一気にシフトしているところです。

藤本 at Will Work の他に Plug and Play Japanのマーケティングを担当しています。Plug and Play Japan Winter/Spring Summit 2020をまさに今日、会場もここ虎ノ門ヒルズフォーラムで開催予定でしたが、こちらは中止としました。スタートアップのピッチを聞くだけではなく、商談をするなど、濃厚接触推奨なイベントということもあり、また海外のスタートアップも多く、彼らを巻き込むことは大きな損失につながると考えました。ということでそれぞれの立場で、それぞれの対応を決めた経緯をお聞きしたいのですが

松林 「働き方を考えるカンファレンス2020」をオンライン開催に変更する2週間くらい前から、コロナウイルスによるさまざまな影響が出ていましたが、1週間くらい前までは、オフラインで実施するつもりで動いていました。300〜350人入る会場をスタジオにしました。リアルでやるのと違うことが多いです。もともと記録用の動画は撮っていましたが、画面の切替をするしくみをいれたり。有料配信なのでアクセス制限やセキュリティをかけたりと、切替作業を2日でやりました。

オンラインで話す、モデレートするコツ

藤本 ここで、私のGoogle時代の同僚の尾原和啓さんと回線が繋がりました。尾原さんは、「働き方を考えるカンファレンスの第1回にiPadを載せたロボっトでオンライン登壇するなど、5年以上前から多くのカンファレンスにオンライン登壇しています。尾原さん、オンラインで話しをするコツを教えてください。

尾原和啓さん(以下、尾原) 私からは3つのアドバイスがあります。 1つ目は視聴者のコメントをリアルタイムでチェックしながら、セッションに取り込むこと。私がオンライン登壇をはじめたころはニコニコ生放送が多く、弾幕と呼ばれるチャットが流れてみんなの反応がわかるようになっています。それをみるとどこの部分に視聴者がくいついたかわかります。パプリカやLemonの米津玄師さんは、ニコニコの視聴者から1フレーズごとの評価を活かしたことで、心にしみる曲をつくれたのではないでしょうか。

2つ目は、緊張感と臨場感を得るためにだれかに観客になってもらい、その人に向かって話しかけることです。オリエンタルラジオの中田敦彦さんは、YouTubeの収録にサロンの生徒さんを呼んで、そこに話しかけているそうです。相槌が上手い人を選べば、勇気をもって話せますよね。

3つ目は講談師や落語家、漫談の人の話し方を学ぶことです。盛り上げ方や抑揚の付け方なはとても参考になります。オンラインの視聴者は同じ話しが長くつづくと飽きてしまうので、10〜15分に一度はペースを変えたり、抑揚をつけたりして変化をつけましょう。そういう技術は講談や落語に凝縮されています。

もう1点追加しますが、視聴者以外の2次波及も意識することです。ライブ配信の視聴者は多くても1万人までですが、SNS・まとめサイトなら10万人、大手ポータルサイトのトピックスに掲載されると100万人に波及することもあります。そのために私はパネリストの面白いキーワードをなんどか繰り返し、意識的にパワーワードをつくるようにしています。5分に1つくらいを目安にしているのは、レポートでは15分の内容がだいたい3パラグラフくらいになり、そこでちょうど1つのハイライトラインが入りまう。それに合うキャッチコピーのようなキーワードを用意してあげる感じです。オフラインでは目の前にいる人に訴えるのが一番の目的ですが、オンラインでは観客がいないので、目的とターゲットが変わってきますよね。

藤本 モデレータがうまくペースメーカーになれそうですね。オンラインならでのいいところをうまく設計に取り入れることがコツなんですね。ありがとうございました。

松林 移動しながら登壇ってすごいですよね

オンライン配信の画づくりとトラブル対応

日比谷 (画面にスライドを映しながら)このスライドはいつもこの3人で登壇した時の想定トピックスをまとめたものです。よく個別に相談をうけていたのですが、それが多くなってきて対応しきれなりました。そこで最近はそういう人たちを集めてイベントにしています。最初はトピックスの数は10個くらいでしたが、いまは26個くらいまで増えています。イベント開催時に気になる点は大体網羅していると思います。今日は、このなかからオンラインに関連することを選んでいこうかなと。

藤本 たとえば、モデレーター選びってありますけど、それもオンラインイベントにしたらこういう人がいい、という感じですね。

日比谷 オンラインに慣れて耳の肥えた視聴者の期待に応える技術とか…

藤本 そのうちオンラインが得意なモデレーターさんとかでてきたりしそうですね。

酒居  (オンライン配信はイベントとは)テンションが違う。画面上だとちょっと大げさなくらいがちょうどいいです。テレビはすごいなと思います。逆に動作がすごく気になることがあります。オフラインだとちょっと体を動かしたりとかは平気でしますけど、画面でみるとそれがかなり気になります。テレビの演者さんは背筋を伸ばして正面を見て話しています。イベントでの登壇とは別物なのかなと感じています。

松林 オフラインは臨場感ありますよね。オンラインは資料をみせたりする時に画面を切替できるのはすごくプラス。でも進行がわかってないとそれは活かせないんですよね。

藤本 ちょうど画面の切替えの話がでたので、会場の機材について紹介したいと思います。今日はカメラが3台。1つは司会の私を撮るもの、2つ目は私以外の3人を映すもの、3台目は、固定せずに、全体をとったりズームしたりしています。それとは別にPCからの出力は私と日比谷さんの2台をスイッチングできるように私の手元にもう一つスイッチャーがあります。さらにテレビ番組のように、話している人をワイプで映したりすることも可能です。at Will Work(の働きかたカンファレンス2020)の時はスライドをメインにして、登壇者を右に映していました。カメラ・スライドの切替えだけでなく画面構成をいろいろと考えて、大きさとか場所も変えられる。どういう風に見せたいか、テレビ番組のような映像にすることもできるんですよね。

松林 その映り方は事前によく確認しといた方がいいですよ。それによって会場の構成や資料の作り方が変わってきます。

藤本 いま、画面では松林さんと私が半分ずつ映っていますね。

松林 これ(演出を駆使した映像配信)をユーザベースでは内製化したんですよね。

酒居  (画面を切り替えて)こんな感じで配信しています機材はもともとユーザベースのグループ会社(株)ジャパンベンチャーリサーチでは、ami(現在の運営はINITIAL)というライブ配信でスタートアップの支援をするサービスがあり、機材やノウハウの面で助けてもらいました。またNewsPicksにはテレビ局の出身者もいましたし、社内の知見・ノウハウをあつめて進めています。

日比谷 どういうアドバイスが活きましたか?

酒居   画面のつくり方やシチュエーションを教わりましたし、プロのカメラマンの撮影時に光の当て方と、照明の当て方、レフ板の使い方などで画の美しさをだすのはとても参考になりました。3台のカメラは背景のボケ感を出すために全部一眼レフ、ソニーのα7 III(アルファ・セブン・スリー)を使っています。レンズは場所に応じて変えています。登壇という感じではなく、より近い1つテーブルで皆さんにお話ししていただいている感じの画をつくっています。

藤本 The UPDATEやWEEKLY OCHIAIは、オープニング動画などを使っていますよね。

酒居   いまジングルは絶賛作成中です。配信ツールのWirecastを使ってYouTubeLiveに配信していますが、スタッフみんながはじめての経験なので、「確実に事故なく」が最優先なので、応用は徐々に少しずつ追加しています。

藤本 経験がないと、事故をさけるのもむずかしいですよね?

酒居  予期せぬトラブルはたくさん起きます。例えば、昨日のリハが完璧だったのに、本番でマイクに変なエフェクトが入ったことがあります。原因をいくら調べてもわからない。どうしようもないので、視聴者の方に30秒ほどお待ちくださいと伝えて、再起動したら直ってしまったので、いまも理由はわからないです。それから人的なミスもあります。コードに躓づいて抜けちゃったりとか、養生してもそういうことはあるんですよね。ワイヤレスのピンマイクだとディレイがあったり不具合の可能性もあるので有線のものを使用しています。リハや本番を重ねながらリスク回避の方法がだんだんわかってきます。

インタラクティブ性をあげるツール

酒居  ライブ配信をしてわかったのは、話していて反応がないと登壇者はつらいということです。そこでわざと大きめなりアクションをしてもらう。ADのカンペでも褒め言葉をあらかじめ用意してもらっています。そういうことで勇気づけられるんですよね。

藤本 松林さんは「働き方を考えるカンファレンス2020」の最初のパネルディスカッションでモデレーターをしましたよね。

松林 あれはむちゃくちゃ緊張しました。

藤本 あのときは、スタッフがまだどう反応していいかわからなかった時。それをどう克服しましたか?

松林 会場にスポンサーや関係者がいたので、その人を見ながら話すようにしていました。人がいないというのは、相当なストレスですよね。

第1回 イベント未来予想図2020–コミュニティ文化とイノベーションを加速するイベントの仕掛け方

第1回 イベント未来予想図2020–コミュニティ文化とイノベーションを加速するイベントの仕掛け方 »

11月27日、イベントの未来をつくる105人のコミュニティが主催するシリーズイベント“データからひも解くイベントの未来ラボ”が開催された。第1回目には、イベントプラットフォームを提供するイベントレジストの小笹文さんとPeatix藤田祐司さんが登場。「コミュニティマーケティング」(日本実業出版社)著者で、CMC_Meetupを主宰する、パラレルマーケターの小島英揮さんとともに、イベントの未来予想図を語った。

 

プラットフォーム創設のストーリー

小島 きょうのテーマは、『イベント未来予想図』。イベントに関わっている方が多く参加されて、これからイベントってどうなるんだろうという関心の高い層かと思います。ある意味、日本で誰よりもイベントの裏側を見てきたイベントレジストとPeatixというイベントプラットフォームを提供する2社からお二人を招いてお話を聞いていきたいと思います。

 

小笹 イベントレジスト(以下、イベレジ)は2011年の3月に創業しました。私自身は新卒でリクルートに入社後、Googleに移り、Google時代の同僚の一人だったヒラヤマとイベントレジストを立ち上げ、執行役員COOをしています。

創業時は、いわゆるソーシャルチケッティングと呼ばれる会社が台頭してきた年で、私たちは2011年11月にサービスをリリースしました。今は、皆さんに比較的BtoB寄りのイベントプラットフォームとして認識いただいているかと思いますが、実は最初はPeatixさんのように、toCの個人向けに展開していたんです。周囲にBtoBのマーケティング担当者が多かったこともあり、リリース後3カ月でBtoBへと方向転換しました。今年7月に日本経済新聞社に株式譲渡して、今はグループ会社という位置付けになっています。

サービスとして最近のトピックスでは、『KAOPASS』と呼ばれる顔認証で受付ができるようになりました。それ以外にも、例えば、MAやビーコンなどを組み合わせて、エンタープライズのお客さまからニーズのある機能を提供しています。

 

藤田 僕のキャリアからお話すると、インテリジェンス(現パーソル)という人材紹介の営業から、2003年頭に黎明期のAmazonに移り、Amazonにいたメンバーで、Peatixの前進になるOrinocoという会社を2007年に創業しました。

Peatixのサービス自体は、2011年の5月に開始しています。ちょうど、震災の直後、世の中が自粛ムードで、例えばエンターテインメントのイベントが全然できない時期でした。震災復興のためにNPOがかなり立ち上がっていた時期だったので、われわれとしては、いわゆる草の根の活動をしている人たちを支援しようというところからはじめて、当初からコミュニティーをサポートするという形で展開しています。

自分たちでもたとえばイベント主催者のための「イベントサロン」というコミュニティや「コミュコレ!」という地域軸で面白い活動をしているひとを集めたコミュニティの運営もしています。今、ユーザー数は400万人を超え、世界でも27カ国で使われて、拠点もかなりふえてきました。

 

プラットフォーム後の変化イベントの集客

小島 まだイベレジやPeatixのようなプラットフォームがなかった頃、それこそ僕がAWS時代にイベントを担当していた当初は、参加登録一つとっても“毎回”CGI作成の発注をしたり、主催者であるにもかかわらず参加者データをすぐに確認できず取り寄せが必要だったり、さらに有料でと、買い切り型でイベント開催のハードルが高かった。

プラットフォームができて、こうしたことが解消されただけでなく、データが扱いやすくなって、イベンター側のスキルが、プラットフォームによってPDCAを回せるようになった。これはイベントを進化させているのではないかと思います。

小笹 申込みを受付中にもイベントページのPV数、申込数をグラフとしてみられますし、リストなどをみられるので、目標としている数だけでなく、層に届いているのか、来てもらえているのかがわかると、次の集客の施策を回すことができます。主催者さんもよくみていらっしゃいます。

藤田 BtoCイベントだと、チケット業界ではデータを渡しませんというところもあります。Peatixではフォームでデータは取れるようになっていますが、主催者がいつでも自由に情報を引き出せるというのは実は大きい変化だと思います。

 

 

 

アフターデジタル OMO時代のイベント活用術

小島 リアルとデジタルは割と分断された世界だったのに比べて、もともとオフラインだった行動がモバイルやセンサーによってオンラインデータになりIDに紐づく融合した世界観のことを「アフターデジタル」と言われます。イベントもとても変わってきていると思うんですが、いかがですか。

小笹 少し前まではデジタルはそのイベントを補完するものとか、イベントをどうやって

デジタルで後に残そうとか、そう考えられていたかと思いますが、その視点がガラリと変わったのが、一昨年行ったSalesforce主催の「Dreamforce」というイベントでした。

サンフランシスコを1週間ほぼジャックするような大規模な年次カンファレンスで、17万人が参加します。それは、イベントの中だけで完結するのかなと思っていたんですけれど、ふたを開けてみたら、17万人の参加者の後ろで1300万人の人がライブストリーミングを視聴しているんですよ。キーノートのセッションスピーカーもカメラに向かって語りかけていて、建て付けとしては公開収録なんだと感じました。

その体験から、イベントのつくり方って、そのイベントをどれだけパーフェクトに、すてきな感じに仕上げるかっていうことじゃないんだなって、ものすごいマインドセットが変わりました。

藤田 「アフターデジタル」の考え方で言うと、Peatixはサービサーという立ち位置になるかと思うんです。行動属性みたいなものをデータとして取れるようになって、それをどう活用するかという意味で。Peatixの場合には、それぞれのイベントがどういう属性を持っているかをすべて持っています。

例えば、小島さんが過去に参加したイベントから、きっとこういうイベント好きだよねというレコメンドとしてメールなどでお知らせをしています。われわれが行動属性をデジタルとして料理をして、皆さんに届けることによって、リアルな場とつないでいくみたいな感じになっている。

また、ここはいろんな議論があると思うんですけど、いわゆる信用経済的な流れでいえば、イベントにも、参加者にも信用スコアみたいなものがあるかなと。主催者にとってはスコアが悪い参加者に来ないでと言うために必要なのではなくて、参加率が悪いかもしれないとあらかじめわかっておけば、オーバーブッキングにしておこう、といった判断の最適化につながっていくと思います。

 

イベントの多様性が生み出すイノベーション

小島 イベントプラットフォームがあるから簡単に集客したり、申し込みを受けたりできる。それによって、いろんな、今までだったら考えられないイベントもたくさん出るようになって、その多様性がイノベーションにつながっていく、そんな流れを感じますがどうでしょうか。

藤田 1970年代にアメリカのスタンフォード大学の社会学者の方が提唱していた、弱い紐帯っていう、弱いつながりを表す概念があります。

一方で、じゃあ、逆に強いつながりって何かっていうと、家族であるとか、すごい親友であるとか、ものすごく近しい人が逆に強いつながりで。つまり、弱い紐帯っていうのは、こういうイベントでたまに会ったり、2週間に1回顔を見るみたいな感じのつながりなんですが、実はそれこそがすご強いんだっていう考え方です。まさにコミュニティとかイベントっていうのは、そういう場になっていくと思うんです。

小笹 心理的な安心感のある、一回心がちょっと緩くなって、いろいろな情報発信ができたり、他の普段の社会、自分の社会とは違う人とコミュニケーションが取れるようになったりする。そうすると、まさにリアルが溶解していくというか、自分はもっと広がってっていいんだ、というようなところのブーストになるのがイベントや、コミュニティだったりするのかなっていう気はしますね。

そうすると、来る人たちのマインドセットがちょっとずつ変わってきている、ということでもあって、主催者さん側もイベントをどうつくっていくか、は大事かなと思います。

小島 主催者の言いたいことだけ言うイベン ト、1対 N のイベントはおしまいなんじゃな いかなと思います。  日本人にはいま閉塞感が出てきているので、 それを突破する場っていうのはいろんな意味 で求められる。個人からも求められるし、社 会からも求められると思います。じゃあ、その 場にどう皆さんがつくるイベントをどう差し込 んでいくか、そういう発想で考えていくと、イ ベントって今まで以上にすごく大事なポジショ ンを得るんじゃないかなと思います。

 

社外の「ロールモデル」から学ぶ、プロフェッショナルへのキャリアプラン  ~シリーズ1.外資系人事のプロフェッショナルから本物の人事を知る〜

社外の「ロールモデル」から学ぶ、プロフェッショナルへのキャリアプラン ~シリーズ1.外資系人事のプロフェッショナルから本物の人事を知る〜 »

31 1月, 2020

2019年12月4日(水)、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムにて、セミナー形式のイベントが開催された。タイトルは、『社外の「ロールモデル」から学ぶ、プロフェッショナルへのキャリアプラン~シリーズ1.外資系人事のプロフェッショナルから本物の人事を知る〜』。主催は、「イベントの未来をつくる105人」、イベント開催のオーガナイザー達が集い、面白いイベントを仕掛けていく試みを行うコミュニティだ。

 

今回の登壇者は以下の4名。

 

 

松林大輔氏

【プロフィール】株式会社ストリートスマート代表取締役/一般社団法人at Will Work代表理事。“「働き方」を選択できる社会へ”というスローガンのもと、虎ノ門ヒルズで年に数回、「働き方」に絡めたイベントを開催。政界の要人も招くなど、その規模の大きさは日本随一を誇る。コミュニティ「イベントの未来をつくる105人」のボードメンバーである。

 

 

 

安田雅彦氏

【プロフィール】株式会社ラッシュジャパン人事部長。1989年に大学卒業後、新卒でセゾングループ・西友に入社、3年後から人事部勤務となる。1999年に子会社・エルエルビージャパンに出向。その後、2001年にグッチグループジャパン、2008年にジョンション・エンド・ジョンソン、2013にアストラゼネカ、2015にラッシュジャパンに転職を果たし、国内企業・外資系企業の各社において人事部門を担当。現在に至るまで、通算27年間の人事業務経験を持つ。

 

 

佐藤留美氏

【プロフィール】株式会社ニューズピックス副編集長。雙葉学園で学んだのち、青山学院大学に進学、在学中に学生結婚。卒業後、紆余曲折を経て株式会社キャリアデザインセンターに籍を置き、その傍らで副業として執筆業を開始。30代の10年間はフリーランスのライターとして活躍し、「週刊東洋経済」「PRESIDENT (プレジデント)」等で執筆活動を行う。2007年、編集部の立ち上げ当初から経済メディア・ニューズピックスに参画。社内のタレントマネンジメントにも携わっている。

 

杉浦佳浩氏

【プロフィール】代表世話人株式会社®代表取締役。証券会社からキャリアをスタートし、株式会社キーエンスを経て、三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後20年間勤務。30代の初頭で「サード・プレイスの重要性」や、「会社内外における仲間の融合」といったテーマについて考えを巡らせたことを契機に、「人と人とを繋げる人でありたい」という自身の活動方針へと至る。現在、人との縁を大切にしながら、数十社を超える会社において顧問として活躍、世話人役を務めている。

 

司会進行役は、松林氏が務めた。イベントは2部構成となっており、第1部は安田氏によるセミナー形式、第2部は安田氏・佐藤氏・杉浦氏・松林氏によるパネルディスカッション形式で進められた。終了後には隣接のスペースで、登壇者を含む参加者同士の交流を目的とした懇親会が催された。

 

 

第1部が幕を開けると、まずは安田氏が登壇。自身の多彩な業界における人事勤務経験を踏まえ、「キャリアドライブの仕方」「組織におけるキャリア開発の方法」「人事の役割の心構え」といったテーマで、話を展開させていった。

後半では、「ビジネスパートナーとしての人事の在り方」や、「これからの社会で求められる人事の姿」といった話題へ。最後に今回の講演の核心である「タレント戦略の立て方」というテーマに迫り、その「基本の考え方」に続き「ビジネスゴールの見極め方とそこへ向けたアプローチ法」「組織力診断のシート形式によるチェック法」「全体像の把握について」「サクセッションプランニング(後継者育成計画)の立て方」「人材育成・獲得計画の立て方」「タレントレビューのための共有・討議の方法」といった、深い学びに溢れた内容で第1部を締めくくった。

そのままの流れで第2部へと移行すると、安田氏に加わる形で佐藤氏と杉浦氏、司会役の松林氏が登壇し、パネルディスカッションが開始された。

 

第2部は、Q&A方式による進行。最初に、スクリーンに映し出されたQRコードを経由して、会場にいる参加者が各々の所持端末から登壇者への質問を送る。すると、それらが再度スクリーンに反映され、最終的に集まった質問内容を会場全体で共有できる、という画期的な方法が取られていた。

 

Q.退職勧奨のプロセスを、ストレートに知りたい。

A.安田氏:退職勧奨をされた側の人が辿る、普遍的な心理の動きというのがある。

1.怒り:「どうして俺が退職勧奨されなければならないんだ」と思う時期。

2.拒絶:退職勧奨をなかったものにしたいがための行動(会議に出ない、メール返信をしないなど)を起こす時期。

3.探索:拒絶するエネルギーを使い果たし、退職金や次の就職先について考え始める時期。

4.受容:退職勧奨を受け入れる時期。

人事の役目は、この4つの心理の動きにきちんと付き合うこと。退職勧奨のアプローチは計4回、1ヶ月ほどの期間で決着をつけるというのが基本となる。

大切なのは、一度肩を叩いたら、最後まで絶対にやり通すこと。これは鉄則で、退職勧奨が退けられる事例があったら甘さが出るし、強い信念を持って切り出した話を簡単に撤回する方が、筋が通らず失礼にあたる。

 

Q.個人の成長にフォーカスしている印象を受ける「タレント戦略」と、組織全体の「課題解決」との相関性について知りたい。

A.安田氏:かつてのタレント戦略には、2つの側面があった。

1つは、「一人の素晴らしいリーダーが、組織を引っ張っていく」という組織モデルを作ること。つまりは、「圧倒的なリーダーを育てていく」という仕組み。

もう1つは、個々人のタレント=ケイパビリティについて、全体で話し合ってレビューしていく過程で、組織の問題解決に繋げていくこと。

しかし、最近の新しい流れでは、「一人のリーダーに頼らず、複数のリーダーを育てていこう」という動きへと変わってきている。個人の成長だけにフォーカスせずに、個々人のタレントへのレビューや、複数のリーダーを育てていく組織全体の過程の中で、「課題の解決」に迫っていくことが大切。

 

Q.素晴らしいリーダーが持っている共通スキルについての見解とは。

A.佐藤氏:これからやってくるAIの時代において、リーダー及び優秀な人とは、「一人で多様なスキルを多く持つ」か、あるいは「多様性を受け入れる土台のある」人。

日本では従来、本業一筋の「職人タイプ」が尊敬されがちだが、これからは、「ワン・スキル・イズ・リスキー」の時代。少し多動気味なほどに、多様なことをやっている人の方が、リーダーとして価値を発揮してくる。たくさんの仕事を兼務できる能力を持っていたり、個人としての「お品書き」、「タグ」が多い人が重宝される時代になっていく。

杉浦氏:かつてドラッカー氏が言っていた話として、「これからは、単一のことしかできない“プロフェッショナル”の時代は終わって、“多様性のあるコミュニケーションが取れる人材”の時代がくるはず」というものがある。私自身の長年の動きにも似たような側面があり、「サード・プレイス」というものについて思いを巡らせつつ活動する中で、社内外に多くの繋がりを作った。結果、「社外上司」や「社外部下」といった存在がたくさんできることで、会社のためにも、個人のキャリアのためにもなっていく、というようなことが起きた。ようやくそういう時代が来たのかと、身を以て感じている。

 

他にも、時間内には受け答えしきれないほどの多くの質問が、積極的に参加者から寄せられた。時に笑いを交え、わかりやすい具体例なども挙げられながら、明るく活気ある雰囲気の中で、会は進行した。閉幕後も、登壇者との対話をさらに深めたい参加者達が各登壇者の周囲に列をなし、懇親会の時間中にも、活発な質疑応答の様子が見受けられた。

(撮影・取材=本田理恵)

 

#LOCAL Meetup 第2回:神奈川県逗子市 財政難と老舗店の跡地利用を考える

#LOCAL Meetup 第2回:神奈川県逗子市 財政難と老舗店の跡地利用を考える »

4 10月, 2019

3月14日、地方創生を考えるコミュニティーイベント「第2回 #LOCAL Meetup」を開催しました。今回は、ゲストスピーカーとして神奈川県逗子市にご登壇いただきました。

#LOCAL Meetupは、地方が抱えるさまざまな課題について、ワークショップ形式で議論するイベントです。毎回自治体の担当者をゲストにお招きし、まちの課題や悩み、目指すべき姿などを参加者に共有し、それをもとに皆でディスカッションします。参加者の皆さまにも、地方への理解を深めて課題をより身近に感じるとともに、自分の経験から得た知見やノウハウをシェアし合う機会としていただくことを目指しています。

#LOCAL Meetupの発起人であり司会進行を務めた伏見学は冒頭で「このイベントの主役はワークショップに参加する皆さん。知っているようで知らない”地方”について考え、アイデアを具現化するきっかけになれば」と話しました。

 

●逗子市が抱える”マクロ”と”ミクロ”の課題

今回は「持続可能なまちづくり 財政難と老舗玩具店の閉店を事例に」をテーマに、逗子市子育て支援課の川嶋名津子さんにお話しいただきました。

マリンスポーツや別荘地としてのイメージがある逗子市ですが、市の収入の半分を占める市税は平成20年度以降減少し、平成28年度の市税収入は平成20年度に比べて約10億円の減少となりました。都心にアクセスが良いベットタウンとして発展してきましたが、住民のライフステージの変化に伴って高齢化が進み、税収の減少に反比例するように社会保障費は大きく増加しています。法人税収入が少なく税収の50%以上を個人市民税が占めるため、今後税収が劇的に増加することも見込めません。こうした背景から2018年、7億円規模の緊急財政対策が敷かれました。

「取り残された親世代が住むまち」ともいえる逗子市のこうした現状を象徴する出来事の一つに、1945年創業の老舗玩具店「のんきや」の存続問題が挙げられます。逗子のメインストリート「銀座通り」にある同店は、かつて放課後の子どもたちの居場所として親しまれた商店街の顔ともいえるお店でしたが、ネット通販や大手量販店への顧客の流出で売り上げが低迷、閉店を検討する事態となりました。

しかしながら、地元の人たちの強い希望もあって、何とかしてのんきやを残そうとする動きがあります。登壇した川嶋さんからは、参加者へ向けて「このような店が生き残るためには? 老舗玩具店のエッセンスを残す活用方法は?」という問いが投げ掛けられました。

 

●ベッドタウンという特徴を逆手に

ワークショップでは、これらマクロ / ミクロの課題に着目し、前半で「どうする財政難!?」を、後半で「老舗おもちゃ屋・のんきやの活性化」をテーマに設定。逗子市出身の方や仕事で”地方”に関わっている方、個人の課題として地方創生を考える方など、様々なバックグラウンドを持つ参加者らが4つのテーブルに分かれ、各テーマにつきそれぞれ約20分間をかけて意見を交わしました。

「どうする財政難!?」のテーマでは、「オフサイトミーティングの聖地・逗子」構想が提案されました。ベッドタウンである逗子から平日の昼間に1万1000人のビジネスマンが流出してしまうという課題に対し、逆に1万1000人のビジネスマンを逗子に呼ぶプランとして、東京から1時間という適度な距離感を生かしたオフサイトやコワーキングスペースでの利用を想定。さらにこれらのキーワードからは“意識高い系”のビジネスマンが連想されるため、迎え入れる旅館や喫茶店にリッチな環境を整えることによって、SNSでの拡散も期待できるという案が出されました。

逗子がコワーキングスペースの設置に適した土地であるというコメントが多く飛び出す中、一戸建てが多くアパートやマンションが極端に少ないというまちの特徴を指摘したグループからは、空き家問題と絡めて逗子への「試し住み」ができる環境を整備してみてはどうかというアイデアが出されました。他にも、身近なインバウンドの流入元として、まずは逗子市内にある米軍住宅の人たちに来てもらえるようなまちにしたいという意見や、夏以外のシーズンにも市外から訪れてくれる人が増えるよう、秋冬のイベントを意識的に仕掛けてみてはどうかという意見が出されました。

 

●老舗玩具店の“役割”を残す

後半のテーマである「老舗おもちゃ屋・のんきやの活性化」では、のんきやを「物に加えて、人・サービスが集まる場にする」という発想を軸にしたアイデアが多く飛び出しました。のんきやが愛される理由ともなっていた店主の人柄に触れ、店主が一人一人におすすめのおもちゃを選んでくれるサブスクリプションモデルのサービスを提供してみてはどうかという声や、店で借りたおもちゃを使って逗子の豊かな自然の中で遊べるような仕組みづくりをしてはどうかという声。

他にも、子育て中の母親同士が悩みを共有したり、地域の人々に相談をしたりするという活用方法が提案されました。また、おもちゃメーカーが新しく開発した商品をどこよりも早く試せるテストマーケティングの場とするアイデアや、サイクリストにとって都心から程よい距離である逗子に本格的なサイクリングショップを作るなど、全く新しいビジネスの場に生まれ変わらせるアイデアも。最後に「のんきやでの良い思い出をもつ大人たちが、今の子どもたちに同じような体験を用意してあげることによって、のんきやの“役割”は100年後も続くことができるのではないか」という意見が出ると、参加者から多く共感の声が聞かれました。

ワークショップ終了後はそのまま懇親会を開催。様々なバックグラウンドをもつ参加者同士で交流を楽しみました。#LOCALは今後も、多くの方にご参加いただくことによって、多様なアイデアが生まれる場の創出を目指します。

(撮影・文=#LOCAL Meetup)

 

 

ニコニコ超会議2019「超テクノ法要×向源」の舞台裏

ニコニコ超会議2019「超テクノ法要×向源」の舞台裏 »

イベントの未来をつくる105人では、さまざまなイベントを主催し、そのレポートを掲載しているが、今回は開催中のイベントの現地レポートとインタビューをお届け。イベントの未来をつくるボードメンバーである友光雅臣さんが体験コーナーを担当した「ニコニコ超会議2019」での「超テクノ法要」の舞台裏をお伝えする。

 

2019年4月27日(土)、28日(日)の2日間にかけて、株式会社ドワンゴが主催するネット発&日本最大級の文化祭「ニコニコ超会議2019」が千葉県・幕張メッセにて開催された。

ドワンゴが提供する動画共有サービス「ニコニコ動画」のオフラインミーティングであるニコニコ超会議のコンセプトは「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」。

 

ボーカロイドやVTuber、歌い手や声優といった、普段はWeb上で発信されているコンテンツがひとつの会場に集まるほか、その様子がニコニコ動画でも放送され、コメントを通して会議に参加できる仕組みになっている。

「同じって、うれしい。違うって、たのしい」がキャッチコピーのニコニコ超会議2019にボーカロイドやVtuberなどのファンが集まるなかで、ひときわ異色を放つブースがある。それが「超テクノ法要×向源」だ。

元DJの僧侶・朝倉行宣さんが手がける「超テクノ法要」は、浄土真宗の世界観をテクノミュージックを乗せながらプロジェクションマッピングと融合させた映像で表現する、新しい “法要” のこと。

同じく元DJの僧侶であり、寺社フェス「向源」代表である友光雅臣さんが体験コーナーを担当し、音楽と体験を通して参加者に仏教の世界を体感してもらうことが狙いだ。

 

開催2年目となる2019年は「超テクノ法要」がステージを盛り上げるなかで、初音ミクの形をした「初音ミロク菩薩」の製作風景を生配信したり、お坊さん・牧師さんと15分間無料で話せる「お坊さん・牧師さんと話そう」を開催したりと、ニコニコ超会議ならではのコンテンツを手がけた。

 

 

宗教ブースというと距離を感じてしまいがちだが、10代〜20代の若者やコスプレイヤーなど、老若男女問わず幅広い来場者が参加していた「超テクノ法要×向源」。

 

パフォーマンスの動画撮影が許可されていたり、QRコードを読み込んで回答した参加者アンケートの結果がプロジェクションマッピングに反映される「サイバー南無南無」が会場を盛り上げたりと、テクノロジーと掛け合わせることで、ただ “観る” だけでなく “参加” できるコンテンツが詰まっている。

 

「超テクノ法要」では最前列で動画を撮ったり手を合わせて拝んだりと、さまざまな姿勢で仏教と触れ合う参加者の様子が見られた。

 

他にも「声だけでつくる音楽×お経」や「お経+ミュージック=ブッダ・サウンドプロジェクト」などのパフォーマンスも多くの来場者を集め、「お坊さん・牧師さんと話そう」「サイレント座禅」などの体験コーナーとあわせて会場を大きく盛り上げた。参加者の顔には笑顔が溢れ、新鮮な心持ちを得る様子が感じられた。

 

 

 

大盛況だった2日間を終え、「向源」代表でイベントの未来をつくる105人ボードメンバーでもある友光雅臣さんと株式会社ドワンゴの高橋薫さんに、企画の狙いやニコニコ超会議ならではの工夫についてお話を伺った。

 

 

−−「超テクノ法要×向源」を企画したきっかけと、ねらいを教えてください

ドワンゴ・高橋:テクノ法要のお手伝いや生中継を何度かniconicoで行っているうちに、このテクノ法要をniconicoで最大のイベント「ニコニコ超会議」で実施できないかなと考えまして。朝倉行宣さん(テクノ法要を行う福井県・照恩寺の住職)に相談してみたところ「それだったら一緒にやれると面白いお坊さんがいるよ」と紹介されたのが、友光さんでした。「じゃあ一緒にやりましょう!」ということでコラボレーションすることが決まって。

 

友光:高橋さんが端折っているところでちょっと説明を追加すると、テクノ法要だけだと超会議にすでにある大きなステージのなかの1コンテンツとして行う可能性もあったんですよね。それではせっかくの新しい仏教コンテンツも「何か変わったステージだなあ」という感想で終わってしまう。

 

高橋:はい、それではもったいない。せっかくならステージのパフォーマンスに加えて体験企画を組み合わせて一つの大きなブースにしてしまおうと考えまして。

友光:そこで、朝倉さんとドワンゴさんからお声がけいただき、寺社フェスなどを開催している「向源」が体験コーナーを担当することになったんです。

そこで、ブースに来てくれたかたに「仏教って何だろう」と考えてもらったり「自分はこういうことを感じていたんだ」と気づいてもらうきっかけになるようにコラボレート企画を考えました。

ニコニコ超会議(以下、超会議)は “会議” という名前の通り、出演者も来場者もみんなが参加して発言権を持てる空間。

向源には「源に向かう」という意味があるように、自分自身が何を思っているかだったり、自分のなかにある声を大切にすることだったり、自分に気づくことを大事にしているので、仏教の布教は目的にせず、仏教や日本文化を通じて自分自身が何を考えているのかを感じてもらえる場にしようと思いました。

−−ニコニコ超会議のなかでも、宗教ブースはかなり珍しいと思います。そのなかで「超テクノ法要×向源」だからこその役割は何だと考えていらっしゃいますか?

友光:街中にあるお寺や神社のように、ほっとできる場所を提供することだと思っています。みんながさまざまなブースで物を売ったり、パフォーマンスをしていたりするなかで、お寺や神社の役割は騒がしい空間のなかでも「ほっとできる場所」「休める場所」なのではないか、と。楽しんだあとに少し落ち着いて自分のことを振り返る場所を提供したいと思い、安心して自分を開ける空間にすることを意識しました。

高橋:普段は気づかないけれど、自分たちの生活に深く関係しているものに触れてもらうきっかけになれたらと考えています。仏教は、日本の伝統の裏側にずっと続いてるものだと思うんです。お葬式=仏教というイメージがついてしまっているなかで、それだけではないという部分で宗教という形ではなく日本の伝統文化の文脈で伝えるということを重視しました。

 

−−初回である去年と比べてお客様の反応は変わりましたか?

友光:今年は朝11時のテクノ法要に合わせて、多くの方が来てくださりました。朝11時にステージ前到着するとしたら朝の何時から並んでいるのか、と考えると、とても嬉しかったです。

去年は「ニコニコ超会議にくる方はどのようなコンテンツが好きなのだろう」と悩んでいたのですが、僕たちが普段やっていることを楽しんでくれたので、今年は安心して企画できました。他のブースをまわっているときも「テクノ法要のお坊さんですか」「『お坊さん・牧師さんと話そう』に興味があるので、あとで行きます」と声をかけてくださって……。お互いがやりたいことをやりつつ尊重し合えているので、居心地がいいですね。「うちの寺も街に馴染んだなあ」という感覚です(笑)。

高橋:昨年テクノ法要も好評だったのですが、実は「お坊さん・牧師さんと話そう」がとても人気だったんです。普段はお寺に行かないような若い人がお坊さんと話している姿があったり、お坊さんからも「いつも話せないような方から真剣な質問を受けてびっくりしました」と感想をもらって。

なので友光さんも言ってますが、こういうものが受け入れられるんだ、ということがわかっていたのでさらにブラッシュアップを考えることができました。このブースは超会議で珍しい「暗いブース」なんですが、それを強調したり、その中でテクノ法要以外の企画を目立たせるにはどうしたらいいかを考えたり。去年なかなか伝え方が難しかった座禅などにも来場者が並んでいるのをみて、本当に良かったなーと思ってます。

−−お二人はそれぞれコラボレーションすることのメリットをどのように感じていますか。

友光:3年前に1週間ほど「向源」を開催して1万5000人が来場するイベントを作ったのですが、プロモーションから当日の運営までの全てをボランティアで回すことはとても大変でした。今回ドワンゴとコラボレーションさせてもらうことで、十何万人もの方々と接触する機会を持てるうえに、チケットの販売や場所取り、プロモーションなどのオペレーションも手伝っていただけるのは、メリットしかないと感じました。

 

そして何より、幅広い層の方と触れ合えることも良いですね。ニコニコ超会議には日本文化や仏教が好きという方が少ない一方で、ゲームやアニメを通して宗教のモチーフに触れてきた方が来てくれる。そこで「お寺でお坊さんに話を聞いてもらうまででもないけれど、少し興味がある」という方が気軽に足を運んでいただけるので、普段関わりの少ない10代・20代の方たちと接触できるのはありがたいです。

高橋:主催者・参加者関係なくみんなにとっての「出会いの場」になることが一番のメリットだと感じます。僕だって、普段だったら友光さんとも出会わなかっただろうし……。ニコニコ動画を飛び出したリアルな場だからこその出会いもそうですし、ネット上の生放送でもコメントをしてくださる方のなかに仏教に詳しい方がいて、それを読んだ方との会話が生まれていますし、さまざまな出会いに繋がっていると思います。それにこのブースでニコニコに触れてくれたお坊さんたちが、ニコニコで活動をしてくれることにも繋がりましたしね。笑

 

−−それでは最後に、ニコニコ超会議の成功を経て、今後はどのように進んでいきたいのか教えてください。

 

友光:「こうなりたい」「こうなってほしい」という狙いや作為を抱いても空回りする現場なんだろうなと感じて居ます。超会議のお客さんだからこうすれば喜ぶだろうとか、変に寄せることはせず、手加減無しにその時そのときのベストを尽くすことで本気のコミュニケーションが生まれるのかなと思っています。そういう意味で今後や超会議の中での立ち位置などに関しては、高橋さんをはじめとしたドワンゴの方がブレイン(脳)となって考えてくれているので、僕らは現場の筋肉として動いています。

 

高橋:そうですね。超会議にブースを出し続けるという目標はありますが、伝統文化や仏教にテクノロジーが合わさることで、超会議以外の場所にも偏在していく状況を作りたいです。普段は存在しているけれど見えない “仏教” をテクノロジーで可視化し、その橋渡しになれればいいな、と思います。

(取材・文/撮影*=高城つかさ、編集=樋口陽子)

*クレジットのある写真は「ニコニコ超会議」公式より

編集長に叱られる#02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー

編集長に叱られる#02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー »

「編集長に叱られる#02」(2/15、虎ノ門ヒルズフォーラム)では、ソーシャルコンテンツプロデューサーで広報企画会社スコップ代表の山名清隆さんをゲストに、月刊イベントマーケティングの編集長で、イベントの未来をつくる105人ボードメンバーの樋口陽子がSOCIMO(ソーシャルモチベーション)のこと、公共的プロジェクト継続の仕組みづくりなどをお聞きしました。さいきんのイベント参加者の傾向として、企業の組織人としてだけではなく、個人としてイベントに関わることがふえてきたように思います。変化する参加マインドに合わせたイベントづくりにもSOCIMOのエッセンスはヒントになるのではないでしょうか。

やりたくてやりたいことをしよう

山名さんのプロジェクトは、「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」や「東京カンパイ自動車」など、ついひとに教えたくなるものばかり。

プロジェクトはすべて社会実験のようなものと話す山名さん。「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」の場合は、文字通り、嬬恋村のキャベツ畑の真ん中で妻に向かって愛を叫ぶシンプルなイベント。愛妻家という未確認生物がいるかどうかの社会的実験だったと話します。当初、予算ゼロでしたが、リリースを出すとテレビ局や新聞社が取材に来て、広まり、盛り上がりを受けて、地元役場では雄叫び台を設置、愛妻の丘として観光名所にしたり、「愛妻家に注意」という洒落た標識にしたりと、実験は地元にしっかりと根づいていきました。「東京カンパイ自動車」も道路の開通式をパーティ化したものですが、主催者側から「もう開通式という時代じゃないんじゃないか」という声に「じゃあ、やりたいことをしましょう」と提案したものだそうです。

 

個人のなかのハートの形を変える

これまでは社会システムがあって、行政が動いて、ビジネスが動いて、社会が変わるという流れだったのを、「個人の中にあるハートの形が変わって世の中変わるんだ」ということを、体験した山名さん。ソーシャルイノベーションやソーシャルデザインといった言葉がいまのように溢れていない時代から「社会と個人がダイレクトにつながるとき人はこれまでにない大きな力を発揮する」と気づき、意図して取り組んできました。

大事なのは、多少恥をかいても、自分でまず言ってみたり、やってみたりすること。そうすることで、それをみたひとは「自分以外にも居たんだ!」と安心するそう。最初はみんな孤独。でも、一歩踏み出すと仲間がみつかると動き出すのが山名さんのいうソシモマネジメントです。

 

「編集長に叱られる」では、「ソシモマネジメントのための6つの能力」「ソーシャルスペーススパイラル理論」「ムーブメントステップ(渦巻き作り)」「ムーブメントマネジメント(うねり作り)」などが図解入りで披露されました。

「編集長に叱られる #02ー山名さん、SOCIMOってなんですか?ー」 [日程] 2月15日(金) [会場] 虎ノ門ヒルズフォーラム5F [主催]イベントの未来をつくる105人 [共催]月刊イベントマーケティング

 

 

編集長に叱られる#01 スタートアップとテクノロジーの祭典 Slush Tokyo 新CEO 古川遥夏さんに聞く

編集長に叱られる#01 スタートアップとテクノロジーの祭典 Slush Tokyo 新CEO 古川遥夏さんに聞く »

「編集長に叱られる#01」(1/31、虎ノ門ヒルズフォーラム)では、Slush Tokyoの新CEO古川遥夏さんをゲストに、月刊イベントマーケティングの編集長で、イベントの未来をつくる105人ボードメンバーの樋口陽子がSlush Tokyoについて、古川さんについてギモンを投げかけるスタイルで、お話をしていただきました。古川さんがCEOに就任したなりそめや、Slush Tokyoのつくり方についてを中心にお伝えします。

 

クラブイベントにしか見えなかった

古川さんがCEOになって初のSlush Tokyoは今回の2019年になりますが、彼女がSlushを知ったのは3年前の2016年、ボランティアとして参加したのがきっかけ。大学2年のとき、フランス語の授業で仲がよかった友達に「ねぇねぇ、こういうイベントがあるからボランティアしない?」とiPhoneでウェブサイトをみせられたのがきっかけだそうです。サイトは全部英語、レーザービームの写真(メインステージ風景)をみても訳がわからず、「クラブイベントにしか見えなかった」と話します。当時スタートアップという言葉も知らずそのお友達の「古川は絶対来た方がいい」という言葉と、英語が話せる場所があればと飛び込みました。

 

CEOへの打診に 3時間で決断

Slush Tokyoの新CEOとしての古川さんを紹介するために、イベント前に、Slush TokyoのFounderで前CEOのアンティ・ソニネンさんに、古川さんの魅力を聞いてみたところ、アンティさんは、次の3つを挙げてくれました。

「エネルギーであふれている。Slushにはエネルギーが大事」

「国籍や年齢、バックグラウンドを問わず知らない人にも遠慮なく声をかける性格。コミュニティづくりにとって大事な強み」

「アグレッシブな目標を立てて、結果を出しながら、周りのメンバーにも自信を持たせることができる」

こうした素質をみて、アンティさんは「大きな責任を与えるときっとすごく成長するんだろう。その姿をみたい!」と古川さんを新CEOにと決心。Slush Tokyo2018が終わった週に、アンティさんから「コーヒーを買いに行こう」と青山から2人で散歩し千駄ヶ谷のあたりで「Slush TokyoのCEO興味ない?」と誘ったそうです。古川さんは、その直後は自信がなさすぎて絶対にできないと思っていたけれど、3時間後には「OK!」と返事をしました。

 

ボランティアのモチベーション

Slush Tokyoの運営の特徴でもあるメンバーは、学生を中心に当日400名にものぼります。人材会社を通さずにボランティア募集で集まったメンバーで、20歳の学生が最も多く(2018年)、半分は海外からの参加も。はじめて参加したときの古川さんのように友達に誘われてぷらっとという人から、英語を喋りたい人、純粋に企業に興味がある人、チケット代のかわりに無料で参加したい人と動機はさまざま。

 

最終目的は イノベーターを生み出すこと

運営はボランティアで無償とはいえ、フェスのような演出や映像クリエイティブ部分はプロに依頼しているSlush Tokyo。収入はスポンサー、出展者、コラボレーションパートナー企業と参加チケット代があり、黒字で運営しているといいます。非営利団体のため、利益優先ではなく、最終目標は、「コミュニティから次世代の革命家、イノベーターの人たちを生み出すこと」。また、スピーカーには世界的なビックネームもいますが、こうした趣旨に賛同し、次世代の人たちのためにというペイフォワードの精神で、あまり知られていないが登壇料の支払いは行っていません。

イノベーティブになる雰囲気づくり

今回、「編集長に叱られる」の参加者には、イベント企画運営者もいて、「どうすればイノベーティブな雰囲気がつくれるのか」という質問も。古川さんは「新しい何かに挑戦するときの気持ちを考えてみてほしい」、とし「きっと心配だとか、孤独だなとネガティブな感情に一瞬なると思う。不安だけどやってみようという気持ちには後押しや勢いが必要」。だからイベント空間の演出では、ドキドキ感やワクワク感をつくっている。たとえば、メインステージのレーザーでの煽りや音楽も鼓動を打つようなドツドツ感のある音にしているのだそう。また、人の意見を否定しない、Yes,andを心がけている。会場では上下関係を意識して硬くならないよう、敬語禁止、ネクタイ禁止として、誰でも発言していい、挑戦していい場所をつくっている、と雰囲気づくりのメソッドもお話いただきました。

 

 

 

 

「編集長に叱られる #01−スタートアップとテクノロジーの祭典Slush Tokyo新CEO古川遥夏さんに聞く−」 [日程] 1月31日(木) [会場] 虎ノ門ヒルズフォーラム4F [時間] 19:00スタート 20:45終了予定 (18:30受付開始) [主催]イベントの未来をつくる105人 [共催]月刊イベントマーケティング