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VISUAL EXPERIENCEの可能性

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T × T

株式会社テー・オー・ダブリュー 福島裕介さん

太陽企画株式会社 小畑瑞輝さん

 

イベントの企画・制作で40年の実績あるテー・オー・ダブリュー(TOW)とTVCM制作で50年の実績ある太陽企画は昨年10月、リアルと映像の力で新たなブランド体験の可能性を目指すヴィジュアル・エクスペリエンスユニット『T×T』を結成した。

TOWはイベント、太陽企画は映像の制作現場で両社とも半世紀近いノウハウをもつ異業界のプロフェッショナルだが、PRという領域では同じクライアントのキャンペーン案件を分業することもある近い存在だった。ユニット誕生の前から同じ案件のリアルキャンペーンとCM、体験イベントとWebなど、それぞれの持ち場を担当する間柄で、その距離感が以前にくらべ特に最近は近くなってきた。その変化が『T×T』に至ったと経緯を説明する。

活況VR市場 ー「Japan VR Summit(JVRS)」

活況VR市場 ー「Japan VR Summit(JVRS)」 »

「Japan VR Summit(JVRS)」が5月に初開催された。VR元年と言われる2016年、世界的なVRへの期待の高まりを背景に、事前チケット(通常チケット3万円)は完売、当日は約500名が参加し、メイン会場は立ち見、ホワイエで展開したVR体験ブースには長蛇の列ができるなど、VR業界の活況を体感できるイベントとなった。

Session1の「VRがもたらす大革命」では、ハコスコ代表の藤井直敬氏をモデレーターに、Oculusの池田輝和氏、HTC Corporationのレイモンド・パオ氏、ソニー・インタラクティブエンタテイメントLLC(以下ソニー)の吉田修平氏といった最近のVRデバイス3メーカーのキーパーソンが登場(写真)。VR活用ではゲームが先行しているが、Oculusの池田氏はOculusの親会社でもあるFacebookがF8(Facebook Developer Conference)で発表したように、“VR空間上でのコミュニケーション”にも力を入れていく可能性について触れ、VR空間で物に触ったり、手を使ったアクションができるデバイスOculus Touch(下半期発売予定)を紹介。また、HTCのパオ氏も、ゲーム以外のVRのポテンシャルは大きいとし、エンターテインメントではスポーツ観戦で好きなアングル、好きな選手をみることができたり、デザイン分野では車の100以上あるアクセサリーをVR上で試すことができたりと、さまざまな分野での活用に言及。ソニーの吉田氏は、VRはひとりでも楽しいけれど、閉じこもって暗い印象を与えたくないとし、ヘッドセットを持っているひとと、持っていないひとが同時に一緒に楽しめる“ソーシャルスクリーンミラーリングモード”と“ソーシャルスクリーンセパレットモード”といった2種類の画面表示モードをプレイステーションVRには搭載しているとし、何よりもまずは体験してみてほしいと伝えた。

そのほか、JVRSでは広がるVR領域とし、リモートコミュニケーション、Live/Show、トレーニング、ファッション、美術館・博物館、観光、医療、不動産などが挙げられている。

イベント周辺では、スペース内見のVR閲覧などでVR活用がされてきているが、コンファレンスへのリモート参加、スポーツイベントのVR観戦、展示物の追加体験など、時間と空間を越え、物理的制限を壊す、新たな体験コンテンツづくりが生まれそうだ。

(月刊イベントマーケティング11号「特集:リアル×映像・照明の体験」より)

IoT×イルミネーションでみえてきたインタラクティブ演出の未来  -バニーポップ-

IoT×イルミネーションでみえてきたインタラクティブ演出の未来 -バニーポップ- »

 

 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が、家電や住宅設備、コミュニケーションロボットなど、日常生活で活用され話題になっているが、イベントの現場でも実用化ははじまっている。

2015年の「六本木ヒルズ Artelligent Christmas 2015 けやき坂 Galaxy イルミネーション」の「TOUCH the HEART」では、来場者がスマートフォンからアクションすると、それにあわせてイルミネーションが変化するという仕掛けをIoTプラットフォーム「IoT HA」の導入で実現した。インタラクティブな演出だけでなく、定刻通りのイルミネーションの発色制御の実行もIoT HAが行ったという。

IoT HAを導入したイルミネーションの演出装置[TOUCH the HEART]の開発、運用を担当したのは、バニーポップ。同社では、小ロット、低コスト、短納期でカスタマイズ可能なIoT製品の開発を手がけている。

代表の澤規仁さんは、「オープンソースハードウェアとクラウドの組み合わせで、ハードウェア業界に新たなマーケット、新たなビジネスを作り出す」と、これまでには、建物の揺れを検出・分析する地震センサなどのIoTを活用した取り組み事例もある。

イベント活用では、イルミネーションなど照明などのほかに、「電気制御で動くモノについては、IoT HAを導入することでインタラクティブな演出ができるようになる」と話す。

・IoT×噴水

・IoT×花火

などの演出装置のほかにも、イベント会場やスペースでの騒音感知システムなど、ソフト・ハード面ともに可能性の幅は広い。

製品基盤はオープンソースハードウェアとして新しいモノづくりを実現しているRaspberry Pi(名刺サイズのコンビュータボード)を利用しており、小ロット製品でもローコストでの製品化ができることも魅力だ。

「特殊な設備になると1台で数十万円することもあり、イベントの場合インタラクティブ演出は一時利用にはコスト負担が大きく、ハードルになっていた。コストが下がることで、バックアップもしっかり設計でき安定した運用ができるようになった」(澤さん)

また、演出装置を動かしている機能はクラウドのWeb技術。IoTというと難しく捉えられがちだが、キャンペーン用のWebサイトをつくる感覚で、インタラクティブな演出ができる。

IoTで何ができるかは、まだ未知数。アイデアを思いついたら、まずは形にしてみるということが気軽にできる時代になって、イベントもますます楽しく進化しそうだ。

 

(月刊イベントマーケティング11号「特集:リアル×映像・照明の体験」より)

テクノロジーの進化に対して  人と光と街のあるべき姿を考える

テクノロジーの進化に対して 人と光と街のあるべき姿を考える »

 

東京国際フォーラム、六本木ヒルズ、東京駅丸の内駅舎などの照明計画をてがけた照明デザイナーの面手薫氏は、自身が設立したLight Planners Associates(LPA)の25周年を記念して4都市巡回展「Nightscape 2050」を実施。昨年8月からベルリン、シンガポール、香港で展示を行い、巡回最終地となる東京は5月14日から6月10日まで、東京都・中央区のTEMPORARY COMTEMPORARYで開催されている。

巡回展では、2050年には光と人と街のあるべき姿はどうなっているかというテーマをもとにさまざまな提案がされた。東京の照明・夜景への提案を行ったLPAのデザイン担当者は東京の魅力を、それぞれの街に個性があるものの、バラバラでなく洗練された美しさと分析。異なる街の個性にマッチするのは公共照明ではなく、住む人が街に気遣いするような光の作法が求められるとし、オフィス街、住宅地、商業施設、繁華街などでの照明を提案。東京の2050年の夜景を洗練された混沌から生まれる光の万華鏡と表現した。

東京展オープン前夜には、面出氏に加えてデザイナーの原研哉氏、建築史家の五十嵐太郎氏による3人のトークショーが行われた。そのなかで面出氏は、LED光源やデジタル調光制御技術など、テクノロジーの進化に追随するだけでなく、光と街と人がどのように共存するか自分たちの意思をもつことが重要とし、今回の巡回展は多くの人が光について議論するきっかけとなってほしいと、語った。

インバウンド資源となる夜景やイベントへ集客するイルミネーションは、それぞれの都市の魅力を取り込んだ設計が求められる。デザイナーだけでなく生活する人々が隣人や街を想う光の作法を、来訪者は街の景色・文化として持ち帰るのだということを教えてくれた。

(月刊イベントマーケティング11号「特集:リアル×映像・照明の体験」より)

 

映像・照明を”見る”から”体験”に変えるアイテム

映像・照明を”見る”から”体験”に変えるアイテム »

『cluster.』

バーチャル空間を会場にアバターでイベント参加

“引きこもりを加速する”をキーワードに展開する、ソーシャルVRアプリ『cluster.』。VR用のヘッドギアを装着して、ツイッターのアカウントでログインすると、仮想空間上のイベント会場にアバターとして入場できる。

ステージ上では巨大スクリーンに本物の会場と同様に動画やスライドを映し出し発表者がプレゼンをする。アバターとなった参加者は会場内を自由に歩き回ったり、チャットや“拍手”、“笑う”といったエモーションジェスチャーでコミュニケションできる。

画面キャプチャーや自撮りなどもでき、そのままツイッターに投稿できるようになっている。

PCやモバイルなどさまざまなデバイスに対応しており、VRもヘッドギアもあらゆるデバイスが使用可能だ。

4月4・5日にヒルトン東京お台場で開催された、ゲーム・インタラクティブ3Dコンテンツ制作のカンファレンス「Unite2016」の基調講演でも採用され。話題となっている。

4月19日にはSkyland Ventureなどから5,000万円の資金調達とクラスター株式会社への社名変更を発表するなど、今後の発展が加速しそうだ。

 

『レンタルタッチテーブル』

インタラクティブに映像やARを使って商談展示会でスマートに商談を

展示会場でiPadやタブレットでプレゼンテーションをする光景があちこちで見られる。「ここをちょっと詳しく見せて」「これはどう動くの?」。

タブレットを渡したり、取り戻したりを繰り返すのはカッコ悪いし、みんなで小さなタブレットを覗き込んでいる姿は、展示ブースのようすとしてはダイナミックさに欠ける。

『レンタルタッチテーブル』は大画面高精細フルHDディスプレイを埋め込んだ商談テーブルを展示会出展企業に向けて貸し出すサービス。

多くの人数でテーブルを囲んで、スマートなプレゼンを行ったり、商談席に設置して複数人で操作して、映像やARを利用した商談も可能。大画面なので展示会場でも目立つブース演出にもなる。

10点同時入力対応や完全防水でフルフラットな強化ガラス天板の採用など、性能面も充実しているのは、高品質で信頼性の高い製品をつくり続けている老舗のタッチパネル研究所がつくっているから。

Windows7以降に対応しており、手持ちのPCを接続できるので普段使用しているスライドや資料をそのまま使用できるのもユーザーにとってありがたい。42インチと32インチの2サイズをラインナップ。

Iphoneを大きくしただけのIpadが 新しい市場を作ったように、日本の商談シーンを変える存在になるか、期待される。

 

『Sky Magic』

ドローンを使い光と音で空間をデザイン

LED装飾を施した小型無人航空機ドローンを音楽に合わせて自動制御することで、空間を表現の場としてデザインする。『Sky Magic」のサービスが4月20日にリリースされた。舞台照明や舞台効果を制御するための通信プロトコルDMX512規格を採用することで、ドローンの動きやLED照明、音響を一括制御できる。 発光した複数のドローンによるロゴや文字、動きでさまざまな新しい演出が可能になり、イベント会場、テーマパーク、企業のブランディングやプロモーションなどでの活用が期待されている。

クリエイティブディレクターを務める高城剛氏は「もうじき情報ディスプレイがフレームから飛び出て、空を飛びますよ。バーチャル・リアリティから、いよいよリアルなバーチャルへ」と新しい取組みに意欲を見せている。

サービスを提供するマイクロアドは、You TubeにSky Magicの公式 チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC7KD8pQBxw7wfF2NiAsH9-w)を設置して、津軽三味線のライブパフォーマンスとのコラボなどの動画を公開している。

 

『EB—L1500U』

レーザー光源と3LCDを採用した業務用のハイエンド機

小型製品や汎用機を中心にプロジェクター国内No1のシェアをもつエプソンが、安定した光源で高い色再現力をもつレーザー光源と3LCDを採用した新製品を3月に発表。高性能、高い耐久性が求められるイベント会場での映像機器市場に参入する。

レーザー光源と赤、緑、青の光の三原色ごとに1枚のチップを使う3LCD形式の組合せは、現在多く普及しているランプ式と較べて、高輝度と高い再現性に加えて耐久性も高く、2万時間メンテナンスフリーを実現する。今年10月に発売予定の『EB—L1500』と『EB—L1505』は1万2000ルーメンの高輝度をもつ。そのほか、本体内蔵のカメラによる自動画質補正機能、画素を1/2画素分ずらして解像度を2倍にする4Kエンハンスメント機能、1mの距離で134インチの投射ができるゼロオフセット超短焦点などの新技術も搭載している。さらに年末には3LCD方式で世界最高輝度の25,000ルーメンとなる『EB-L25000U』も発売が予定されており、ハイエンド機種のラインナップが揃う。

 

『RLM-W14』

高い色表現と高コントラスト低消費電力と優れた静音性

3チップDLPを採用し、WUXGA解像度(1,920 x 1,200)、1万4500ルーメンの高輝度と高い色表現、高コントラストを持つバルコ社の高画質プロジェクター『RLM-W14』。レントゲン画像などに最適なDICOMモードを搭載し鮮明なグレースケール表現もできる。高度なワーピングとブレンディングなどカンファレンス会場などでの固定設置用に設計されているが、安定したレンズ・マウント、高耐性シャーシ、オプションのレンタル・フレーム、コンバーターからプロジェクターに一本のCat5ケーブルで伝送できるHDBaseTの搭載などレンタル市場にも対応する機能を備えている。

110V〜240V の電圧で動作すること、ノイズと消費電力の低減、堅牢性の高さ、舞台演出で用いるスモークフィルター標準搭載なども耐久性が求められる現場でプロのオペレーターに選ばれる理由となっている。同社の他のプロジェクターと互換性のあるTLDレンズを採用していることで運用性も高めている。

 

 

[イベント×SNS]バズるイベントのつくりかた

[イベント×SNS]バズるイベントのつくりかた »

「イベントをバズらせたい」

バズらせるってweb用語だと思っていたけれど、オフラインのイベントだっていまはただSNSに載せるだけでなく、バズらせることが必要。そんなニーズに応えるべく、去年7月に強力タッグが組まれた。イベント企画・制作大手のテー・オー・ダブリュー(TOW)とバズるコンテンツが得意な面白法人カヤックが連携したプロジェクトで、イベント分野での新たな体験価値と話題拡散力を生み出す「TOWAC」だ。

イベントは体験深度が深いけれどパイが少ない、一方でWebは広い拡散ができるけれど一過性であるというリアルとネットの強み弱みを相互補完する。

TOWACメンバーの小久保英史さん(TOW)と岩田慎吾さん(カヤック)は、連携について「Webが拡散範囲を表す横棒「-」ならば、イベントは深さを表す縦棒「|」、ちょうど「T」の字のような関係性」と説明する。

これまでに、昨年末のJRA有馬記念Webプロモーションで、世界的な人気絵本「ウォーリーをさがせ!」とコラボしたWebコンテンツ「有馬記念でさがせ!」や、3月にキリンのチューハイ本搾りサンプリング街頭イベントなどを実施した。

Webコンテンツ「有馬記念でさがせ!」では、従来型のコミュニケーションではリーチできなかった層へのアプローチ強化が求められたなか、ウォーリーという老若男女に愛されるキャラクターを採用し、スマホに特化した内容が高評価を得た。「ウォーリーと名馬をさがせ!」コンテンツでは、全59ステージ用意したゲームの1ステージ時間を10分としてスマホ保有者のすきま時間をねらい、これまでWebキャンペーンで多かったPC主流のリッチコンテンツではなくスマホで何度も遊べるような設定にした。また、ウォーリー風アバターを作成し探してもらう「◯◯をさがせ!メーカー〜中山競馬場でかくれんぼ〜」コンテンツでは、自分だけでなくSNSでシェアすると友人と互いのアバターを探し合うことができる仕掛けをつくり、大きなアクセス数を記録した。

キリンのチューハイ本搾りサンプリング街頭イベントは“体験”を盛り込んだもので、巨大グレープフルーツを街中に設置し、アイキャッチポイントにするだけでなく、搾るという体験装置にした。グレープフルーツに抱きつくポーズで備え付けのカメラが作動し、アニメーションのようにコマ送りの画像がつくられるもの。“体験”の瞬間をアニメーション動画と一緒にシェアする。

「これまで街頭キャンペーンのイベント実施では、新商品をコンパニオンさんが街中で配って知ってもらうというケースが大多数でしたが、最近は『話題化サンプリングをしたい』という要望が多くなりました」(小久保さん)

話題化サンプリングでの体験者のようすを撮影しTVCMと連動させる方法も多いという。この企画で生まれたのがPOSING SHUTTERというポーズが決まるとシャッターが切られるカメラだ。撮影した写真はプリントアウトされ、持ち帰ることもできるし、ダウンロードしてシェアすることもできる(機材レンタル:2日間で80万円〜)。

「フォトジェニックな仕掛けでSNSに投稿しやすいポイントをつくって一気に拡散されて話題化することも目的ですが、イベントとして体験することで楽しかったという気持ちと商品や企業を好きになってファンになってもらうことが大事なんです」(岩田さん)

イベントでの体験は、直接見て、会って、聞いたフィジカルに訴えかける一次情報。いかに人に話したくさせるか、イベント設計時から五感を意識したコンテンツやインタラクティブな仕掛けを用意することが当たり前になってきた。

40年イベント企画・制作を手がけるTOWでもこの数年、イベントにもデジタルコンテンツの仕掛けやPR領域でのイベントなど広がりがでてきたことを受け、TOWAC設立以前からカヤックにデジタル修行に来ていたという小久保さん。一方、デジタル領域のカヤックにも3年ほど前からリアルイベント用のコンテンツとしてIoTデバイスやサイネージなどが求められてくるようになったと話す岩田さん。

TOWACとしてタッグを組むことで、シナジー効果を発揮することはもちろん、「大規模イベントではどこかであきらめかけていたイベント効果測定ができる時代になってきた」と小久保さんは期待する。PR領域での効果とは、「イベント後の態度変容」。シェアされた数のレポート以外に、検索ではでてこないデータについてもPR会社のマテリアルとTOWが業務提携し、SNSやWeb、TVで発信された膨大なPRデータを独自の手法で解析して、なぜ話題化したのかのストーリーとして把握する取組みもはじめたばかり。TOWACの事例でもPDCAサイクルを確立する。

カヤックの岩田さんは「カヤックがバズるコンテンツづくりにこだわるのは、創業以来エンドユーザーに面白いと感じてもらうことを続けてきているからで、もともとの指標が口コミである以上、成果はより大きな話題化=バズることなんです」と話す。

TOWACのようなイベント体験をしたエンドユーザー(イベント参加者)の反応が、巡り巡ってイベントをもっとおもしろくしてくれそうだ。

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)

[アプリ×DB]会期の終わりが縁の切れ目にならぬよう

[アプリ×DB]会期の終わりが縁の切れ目にならぬよう »

2週間でイベントアプリをつくってほしい。それも、今ある顧客情報DBや受付システムと連携した効果的な情報発信がマストだ。そんな状況を救ってくれるのが、最短5日でイベントアプリがつくれるブレイブソフトのアップバイザーイベントだ。

昨年9月15日アドビシステムが開催した「Digital Marketing Symposium 2015」でもアップバイザーイベントが採用された。受付で渡されるIDで来場者がアプリにログインすると、事前登録や顧客DBの情報とひも付けされ、業種・役職・興味関心などからそれぞれの人に関連深い情報を個別にプッシュ通知できる。この機能は、来場者それぞれの特性にあったおすすめセッションを開始30分前に知らせて会場内の集客に利用された。そのほか参加予定のセッション開始直前にアラートとともにセミナー会場場所を通知するなど、来場者の利便性を向上し好評を博した。「アプリはスマホにダウンロードするという最初の一歩がハードルになっていて、せっかく制作してもあまりつかってもらえないことも多いです。しかし、ウェブによる来場登録から受付でアプリにバトンを渡すことでスムーズに使用してもらえるスキームになりました」と熊谷さんは語る。

アプリが強みを発揮するのは、顧客との関係性を継続すること。集客以上に成約に結びつけるシーンで活用できそうだ。主催者や出展者の課題は、自分たちのメッセージが来場者にきっちりと伝わっているかどうか。アプリのアンケート機能を使用して参加者の声をヒアリングしたり、情報不足だった分は追加の発信もできる。また、ブースの訪問履歴やセミナーの参加ログ、アンケートなどの会場での活動履歴を顧客DBに蓄積。そのデータをもとに、個人の特性・興味関心・属性・イベントでの活動から分析した、求められている情報をピンポイントで発信するなど細やかな対応情報発信をしていくことで、ナーチャリング、ロイヤルカスタマー化、顧客情報の蓄積といったさまざまなマーケティング施策に活用できる。

アプリを通してユーザーに継続的にコミュニケーションをとる、関連ニュースや業界動向などのキュレーションなど、業界に特化したメディアとして活用することも視野に入れて開発を進めている。時間や空間に限定されるイベントが終わった後も、情報とユーザーをつなぐアプリが存在している。

ブレイブソフトの強みは自社開発できるところ。現在使用している来場管理システムに対応したアプリ制作も可能だ。またビーコンを扱う企業との連携など、常に新しい技術を導入して顧客に提供するベネフィットの拡大に力を注いでいる。

 

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)

[展示会×マーケツール]出展後のホットリストを時短でつくる

[展示会×マーケツール]出展後のホットリストを時短でつくる »

企業の販促を目的とするイベント主催や展示会出展で、担当者を悩ます課題として、“集客”に並ぶ課題が “成約”だ。集客数をクリアしたとしても、結果として成約に結びつかなければそのイベントや出展が評価されることはない。

特に展示会出展では、マーケティング担当者がブース来訪者の名刺をまとめ、営業担当者に渡すという分業のケースもあるため、ノベルティなどで工夫をして数をふやしたとしても、現場の営業担当者からの評価は低いなど、展示会評価に温度差がでることも多い。

こうした出展の実態は、担当者だけでなく、展示会の主催者にとっても大きな課題だった。

昨年、展示会の効果を最大限に引き上げようと試みられたのが、展示会を主催する日経BPとマーケティングツールを提供するイノベーションの「出展者への『リストファインダー』30日無償提供」トライアルだ。

日経BP社が主催する「Human Capital 2015」「ITpro EXPO 2015」、2016年3月に東京で開催された「Cloud Days 2016」の3展で実施し、出展・協賛企業限定で「リストファインダー」を30日間限定で初期費用、月額費用を無料提供した。

「リストファインダー」は、展示会で獲得した名刺をもとにニーズのある見込み顧客を判別することができるマーケティングツール(図参照)。いわゆるマーケティングオートメーション(MA)が海外から続々と日本市場に参入しはじめた2014年よりも前の2010年にローンチし、当初はIPアドレスを基にサイト閲覧企業を解析するツールであったが、ここ2~3年で個人解析やメール配信機能など、国産MAベンダーとして日本企業に合わせてリニューアルを行った。

もともと日本企業のマーケティング支援会社として15年前に創業した同社。「日本は米国と違ってマーケティング専門組織をもつことが少なく、そのためMAツールを運用できる専任担当者の確保もむずかしいんです。こうした実情から日本で定着するMAツールを考え、マーケティング担当者ではなく、マーケティングも兼任する営業部長に向けて必要最低限の機能を装備したシンプルなMAがリストファインダーです」と山北正晃さん(セールスクラウドユニット長)は説明する。導入コストが月額3万円からという価格設定や専任担当者の人件費が必要ない点など、他のMAよりも初期費用が手頃であることが受け入れられ、これまでに延べ600社が導入している

日経BP主催の展示会出展者へのトライアルでは、「Cloud Days2016」の場合、約100社のうち30社がリストファインダーの無償提供を受け導入。採用した担当者から「出展後、時短でホットリストをつくれた」、「営業の優先順位をつけることができたのがよかった」、「ブース来訪者にメールマガジンを送り続けた結果、テレアポ成約率が向上した」などの効果を実感する声があがっているという。

一方で、日経BPとイノベーションの双方で今後の課題としているのが、獲得名刺のデータ化とメールマガジンなどのコンテンツ作成といったツールを活用する前後のフォロー体制だ。前述の無償導入した30社のうち、活用に至らなかったケースもあり、それは、名刺のテキスト入力やメール文章の作成がネックになっていたことがわかった。

「MAベンダーがふえ、市場でのMAの認知度も上がってきて環境的にはサービスへの理解は進んできました。特にIT業界の展示会では反応がよかったですね。課題は活用支援とIT以外の業界への推進です」(山北さん)

メールマガジンの担当者であれば、開封率やクリック数などを定点観測して、増減の結果に件名や内容を調整できるけれど、年に1回というスパンの展示会の出展やイベントの場合はどうしたらいいのかわからない、まずは成約までのラインを見える化したいという方や出展効果を実感してほしいと考える展示会主催者は、「展示会」×「マーケティングツール」のコンボからはじめてみてはどうだろうか。Webマーケティングを実施しているけど、リアルと連携していない企業も多い。マーケティング担当者と営業担当者が揃って「あの展示会はA評価」という会話ができるようになるかもしれない。イノベーションでは4月1日からリストファインダーの30日限定ですべての機能が利用できる無料トライアルを開始し、サポートするそう。

 

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)

[リリース×動画]伝わるスピードが違う

[リリース×動画]伝わるスピードが違う »

スマホ動画は、Facebookがライブ動画機能をリリースしたり、Instagramが動画の撮影・再生時間を拡大したり、スマホジャックとして話題になった新人アイドルPV(タテ型!)が一晩で5万再生を記録したりするわけで、スマホでの動画視聴自体、ユーザーにとっては、もはや毎日の歯ミガキレベルに習慣化してきた。

動画活用はもちろん企業PRの世界でも。ネットPRのパイオニア企業ニューズ・ツー・ユーはネットメディアへのニュースリリース配信を手がけて15年になる。同社の朝火英樹さんは「企業のニュースリリースは、テキスト中心だったものから、最近では写真が必須となりビジュアル重視になって、大手企業になると動画の活用も定着し始めていてWebサイトのURLとともに、YouTubeアカウントの動画URLが記載されるようになってきました」と話す。

こうした状況を背景に、同社では動画編集アプリと協力して「動画リリースサービス(仮称)」を今年2月2日から期間限定のトライアルとして実施(トライアル期間は終了)。動画制作とニュースリリース配信をセットにしたもので、1件あたり3.8万円で提供したところ、すぐに多くの企業から引き合いがあった。

「動画制作にはコストとスキルの課題がありますが、『動画リリースサービス』トライアルは、一般的な動画コンテンツの制作コストと比較しておよそ10分の1に、撮影もあらかじめ用意されたテンプレートの絵コンテに沿って40秒で8シーンというガイダンスがあることでスキル面もクリアしました」(朝火さん)

女性下着メーカーのワコールでは、3月に表参道で開催したワコール新作ブラジャー体験イベントの告知に、動画リリースを採用。「テキストと写真だけでは伝えきれない会場の『空気感』や、イベント担当者の『表情・声』がわかることで、よりリアルなイベントイメージが伝わった」と動画のメリットを挙げたほか、会場施工後すぐのリリースを実施できた納品スピード(撮影後翌日渡し)も評価する。お菓子屋さんのような店舗の様子がわかる動画をみて来たという参加者もあり、動画リリースの集客効果もあった。

朝火さんは「これまで、webに掲載するリリースはSEO効果を期待されたものがほとんどでした。ですが、この1年はソーシャルメディア経由での流入へと変わってきています」とリリース掲載先とそのリリースに触れるターゲット層の生活スタイルの変化を意識して、ネットPRやリリースのあり方も相性のよいものへ変わっていくべきという。

トライアルでの反響を受け、ニューズ・ツー・ユーでは5月以降に動画リリースサービスを開始する予定だ。

従来と変わらない手法で集客をしているイベント主催者や出展担当者などは、リリースから見直すことで新しいチャネルが開けるかもしれない。

 

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)

[広告×来場管理]いまの来場者と似ている人を探せ

[広告×来場管理]いまの来場者と似ている人を探せ »

目標来場者数は前回の倍!と言われたらどうしよう…。

公式サイトやSNSはリニューアルしたし、DMを送り、専門誌へ広告も出稿した。何度も繰り返せば反応は上がるだろうけど2倍はとても、とても。これまでのアプローチ先からの集客が限界なら、新しい層に呼びかけれるしかない。しかし、これまで一生懸命充実させてきた集客リスト以外のターゲットなんてどこにいるのか、街にでて片っ端から誘うなんて砂に水をまくようなものだし。

そんな集客の課題を解決するのがDSP広告配信のフリークアウトと、来場者管理などを提供するイベントレジストが連携した「集客ソリューションサービス」だ。

「同じウェブサイトをチェックするなど、来場者と似た行動パターンの人は、イベントに興味をもっている可能性が高い。そういう人たちにターゲットを絞って広告を配信すれば、これまで接触できなかった人たちを効率的に集客できる」とイベントレジストのヒラヤマさんは語る。

イベントレジストがもつ来場者データのウェブ上の行動解析から、来場する可能性が高い人物像を設定。フリークアウトの広告配信システムを活用し、その条件に合ったターゲットにピンポイントで、ウェブ・SNSなどさまざまなメディアからアプローチする。自社のもつハウスリストやSNSのつながり以外の層に、またインターネットであまり活動しない人たちにも、しかも明確にターゲットを絞ってアプローチできる、新しい集客手段だ。

フリークアウトの本田さんは「会社名や役職といった表層的なデータをただもっているだけではだめで、ウェブ行動解析による興味関心なども含めた深いデータをもち、さまざまなデバイスをもつユーザーにきちんとひも付けた上で配信しなければ、効果的なマーケティング施策はとれない」と説明。フリークアウトの膨大なデータ量と豊富な実績による精密な管理がこのスキームを可能にしている。

「私どもはネット上の情報だけでなく、リアルの場の情報を集めることに注力したい。ネット上で熱心に投稿する積極的なユーザーが、実際にはネット外でも積極的かというと必ずしもイコールではない。ユーザーのあらゆる行動を分析して、広告主のターゲットにあったユーザーに配信、広告効果を最大化することが求められています。」(本田さん)

「数多くのイベント主催者のサポートをしてきましたが、必ず直面する課題が集客。イベントレジストの活用で集客に活用できるものは多いのですが、このソリューションで加速しました。当社の主催者支援の実績とフリークアウトの精度の高い分析がむすびつき、確度の高いターゲットの絞込みで新規層の集客をサポートします」(ヒラヤマさん)

主催者だけでなく、展示会の出展社もこのサービスを使って集客することもできる。来場者の人物像からそれに似た行動するユーザーを探しだし、イベント出展していることを広告配信してブースに集客するだけでなく、イベントに参加できなかった人を自社のランディングページに誘引して、資料請求や商談につなげるなど、展示会の機能を補完することができそうだ。

「ユーザーリストを提供するわけではないので、個人情報保護法もクリアしています」(本田さん)

「アドテクの導入というと、莫大な投資が必要と思う方もいるかもしれませんが、予算によって応相談です」(ヒラヤマさん)

いまアプローチしている来場者以外にどんな人たちに来て欲しいか、あらためて考えることはマーケティング設計を見直す良い機会になるかもしれない。

 

月刊イベントマーケティング10号「特集:集客と成約に効くコンボ」より)